アマチュアは役割分担をする。
「……その……なんで、一緒に住むことになったか説明してもらっても……?」
「それは簡単です……元々ここは、私の部屋ですから!」
夜桜が理由を短く述べた。
「なっ!?」
「そうだよ〜? 私の部屋、管理人室でさ、元々七理の教師だった夜桜が寮を管理してたから、そのままここを使わせてもらってるんだよ?」
心廻がそう続く。
「じゃあ夜桜はお泊りじゃなかったじゃないか……」
「そうです! どうです? 驚かせるためだけに、泊まりに来たフリをしていたんです!」
夜桜がドヤ顔で答える。
確かに管理人室は担任が使うのが決まりなら、夜桜がここに住んでるのはおかしなことではなかった……。
「でも、じゃあ水流先生は……?」
「はい……それが……」
「それも私から説明しましょう……副担任も七理の教師! 七理の教師は七理の寮も管理する! なら住まなきゃいけないのです!」
「と……まあ、無茶苦茶な理論でほぼ強制的にここに引っ越しさせられました……」
「はは……」
あまりにも水流先生が可哀想すぎて……ご愁傷様でしかない……。
「まあ……分かった、確かに昨日のお泊り会の事を考えるとメンバー同士の相性も良かったしな……俺も楽しかったし……その……よろしくお願いします……」
「もう〜! 亡! 今更、改まった挨拶はいいのに! 私達が亡をプロとして立派に育てるから安心して暮らしてね!」
「そうですね……私も住む以上は、手厚くサポートさせて頂きます」
「そうそう……これで万事解決ですね!」
「夜桜……お前は少し反省しろ……」
こうして三人と住むことになったが……。
なら決めることがある……。
「じゃあ、家の家事はどうしましょうか?」
そう役割分担だ。
流石にこの部屋に4人で住む以上誰が何をやるかは明確にしておいた方がいいだろう。
「ちなみに、部屋割りも決めないとですね……」
「草羽君……私が居るからその喋り方なんでしょうが……私の事は気にしなくて良いですよ? これから一緒に暮らすんですし」
「……分かり……分かった、その……海月って呼ぶ方が分かり……分かりやすくなるよな?」
「そうですね、私も亡と呼びます」
こうして海月とも距離が縮まった。
「さて、部屋割りだが……」
肝心な部屋割り……これは結構大事である。
管理人室は元々学園長の部屋だけあって広く四人で暮らせる部屋数は足りている。
玄関がありそこからまっすぐの廊下のそれぞれの左右に五部屋があり、まっすぐ進みきれば広いリビングになっている。
部屋数は全七部屋、リビングの右奥にキッチン、その奥にまたまっすぐ少し狭い廊下があり、左右にも分かれておりそこに二部屋、そしてまっすぐ行くと脱衣場と風呂場、脱衣場の前の廊下の左にトイレがある。
「さて……何処にする? 心廻、夜桜、海月」
「私は亡の隣の部屋! なんだったら同室でもいいよ!」
「は? 何言ってるんですか……? 心廻……! 私が亡と同室です……!」
「えー? 夜桜にはまだ早いよ〜? 亡のパートナーはこの私なんだから!」
パートナー!?
ちょっと大胆だな心廻!?
「ぱ、ぱ、ぱぱ……パートナー……!? 心廻!? 私を差し置いて、パートナーとは、どういう事ですか!?」
そうだぞ……?
俺達、まだ関係性の順序ってものが……。
まあ、悪くないけど……。
「え? だって、私、亡の相棒だからね?」
「は???」
「? どうしたの亡?」
「い、や、……なんでも……なんでも、ない……うん……」
また、勘違いした……!
心廻は、相棒って意味だったのに!!!
俺が何か勝手に勘違いして舞い上がってた……。
いや……冷静に考えるとなんで俺は……こんなに舞い上がったんだ……?
「なんですか……そういう事ですか……なら私も亡のパートナーと言う事で……同室ですね!」
「ああ……学園長……まさか、こんなにおかしな人だったなんて……」
完全に海月が引いてる……。
こうして結局、部屋割りは決まらず、家事の役割分担からやる事にした。
「それにしても、学園長……心廻さんとは? 我音さんですよね? その娘は」
ああ……改変の影響で心廻という生徒の記録も無くしたから、海月先生は覚えてないのか……。
「その……事情があるから心廻が本名だが……我音と名乗ってるんだ」
「事情……ですか……分かりました、心廻と呼ばせて頂きます、それと学園長……いえ夜桜! 学園長ならもう少しちゃんとして下さい!」
「は! はい!!!」
あ、完全に夜桜のお母さんだこれ……。
「本名……ねぇ……?」
「心廻?」
「いや? なんでもないよ!」
心廻が何か言っていたが、まあなんでもなかったのだろう。
「さて、じゃあ、俺が、料理でいいかな……その洗濯やトイレ掃除はね……?」
「え? なんで? 洗濯?」
心廻が本気で分からないと言う顔でこっちを見てくる。
「いや……ほら……その……」
「心廻……警戒心は持ちましょう? ね?」
海月が優しく諭すが……。
「うーん……? 警戒心? 亡に? ないない! 亡はそんな男じゃないから!」
いや……そんな男でもあるから困るな……。
「……ま、まあ! とにかく俺が料理を担当するから後の家事を決めよう」
そうして話し合った結果。
掃除が海月。
洗濯が夜桜。
ゴミ出しと買い出しが心廻と俺になった。




