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「2」

ブックマークなどありがとうございます!

 講義が終わるとサークルの見学があると俊哉はどこかに向かっていった。

 俺は今後の作戦を練ることにする。


 まず前提として、俺には昔の俊哉か必死の調査によって計算された香織さんの行動データがある。

 それによって、何時にどこで何をしていたかをゲームに組み入れることにより、主人公(俊哉)の行動がどのような結果になるなどが決まる仕様にしていたはずだ。


 そして、過去3回を思い出してみても、その行動に大きな変動はなかった。


 つまり、どこでバイトをして、どこに住んでいて、どんな単位を取っていくかなどは何か事件が起きない限りは変わらないということ。


 そして、香織さんと俊哉を繋ぐ役割をする為には、なるべく2人の側にいた方がいいのだろう。

 香織さんは同じ大学の違う学科だったと記憶している。1年の時は大学の場所が違う為会わず、2年の夏、美術の授業で初めて出会ったと話していた。(そしてゲームが始まるのもそこからだった)

 つまり、俺が今後取る科目について、2人と関係がなく、1年の時から取れるものは取っておく事は大前提として、2年の夏に美術を取れるようにしておくのは必須と、頭に記憶しておこう。



 今の段階から香織さんと知り合いになっておくのも悪くないかもしれない。

 例えば、バイト先が同じ、とか。

 確か香織さんは同じバイトを4年間勤めていたはず。



 そういえば明日、俊哉からルームシェアを提案されるんだった。

 そのルームシェア場所から香織さんのバイト先までとても遠い。



 それならばルームシェアをする場所を違う場所にするというのも手かもしれない。


 今までは、学生向けマンションで、大学まで徒歩10分、個室が2つ付いた月10万の場所だった。

 そこだと香織さんのバイト先まで、わざわざ電車に乗らないと行くことは難しい。

 こんなに大学が近くにあり、飲食店も割とあるならば、電車に乗ってわざわざ遠出もしないだろう。


 とりあえず今日は良さげな住まいを探して俊哉の提案を覆す事が出来るくらいの部屋を探しておこう。

 最悪自分の部屋はロフトでも構わないのだ。



 そして、せめて香織さんのバイトをする簡易型のカフェもしくはその近くでバイトを始めよう。

 前回までの俺は時間があるからと、家でネットサーフィンばかりしていたダメなやつだったから丁度いい。



 そこまで考えをまとめると、席を立ってリュックを背負う。


 この大学から実家までは2時間。


 帰るだけでも億劫になるその距離を思い出してため息をついたのだった。









「本当にここでいいんだな?」


「うん、ここなら溜まり場にならないと思うし」


 結局俊哉に提案したのは大学から二駅離れた駅から徒歩5分位、2階まである部屋だった。

 家賃は変わらず10万だが、以前と違い各部屋が1階と2階という仕組み、そして、キッチンも広くバストイレも別。近くにスーパーもあり、コンビニなども徒歩3分くらいの場所にある。

 更にゴミはいつ出しても大丈夫。


 なんて素晴らしい場所なんだ……。


 因みに俺が選択した部屋は1階。


 これで、俊哉に万が一彼女が出来たとしても、1回俺の部屋の前を通るという仕組みだ。

 代償に俺の部屋はキッチンと繋がっている為、扉がない。プライベートは開けっぴろげで行くスタンス。

 それに、彼女を作るつもりもないし。


 ならば尚更扉は必要だって?

 ……なんのために携帯に防水機能がある物を選んだと思ってるんだ。




 さて、まず第1関門突破だろう。


 俊哉に


 1、もっと広い部屋があるはず

 2、サークルの溜まり場になる可能性

 3、近くにスーパーとコンビニがあるがあった方がいい


 というプレゼンテーションをした結果だ。


 3回会社を設立させてゲーム販売の営業をしていた経験が生きている。

 ナイス、前の俺、ちゃんと学んで学習してるよ。



「それで、どうする?」


「ん?」


「家事とかできる?」


「実家だったからなー……料理は作れるけど他は微妙

(という設定)だわ」


「ふーん、じゃあ、役割決めよう」


「あ、あとさー」


「なんだ?」


「しゅんや彼女、いる?」


「居ないけど」


「なら、ルームシェアしてるし、一応相談するという事でいかない?」


「あーまぁ、そうだな、分かった」


「うんうん」


 うん…これを挟む事でうっかり彼女が出来てしまったという事もないはず。

 とりあえず、なんとか文句をつけて来年の夏まで回避しよう。


「…………」


「ん?なに?」


「いや、しゅんやはかっこいいからなー」


「あ?キモいこと言うな」


「…………」


 言わないけどな、お前残念なイケメンになるんだぞって言わないけどな!

 でも本当に、香織さんが居なければ俊哉は完璧な人間なんだろう。

 外見もかっこいいし、身長も高くてスタイルもいい。性格もさっぱりしてるけど優しいし、勉強も、運動もできる。


 そんな完璧な人間が、好きな女ができた途端、探偵とか使って行動調べたり、自ら聞き込みして友人関係探ったり……。

 そんなキモい男になってしまうなんて。


 本当に残念でならないよ、俺は。


「はぁ……」


「なんだ、喧嘩売ってんのか?」


「売ってない売ってない」




 引っ越しは1週間後、その後にテストがあって夏休みが来る。

 俊哉はその夏休み中サークルで、彼女ができ、その彼女が別れてくれない例の彼女になる訳だ。


 サークル……入りたくないけど、入って阻止するというのも考えよう。


 俊哉は何サークルに入ったんだっけ。



お読みいただきありがとうございます!

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