第二話
意外なことに一番冷静なのはあたしだった。
あたしは勇者、幼い彼女が大好きだったはずのに。
あたしには怒りもなく諦念だけだった。
あぁ、やっぱりこうなったか。
最初に思いついた言葉がそれだった。
魔族に滅ぼされつつある人類。
そんな中人類の希望が魔族を擁護しようとしたら。
結果がこれだ。
幼い彼女は人類に期待しすぎていたのかもしれない。
きっと幼い彼女は、薄汚い人類が幼い彼女と同じように綺麗なものだと勘違いしていたんだと思う。
処刑されるその時まで信じていたんだと思う。
次に意外だったのは聖女だ。
全ての人類を愛しているように振る舞っていた彼女はいなくなった。
自らの宗教的権威を使いこの国を魔族に味方する人類の敵に定めた。
宗教国家と人類同士の戦争が始まった。
聖女は朝も夜なく人を修理して戦わせた。
この国はもう滅ぶ寸前だ、他ならぬ人の手で。
魔術師はいなくなっていた。
何もかも嫌になったのかもしれない。
あたしも同じ気持ちだ。
あたしはただ見ていた。
国の滅ぶ様を。
あたしはただ見ていた。
人の醜さを。
あたしは思い出していた。
幼い彼女を。
あたしの、あたしたちの勇者がこんなことを望むわけがない。
怒りに支配されつつもあたしは無力だ。
あたしにできることなんて何もない。
そんなあたしの前に突然魔王が現れ、こう言った。
「人類を滅ぼせ。そうすればお前の願いを一つだけ叶えてやる。」




