ただいま
翌日も第3王女は、海達といた。本当に魔道具にしか興味が無いようだ。
彼女が、欲しがっているのは、アイテムボックス。
はい、どうぞと渡したくはない。
先日、揉めた相手の兄弟だし、まだ解決もしていないし、こちらへの謝罪も無い。
返事を早く貰える様に、人質も取ってはいるが、人質になるのかは分からない。
ヤムチャとリーンは、海が、屋敷の地下を掘って造った牢に放り込んでいる。
最初の頃は騒いでいたが、ここで死ぬのがいいか、それとも、城に戻るのがいいかを選択させて、
死にたくなければ大人しくする様にと言ったら、大人しくなった。
海とミウは市場に行ってみたが、いつもと何も変わっていない事に安心し、
2人で、色々と買い込んで戻った。
屋敷に戻ると1度、城に来て欲しいとの連絡があったが、どうやら相談らしい。
今更、相談されても返答に困る気がする。
ただ、第3王姫を城に戻せるのは嬉しい。
ミカルに押し付けたままというのも申し訳なく思う。
海達が、城に着くと、素直に案内されたが、やはり謁見の間では無く、応接室だった。
「バウマン王子様、本日はどの様な御用件でしょうか」
「固く、ならないで欲しい。普段通りに話して欲しい」
「分かりました。
それで、何用でしょうか?」
「ああ、まず、処罰が決まった。
ヤムチャとリーンは王族の地位と継承権を剥奪。
辺境で暮らしてもらう。
我が兄弟に対しては以上だ」
「それで、僕達には?」
「大使に対しては国として、謝罪する」
「他には?」
「・・・・・」
「あのー僕達2回も襲われていますが」
「え!」
「1回目は監視者が全員殺された時で2回目が今回です」
そう言うと、海はアイテムボックスから、敵の死体をすべて取り出した。
「これを本国に持って帰っていいですか。
それで、国王の前で襲撃された事も監視されていた事も謁見の最中に殺されかけた事を
伝えます。
いいですか?」
「いや、待ってくれ!
それでは、この国は持たん」
「なら、どうしますか?」
「どうしたら、納得して貰えるのだ」
海は、シンディとシャルーラを見たが、完全に任せる雰囲気だったので
思い付きで言ってみた。
「まず、貿易に関する税を5年間、撤廃。
この国に大使館の設立、大使館の予算はアングル国で持つ事。
それから、大使館の壁より内側はアスタロッテ王国の法律に順ずるものとする。
謝罪金と謝罪文を国の代表としてアスタロッテ王国に出す事。
以上です」
「これを受けろと」
「はい、きつい内容もありますが、我慢して下さい」
「・・・・・」
「そうでもしないと、大使として此処まで来た姫の立場がありません。
ご理解ください」
「わかった」
「では、これを書面にしてください。
それから謝罪金の金額はそちらで決めて下さい」
話は纏まり、海達は屋敷に戻った。
「あーつかれたぁー」
「海様、ありがとうございます」
「あれで良かった?」
「はい、十分です」
「2.3日中には、連絡が来ると思うし、終わったら帰ろう」
「さんせーい」
2日後、王城への呼び出しがあり、ヤムチャとリーンを連れて行った。
謁見の間にて今回の事について報告がされ、
罪状と罰を言い渡された2人は項垂れながら謁見の間を出て行った。
その後は、前回の決めた事が発表された。
シンディが詫び状と謝罪金を受け取り、大使館は出来上がったら報告が来るようになった。
海達は屋敷に戻り、帰り支度をした。
翌日、王都を出発してゲヘナに行き、船に乗ってアスタロッテ大陸を目指した。
7日後、海達は、カイミの町に着き、領主の館で1泊した。
カイミの町の市場を見て回っていたら、兵士が巡回していたので
変わったんだなと思った。
次の日には王都に向かった。
数日後、王都に着き、国王に報告した。
「海よ、よくぞ勤めを果たした。
褒美を与える、なんなりと言うが良い。」
「陛下のお心のままに」
「わかった、例の物を」
陛下がそう言うと、宰相が陛下に書状と中身の入った袋を持ってきた。
「海よ、貴殿に爵位と領地を与える。
我が国、発展の為、励むが良い」
「え」
海は、突然、貴族になってしまった。ミウとリリも驚いていた。
結局、そのまま報告は終わり、海は王城を眺めていた。
夜、海達は貰った土地を確認するとダイゼンとベイゼの間で魔物の森の周辺だった。
少しほっとしながら報奨金を確認すると白金貨5枚と金貨50枚が入っていた。
ミウとリリが大喜びした。
「海よ、出世したのじゃな」
「うん、ミウとリリのおかげだよ、本当にありがとう」
「海、おめでとう」
「ありがとう」
「海よ、そろそろ落ち着いたらどうじゃ」
「そうだね、旅が多かったしね」
「わらわも落ち着いたら、子供も欲しいしのぅ」
「うん、いいよ」
「海、私は?」
「勿論だよ」
その後、3人は知らぬ間に、寝てしまった。
「海さん」
「海さん」
「はい!起きてます」
「早いですね」
「最近、連絡が無かったから、どうしているのかなって思っていました」
「あらあら、優しいですね。
海さん、前回の話、覚えていますか?」
「僕がこの世界に来た事ですね」
「はい、私は、世界をつなぐ管理者のような事をしています。
あの日、地球の日本にワームホールを確認しました。
その穴を塞いでいたのですが、塞ぐ前に消えてしまい、
探したら海さんの所にあったんですが処理が間に合わず
ワームホールと一緒に海さんが消えてしまいました」
「分かりました。僕はどうすればいいですか?」
「はい、選択して下さい。
このまま、この世界で暮らすか、元の世界に帰るか。
どちらでも、構いませんが、今回、帰らないと二度と帰れないと思います」
「なら、答えは決まっています。
僕は、ミウやリリ、他の仲間を置いて戻れませんので
このまま、ここで生活します」
「わかりました。海さん、頑張ってください」
「あの・・・今まで助けたりしたのは・・・・」
「あっ覚えてました?
実はですね、海さんなら助けてくれるかなぁと思ったり
危ないから教えてあげようと思っただけです」
「えっ他には?」
「ないです」
「えーーーー!」
「海さんを見ていて楽しかったです。
さようなら」
「えーーーー!」
アミは消えていった。
翌日、王都を出発して、集落を目指した。
集落までの道を馬車に乗り、海達はゆっくり進んだ。
魔物の森の中を進むと壁が見えて来た。
海が門の前まで行くと門が開いた。
海を皆が出迎えてくれる。
僕の家族。
「みんな、ただいま!」
今迄、お付き合い下さり、有難うございました。
もっとああしたいとか思ったりもして、楽しかったです。
また、書くかも知れませんが、その時は、宜しくお願い致します。
評価、ブックマーク登録をして下さった方々、励みになりました。
本当に有難う御座いました。