アマチュアはテストを受ける。
「それにしても……成長って言ったって……俺は特に修行とかしてないんだがな……」
そう確かに俺は、ここ数日で色々な事があり、精神的に成長はしてないが、前を向ける様になったわけだ。
だが戦闘面では特に、何かした覚えはないし、元々俺は戦闘面に関しては経験豊富な方なのだ。
「そうだね! 正直……一度亡と戦って見たかったからでしかないよ……でも、まあ本当に戦闘面ではプロレベルなのかテストしておくのもいいかなって!」
「全く……仕方ない……やってやるよ」
確かに、俺も一度心廻とは手合わせしたかったので、丁度いい機会だ。
なによりアレを使ってくるならある意味俺にとっては心廻と出会ったあの日以来ずっと考えてた事が通用するのか試せるいい機会だ。
「さ……やるよ! 亡!」
「言っとくが、俺も本気で行くからな」
心廻とどこまで渡り合えるか、ワクワクしている自分がいる事に、本気で心廻に前を向かされたのを改めて実感する。
「そうこなくっちゃ! 行くよ……空間格! 解錠……! 私の居る場所!」
心廻が技を発動させると、心廻の後ろに扉が出現し、世界が一回転する。
そしてさっきまで都会の風景だったのが一変して紫と黄金が混じり合う異質な空間になった。
「なるほど……そう来たか……」
「うん、あそこで戦うと目立ちすぎるしね?」
そう確かにあそこは人通りが少ないとはいえ王都、あんな場所で戦えば、それこそ指名手配でもされかねない。
「さ! じゃあ! テスト開始!」
心廻がそう言うと直ぐさま神殺剣畏怖を投げ飛ばし――。
「権利行使……推進力を発生させる権利を剥奪」
俺の目の前に差し掛かったその神殺剣の動きを停止させ、地面に神殺剣が落ちる。
「いきなり投げ飛ばしてくるとは……少しらしくないんじゃないか?」
そう心廻に視線を向けると――。
「なっ!」
「私、実は亡と龍波の戦い覗いてたんだ……だから私からも教えるね……?」
そう、心廻は俺の真上に移動し神殺剣畏怖を俺に突き刺そうと降下してきていた。
「くっ! 権利行使……! 浮力を付与!」
「甘いよ……! 万有格! 街角衝突!」
その瞬間浮き上がりかけた心廻が急速に落下してくる……!
「間に合え……! 権利行使……強化! 防御力!」
――ドゴッ!
鈍い音が鳴り、俺は地面に沈み、倒れ込む。
「……亡! いい? 三つ教えるよ? まず相手の武器が自由に出現させられるタイプかそれとも携帯タイプか見分けないと龍波にやった戦術は通用しないんだよ?」
迂闊だった、確かに言われて見れば、心廻は初めて会った時、神殺剣を自由に出現させていた。
「更に二つ目、もし相手が携帯タイプだったなら、今回は浮力付与するというのも問題だよ? だってあの戦術なら安全に避けて反撃できるだけど今回は判断ミスして能力に頼った結構がこれなんだから!」
確かに、あの時は余裕があったからギリギリまで引きつけられたが咄嗟の事だとあの戦術はまた俺には早かったと言う事だな……。
「そしてもう一つ……落ちてくるものに対して浮力を与えて上に押し上げようとしたんだろうけど、君の"力"の権利能力は、あくまで権利を操作するだけ、つまり理……宇宙のルールである中の一つ……万有引力には敵わないんだよ?」
「なるほどな……! つまり俺に引力を付与して神殺剣と俺を互いに引き合わせたってことか……!」
何とか大分ダメージは負ってしまったが……何とか立ち上がる……。
「正解! そういう事!」
「……心廻……確かにお前は強い……だが俺はまだやれる……!」
「いいね! じゃあ続きね?」
心廻は神殺剣をしまいその瞬間……。
「射格……! 千本針を射る……」
心廻の周りに大量の弓矢が出現し俺に向かってくる……。
「権利行使! 推進力を発生させる権利を……!?」
気付いてしまった……そう、アレが発動している事に……!
時間格……時の大遅刻……。
それは……世界から遅刻する技……。
実際に動いてはいるが世界から遅れてしまっている為、元の世界の時間軸からズレが発生し実質的な時間停止が起こるあの技……。
「ふっ……そういう事か……」
恐らく射格と同時に時の大遅刻を発動させたのだ……。
そうする事で俺に反撃も防御もさせないつもりなのだろう……。
俺は遅刻しているが……世界の時間はそのまま……。
つまり……つまり……もう……攻撃は元の時間軸では届いていると言う事だ……。
「正解……」
「心廻!」
「時間格……! 時の同期……! ……時間格施錠……!」
そうして再び俺は……元の時間軸に――!
「ぐっ!?!?」
その瞬間……俺の体に大量の矢が刺さり、俺は気を失った。
「亡……今回は私に負けたけど……頑張って! 応援してる!」




