カイミの町3
ナームの手下は、海達を探していた。
前回、ナームがやられた所を見ていた者たちだったので
海に対する警戒は怠らなかった。
6人を2つに分けて距離を開け、前後に並んで海達を探した。
もし、片側の3人が見つかり、戦闘になっても残りの3人が町に報告し、
仲間を呼んで来れるようにしていた。
手下達が宿を訪れ、海達の事を聞いた。
「おい!ここにガキと綺麗な女を連れた4人組が泊まっていないか?」
「はい・・・・」
「おお!そうか、奴らは何処にいるんだ。
正直に答えないと宿を壊すぞ!」
「多分、市に行っていると思います」
「わかった。
俺たちが此処に来た事は言うなよ」
「はい、わかりました」
手下達は宿を離れ、3人は市に向かい、海達を探した。
残りの3人はナームに知らせる為に、町に戻った。
何も知らない海達は市を回り、干物や魚介類を買い漁っていた。
カイミの町程の種類や量は無いが、色々と変わった物が出る度に
海は買っていた。
市の人達も変わった物や大量に魚が獲れたら、海に声を掛けるようになっていた。
そうして、市も少し賑わい始めた頃に、ナーム手下達が海を見つけた。
ナームの手下達は、海に見つからない様に尾行していた。
その様子を、村の人達は気付いているが、誰も海に知らせる事をしなかった。
夕食を食べ、宿に戻って部屋毎に分かれた。
今日は、海とリリ、ミウとサーシャとミカルの部屋割りだった。
ミカルは、初めは遠慮したが説得して宿に泊まる事になり、
服も海に買って貰い、綺麗な服を着るようになった。
「のぅ、リリよ、ここは壁も薄いでのぅ、あまり大きな音をたてるでないぞ」
「ばっ・・・・・馬鹿じゃないの!
私はそんな事しません!」
「そうか、ならわらわと交代してくれぬかのぅ」
「嫌です!」
そのような会話をしているとサーシャが言った。
「あの、海さん、私の順番は何時ですか?」
「!!」
ミウもリリも驚いた。
「サーシャ、これは強制でもないし、命令でもないのよ」
「はい、わかっています」
「サーシャよ、これはわらわとリリが勝手にしているだけじゃ
だからそなたが無理をすることはないぞ」
「ミウさん、リリさん、私は順番に入れないのですか」
「「ぐ・・」」
ミウとリリは言葉に詰まり、海をみた。
海は慌てて外を見た。
ミウは諦めてサーシャに言った。
「サーシャよ、お主は順番に入りたいのじゃな」
「はい・・・・駄目ですか?」
「良いぞ、明日がサーシャの番じゃよいな」
「はい!」
「!!!」
海は慌ててミウを見たが、ミウは知らない振りをした。
深夜になり、全員が寝静まった頃、ナームの手下が宿の周りを包囲し、
別動隊が宿の中に入り、海達を襲撃した。
海は、ナームの手下が周りを囲みだした頃に起きて、
全員を起こし、明かりをつけないまま部屋で待機していた。
ナームの手下が、部屋に入った瞬間、待機していた海が敵を倒した。
ミウの部屋でも同様の事が起きていたが、ミウがあっさり倒していた。
海達とミウ達は、合流し海を先頭に宿の外に出た。
外には大勢のナームの手下がいた。
海達を見た瞬間、矢を放ち、海を狙って来たが、海は矢を掴み捨て、
魔法を放った。
「ウインドエッジ」
海は風の刃を飛ばし、相手を切り刻んだ。
その光景に、ナームの手下達は怯えた。
「ヒィィィィィ!!」
海は、相手が怯えていたが遠慮なく、もう1度、魔法を放った
「ホーリーランス」
光の矢がナームの手下達を捕らえ、体に突き刺さった。
ナームの手下達は怖さに怯える者、痛さに泣き叫ぶ者達で溢れかえった。
海は、次の瞬間にナームの手下達に言った。
「逃げると魔法を放ちます。
動ける人はそこに座り、武器を捨てて下さい」
その言葉を聞き、残った者は武器を捨てた。
海は敵の武器を回収し、全員を縛り上げ、尋問を始めた。
「素直に喋った方が身の為です。
誰の指示でここに来ましたか?」
「ナームです」
「では、どのような指示でしたか?」
ナームの手下達は黙ってしまった。
「仕方ありませんね」
海はそう言うと1人の腕を切り落とした。
「ひぃぃぃぃぃぃ!」
「続けます。どのような指示でしたか?」
「お、おとこは殺し、女は攫えと言ってました」
「ここがどうしてわかったのですか」
「この町にナーム様の手下がいるので連絡を貰いました」
「そうですか」
「宿の襲撃もその手下からの連絡ですか?」
「いえ、探しました」
「ナームは、今、何処にいますか?」
「お屋敷にいます」
「案内できますか?」
「・・・・・・・・・」
「切りますよ」
「お願いだ、まってくれ。
案内するから・・・・頼みます」
「わかりました。あとあなたは漁業組合の人ですか?」
「はい・・・・」
「ミカルの両親を知っていますね」
「・・・・・・はい」
「どうしましたか?」
「こ、ころしました」
その瞬間、ミカルは驚いた。
両親は海で死んだと思っていたのが、殺されていた。
ミカルはナームの手下達に近づき、
「どうして、父さん達を殺したんだ!!!」
「答えてください」
「・・・ミゲルはずっとナーム様に反対していた。
それが気に入らず、漁に出た時を見計らって海の上で殺した」
「ナームの指示ですか」
「・・はい」
ミカルは、両親の死の真相を知り、泣いた。
「海さん、あたし・・・・どうしたらいいの?」
「仇は、僕が取りますから、終わったらお墓を建てましょう」
「・・・・・・はい」
「ミウ、リリ、これから行ってきます。
子供達をお願いします」
「海よ、分かっておるな」
「ミウ、大丈夫だよ」
「海、しっかりね」
「りり、ありがとう」
「うみさん・・・」
「サーシャ、怖い思いをさせたね、でも、これが現実だよ。
冒険者として生きていればこんな時もあるよ」
「はい、私、負けませんから」
海は、ナームの手下達を空き地に運び、
錬成で四方に厚い壁を造り、その中に閉じ込めた。
「いってきます」
海は、カイミの町へ走って行った。
「さて、わらわ達はこの辺りの片付けでもするかのぅ」
「そうだね、あっ死んだ人どうするの?」
「取り敢えず、リリのアイテムボックスに入れておくのじゃ」
「・・・・・ミウ」
「片付けるのじゃ」
その後、4人で片付けてから宿に戻り、綺麗な部屋を貰い眠った。
その頃、手下に案内をさせて海はナームの屋敷の前にいた。
「ここにナームがいるの?」
「はい、私達の報告を待っています」
「素直に喋りますね」
「はい、最後くらい素直に話します」
「なら、何故、領主はナームの言いなりなのですか」
「領主様の娘が、人質としてナーム様の嫁にさせられています」
「有り難うございます」
そう言うと海は手下を気絶させた。
海は、正面からナームの屋敷に入って行った。
海は、身体強化の魔法を掛け、屋敷の中を進んでいくと
敵の用心棒が道を塞いだ。
海は、ナームの屋敷なら燃えてもいいと思い、火の魔法を放った。
「エクスプロージョン」
爆音と共に館の3割が吹き飛んだ。
敵の用心棒の姿もなくなり、海はナームの所へ向かった。
屋敷が吹き飛んだことに驚愕し、動けなくなったナームは
開き始めた扉を見ていた。
開いた扉から海が現れた。
「こんばんわ、お邪魔してます」
「が、ガキ、これはお前の仕業か」
「はい、僕の攻撃です。
降伏してください」
「は?」
「僕の仲間に手を出そうとか止めて下さい」
「してねえ、してねえぞ」
「嘘はいけません」
「おい、止めろ、
そうだ・・・仲間になれ、好きな物が手に入るぞ」
「要りません、降伏してください」
「クソガキィィィィ!!」
ナームは、切りつけて来たが、海は、交わしてナームの首を落とした。
ナームが死んだ後、屋敷の中から女性を見つけた。
「こんばんわ、あなたが領主の娘さんですか?」
「はい、ルイーナです」
「では、領主の屋敷に案内してください」
「あの・・あなたは?」
「僕は海と言います。
それと、ナームは倒しました」
そう言って、娘を連れて領主の屋敷に行った。
不定期投稿ですがよろしくお願いします。
温かい目で見て頂ければ幸いです。




