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第三十三話 そんなに可愛い子が女の子な訳がない!

急いで路地裏に入ってみると、そこには予想どうりの展開になっていた。

何人かの男性に黒騎士さんが囲まれていた。

よく見るとオフ会の時に見かけた人も居る。

黒騎士さんを誘拐しようと企てていたのだろう。


「女の子一人に大人が寄ってたかって何をする気?」


美香に気づいたロリコン?達は何故か嬉しそうになる。


「こんな所に女ひとりで突っ込んでくるとか、マジで馬鹿なのか?」


「まあいいじゃねぇか…、一緒にヤっちゃおうぜ?」


ゲームでよく見るような下衆な笑いを浮かべて美香に寄っていく。

美香は気にすることなく黒騎士さんに声を掛けた。


「黒騎士さん、大丈夫? 必要なら蹴散らすけど?」


「我を助けることを許可しよう、存分にやるがいい!」


尊大な物言いだけど、昔からの付き合いなので慣れてしまった。


「ということで、覚悟しなさい!」


その一言で男たちは笑い出す。普通に考えたら勝てる筈もない。

あくまで、普通ならの話。

しかし、美香には関係ない。一気に近づいて一人目を蹴り飛ばした。壁にぶつかり、意識を飛ばした。周りが騒然とする中、美香は次々と蹴り飛ばしていく。

そして最後の一人になった時、面倒なことが起きた。

拳銃を取り出したのだ。

どこで手に入れたのかわからないような中国製の拳銃……下手に扱えば持っている方も危ない。

だからと言って美香は怯えない。

慣れすぎたのだ…。


「来るんじゃねぇよ、この女ぁぁぁぁぁあぁぁぁぁ!!」


パンッ…


乾いた音か辺りに響き渡る。

静かになった頃には男性は宙を舞っていた。

間髪入れずに美香は黒騎士さんを抱きかかえて走り去っていく。

その場に残ったのは意識を失った下衆しか残らなかった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



あれから五分後、美香は最初に居た「風林火娘」に入っていった。

放心状態の黒騎士さんを椅子に座らせて様子を見る。

数分立った頃に意識が戻った。


「……貴様は何者なのだ? 人間とは思えぬぞ」


「それは私のセリフ…」


魔王になった美香は前と比べて感知能力が飛躍的に上がっていた。だから、黒騎士さんから出ているオーラ的なものに気づけた。

あと、美香には聞かなければいけないことがある。


「黒騎士さんはどうして、女装(・ ・)しているの?」


それはさっき抱えて走った時だった。

腰のあたりを抱きかかえた時に女性ならありえない感触を感じたからだ。

それは美香にとって懐かしくもあり、いつか受け入れなければならないモノ。

………それは置いておくことにした。


「私も少しは話すから黒騎士さんの事も教えてよ?」


「うむ、こうなっては仕方がない」


黒騎士さんは渋々口を開く。


「我はエミリオ、吸血鬼エムプーサの末裔なのだ」


「エミリオねぇ…いい名前じゃない♪」


「驚かないのだな?」


「まあ、猫又やスキュラ、堕天使が身近に居ると驚かなくもなるわ…。そういえば、さっきの男性達はそれに関係あるの?」


「いや、関係ない。単なる偶然だな」


いつもそういうトラブルに巻き込まれていた美香はついそういう思考になってしまい恥ずかしくなった。


「助けた意味無かった?」


「いや、助かった…///」


顔が赤くなっていた。女性に助けられたのが悔しかったのだろう。認めるあたり、実力者なのは確かだ。


「そろそろMikaの事も教えてもらえぬか?」


さっきの一部だけでも、気になるのだろう。

美香は事実を言うことにした。

自身が魔物だと言うこと、最近魔王に認定されたこと……。エミリオはかなり驚いていた。


「つまり美香が件の魔王なのだな。まさかここで出会うことになろうとは……ぶつぶつ…」


考え事に集中しているエミリオに苛ついた美香は軽くデコピンする。


「考えこまないで早く要件を言いなさい」


「す、すまない…。我も驚いているのだ…」


エミリオは軽く咳き込んでこちらを向く。


「我は魔王美香殿を吸血鬼の晩餐会に招待したい」


随分テキトーな誘い方だなと美香は思った。

しかし、興味もあるので話を聞いてみることにした。自然と美香の目が紅く光る。


「私を呼んで何かしたいの、面白そうなら行くわ」


それを聞いて苦笑いするエミリオ。見た目が華奢な女の子なだけにドキッとさせられる。


「我々エムプーサはイギリス教会に目を付けられているのだ。そこで魔王となった美香殿に助けを求めようと動き始めたのだ。我としてはまだ準備の出来ていない来てもらい、ありのままのエムプーサを見てもらいたいのだ。それで助力するか決めて欲しい」


実に真面目な内容だった。面倒なくらいに…

でも、その考え方は嫌いじゃない。


「場所は?」


「魔界ですが「行くわ!」」


美香は即決した。

魔界に行けるのであれば話は別である。


「仲間を4人連れて行くから、それで日程を組みなさい」


「わ、分かった。日時は二週間後の夜。我が迎えに行こう」


メモに急いで書き込んでいるエミリオを美香は嬉しそうな顔で見ていた。

あれからエミリオの対応は早かった。

一週間後、嵩月組に迎えに来ると言ってくれた。周りに知られてはいけない状況なので納得だよね。

エミリオと別れた後、美香は興奮冷めやまぬ状態で嵩月組へと向かった。

………ニコニコしていたせいでナンパに何回も絡まれてしまい、蹴散らしたのは秘密。


ストーリーの規模が大きくなってきました。

最後まで書けるように頑張ります!

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