第12話 ダンジョン掲示板管理V ―配信回―
「はいはいはーい! ダンジョン掲示板を管理する系VTuberの、【ダンジョンプリンセス・デリオン】でぃーす! いえいいえいいえーい! そして、こちらのちっこい毛玉の精霊ちゃんは、と。自己紹介をどうぞー」
「アシスタントの、綿毛です。デリオン姫! 相変わらずテンションが高いですね! 見た目は前髪をアホ毛状に結んだ、貧乳ゆるキャラなのに」
「はいはいはーいっ! 今日はいつもより、はるかにハイテンションでお送りいたします! 今日はいいことがあったので!」
「やはり知っていましたかっ! わが金盞花学園に、ダンジョン部ができたってことを!」
「もちろんよー。もちの、ろんよー。ちゃんとチェックしておかないとー、掲示板の管理人とは言えないのだー」
「白熱しましたよねー掲示板も!」
「そうそう。盛り上がってた。見てこの『やったー』って弾幕を。あーうち、スパチャ飛ばせないんで。『どうして飛ばせないんだ!?』と言われても、メンバーシップ入ってくださいってスタンスなので」
「ウチはコメントの公平さを必要とするため、スーパーチャット禁止です。有料会員制掲示板なんです。あしからず」
「荒らし対策も、兼ねているのだ」
「そういうのは、黙っていましょうね。姫」
「話は変わって。金盞花学園がダンジョン部を立ち上げる話ってのは、結構昔からあって。それでも、校長は許可しなかったのだ」
「実力が試されますからね。『軟弱なダンジョンマスターなんていらんわ、って感じ?』ですか。そうですそうです。本人に聞いたら、そういうことらしいですよ」
「ていうか、孫の晴子ちゃんが成長するまで、待っていたっぽいのだ」
「晴子さんのお母さんは、学生時代、よその学校でダンジョン部だったんですよね?」
「そうなのだ」
「『オカンが金盞花小春と戦ったことがあるけど、強かったって』と。やはりそうでしたか」
「『学園じゃなくて、金盞花一族自体が強いと、娘の代で証明しちゃった感じ?』か。そうそう。そのとおりなのだ」
「その金盞花校長の孫娘と、七星 洲桃さんがタッグを組むっていうね」
「勝って当然だったのだ。相手の高校はリーダー以外、二軍だったし」
「最後も二人じゃなくて、ユニコーンくんのタックルで、決着がつきましたからね」
「言っておくけどなあ、ユニコーンくんって強いのだぞ! おめーら、バカにしてっけど! 本当だったらAクラスの召喚獣なのだからな!」
「そうですよ。で、巳柳高校の様子がこちらになります。公式から、動画をお借りしました。一応ね。すべてのダンジョンアタックは、録画されることになっていますから。うちにも公式記録として残っておりましてね。では、どうぞ」
『きゃー』
「ほらあ。第三チェックポイントに入った瞬間、ユニコーンくんに突撃されて全滅ですわ」
「まだダンジョン部に入りたての女子高生なんて、こんなもんなのだ」
「で、そのユニコーンを秒殺した動画が、こちらになります……うわあ。マジで秒殺ですね」
「な? ユニコーンを秒殺できる、金盞花晴子と七星洲桃がヤバイんだって!」
「ですよねえ! あの二人を基準にしたら、ダメですって」
「かたや魔王一家の、秘蔵っ子。かたや冒険者のトップ、『勇者』の娘だぞ」
「とはいえ、今は部員を募集したいそうですよ」
「まあ、我々には関係ない話なのだ」
「ですよねええ」
「では、時間が来たのでここでしめくくるのだ」
「また次回、お会い致しましょう」
* * *
あたしは校舎の視聴覚室で、放送部の配信が終わるのを待っていた。
「あんたらに話があるんだけど」
視聴覚室でVTuber配信をしている生徒に、向き合う。
「はるたん、この二人が新入部員候補なん?」
「そう」
デリオン姫こと【弾堂 リオン】は、前髪をアップにして頭の上で結んでいる。
ショート銀髪のサイドポニテが、綿貫 不二菜だ。耳が長い。
「綿貫さんって、エルフなん?」
「はい。というか、どちらもエルフです。こちらはエルフ国の姫で、私は従者です」
おまけにどっちも一年で、あたしと同級生らしい。
「我々のことは、【デリオン】と【綿毛】でいいのだ」
「はいはい。それでいいよ。で、相談なんだけど」
あたしは、入部の話を切り出す。




