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魔王合体エヴィルドライ  作者: 南ノ森
酩都炎上、そして
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混沌!!『影』の暗躍(前編)

 ゼーエンに弦月ノ森へ呼ばれたレイレス一行。そこで彼は、エヴィルドライの力で結界を展開する命を受けていた。

 しかし、そこで迎えていたのは2体の見知らぬエヴィル。しかしてその正体はゼーエンの蘇らせたエヴィルピクシーとエヴィルスプライトであり、レイレスのエヴィルドライは結界の展開に必要な魔力操作の修行のため戦わされていたのだった。

 だがその直後、森が何者かの襲撃を受ける。そして……『影』と名乗る者が彼らの目の前に現れるのであった。

「『影』……お前はいったい、何者でありんすか!!」

 暗闇に潜む『影』を睨むゼーエン。『影』は暗闇からローブに身を包み、仮面で顔を隠したその姿をチラつかせて笑う。

「さあ……でも、何でも屋ってのがしっくりくるかな?例えば……この戦争の火に、油を注ぐとかさぁ」

「なんだと……!!」

 レイレスの表情が強張り、『影』に掴みかかる勢いで迫る。

「あの日……街に機械を放ったのはお前か!!なんでそんな事をしたんだ!!」

「怒んないでよぉ……ボクだって仕事だったんだ、ボクに文句垂れても何も出ないもん」

「ふ……ふざけるな!!みんな……みんな傷付いて、いっぱい死んだんだぞ!!」

 レイレスはその胸ぐらを掴み怒りをぶつける。だが……『影』は不敵に笑い声を漏らす。

「クキキキキ……」

「なっ……何が可笑しいんだ!!」

「いや、ね……良かったってさ。『いっぱい死んだ』んだろう?それは良かったよ」

「お……お前ェ!!」

 レイレスが殴りかかろうとしたその時、腹部に何か固いものが当てられていることに気がつく。

「おっと。本来はこっちのが本業なんだよね」

「く……っ」

 『影』の手にはナイフが握られており、刃の腹が当てられていた。

「下手な気ぃ起こすなよな?もっとも、狙いはキミじゃあないんだけどね」

「そ、それはどう言う……」

 言いかけた時、相手の狙いに心当たりがあったゼーエンが割って入る。

「ところでお前さん……泉の入り口には見張りがいたはずでありんすが?」

「……さあ、どうだろうね。って言っても、多分ご想像通りだよ」

「ウチを狙うためだけに、他(た)の命を殺したか……」

「だって、1人も2人も一緒だろう?いや、この先長引けばもっと……ね」

 再び、地鳴りが鳴り響く。

「行かなくていいのかい?また『いっぱい死ぬ』よ?」

「っ……」

 レイレスは一歩下がり、ゼーエンたちのいる方へ振り向く。その意思を汲んだヒューゲルとネーゲルは頷き、レイレスと共に寺院の出口へと向かった。

 そしてゼーエンも、シュメッタとシュメッテに後を追わせる。

「おや、いいのかい?お付きを行かせてしまって」

「あまり舐めない方がでありんす。森の長が下手に長生きしてない事を知るでありんす!!」


 レイレスたち5人が寺院を出ると、そこかしこから煙が上がっているのが見えた。

「森が……燃えている……!!」

「そんな……」

 一同は戸惑い息を飲むが、煙の間を縫って見下ろす3つの巨大な影に気付いて構える。

「あれはこの間の……いや、色と装備が違う」

「おそらく……いや、全く別の機体でしょう」

 それは、3機のトロイフレーム……エンツィアのグラナトロイ、シェフレラのアハートロイ、バンブスのモリオントロイだった。

『魔王軍の新兵器!!こんなところにある事は分かり切っているんだ!!潔く出てこい!!』

 3機は泉に降り立つと、辺りを見回して寺院に狙いを付ける。

『誰か居る……子供っぽいな?おーい!!ここは危ないから逃げなよー!!』

「なっ……」

 その呼び掛けに困惑するも、レイレスは拳を振るわせて叫びを上げる。

「どの口が……どの口が言うんだ!!」

『ありゃ、っかしいな……?聞いてた話と違うような』

『そんな事より、早く敵の新兵器ってのを探さないと……』

『…………』

(新兵器……?エヴィルピクシーとエヴィルスプライトの事か?誰も知らない筈なのに……まさか、これも『影』が絡んでいるのか?)

 歯を食いしばりながらも考えていると、その間にも敵の3機は波を立てながら泉を歩行する。

「アイツら……!!」

 危機を感じたレイレス一同は寺院を飛び出す。そして、天高く手を上げ愛機の名を叫ぶ。

「エヴィルアインッ!!」「エヴィルファルケッ!!」「エヴィルウォルフッ!!」

 それに続き、シュメッタとシュメッテもそれぞれの愛機を呼び出した。

「エヴィルピクシーッ……!!」「エヴィルスプライトッ……!!」


 エンツィアたち3人は、ディステル王から『弦月ノ森にある敵の秘密兵器を伐て』という命令をを受けていた。

 そのため、突然目の前に現れたエヴィルドライの姿に驚いた。

『げっ!?なんで魔王いんの!?聞いてないよ!!』

『とっ、とにかくどうにかしないと……!!』

 3人は得物を構えて立ち向かう。それと同じく、エヴィルドライも『ツェアシュテールング』を呼び出して構えを取り、エンツィアたちへと呼びかける。

『お前たち……なんのつもりでここに来た!!』

『決まっているだろ?正義に背く者たちを成敗するためだ!!』

『正義……だと?』

 その言葉にレイレスは腹の中が煮え返るような感覚を覚える。次第にそれを堪えられなくなり、耐え難い怒りを込めて剣を振った。

『抜かすなッ!!』

『おわっ!?』

 エンツィアのグラナトロイは、瞬時にそれを『ファキュラ』で受け止めて凌ぐ。

『キサマは……自分のやっていることが分かっていながら正義を語るのか!!』

『そりゃあアンタらも他人(ひと)の事言えんのかって!中立地域で隠れて新兵器だなんてどっかで聞いた話、マジでやっちゃってんなら笑い話にもなんないって!!』

 ガチャガチャと鍔迫り合いが続く最中、2人の横から光刃を展開したエヴィルピクシーとエヴィルスプライトが、グラナトロイ目掛けて刃を突き出し突っ込んでくる。

『泉を侵す不届者!!その罪を思い知れッ!!』

『凪を侵す不埒者!!その傲慢を悔いれッ!!』

 だが、後ろで控えていたアハートロイとモリオントロイが割って入りその刃を盾で防いだ。

『やっぱり……あったんだ、新兵器……!!』

『…………!!』

 アハートロイとモリオントロイは盾を振り光刃を弾くと、3対3となりお互いに睨み合いの状態になる。

『まあ丁度いいや!!証拠も揃ってるこったし、ここまで来りゃ遠慮なんて必要無いよな!!』

 エンツィアはそう言うと、『ファキュラ』と反対の手に持っていた盾を変形させて剣にさせ、二刀流の構えを取る。

『心置きなく戦える相手が欲しかったんだ、リベンジ申し込ませてもらおうか!!』


 その頃、弦月ノ森の都『酩都(めいと)』では、あちこちで火の手が上がっており、人々が逃げ惑っていた。

「火だ……火だぁ!!!!」

「誰か水を……!!火を消してくれ!!」

 混乱の渦に飲まれる民衆。木製の建物は燃え盛り、隣接する建物や樹木へと次々に燃え移っていた。

 その最中、何やら足音のような複数の大きい振動が鳴り響く。そしてそれが近付いてくると、火の燃え盛る建物がガラガラと音を立てて崩れて行き、煙を上げて鎮火する。

『早ァく火から離れェるであァアる!!』

「ゴーレムライダー隊だ……!!」

「ありがとう!!恩に切るよ!!」

『いいから逃げるのであァアる!!』

 ホルンの駆るゴーレムは掃くような仕草をすると、再び燃え盛る建物へと向かって行く。

(それにしても妙であァアる……もしこのボヤが人族の仕業であれば、こんなに人族の居る場所に火を付けるのであァアろうか?)

 そう考えながらも、燃える建物を崩して被害のない建物を守るホルンのゴーレム。それに続き、他のゴーレムも火消しを行なっていく。

 その時、建物が崩れるのでもなく、ゴーレムの足音でもない振動がひとつ響く。

『なんであァアるか!?』

 皆一同に、音のする方へと振り向く。

 そこには……堂々と盾を構え、人々の逃げ惑う通りに立つ黄色のトロイフレーム……ランタナの駆るトパーズトロイの姿があった。

『おぉっと……勢い余って何匹か虫ケラを踏み潰したかな?』

 トパーズトロイが足を引き摺ると、地面に赤い線が伸びる。

 それを見た民衆は驚愕。阿鼻叫喚の声を上げながらあらぬ方向へと散り散りになる。

『おいおい、こちとら助けに来た『体(てい)』で来てるんだ。逃げられちゃ敵わない』

『キサマァ!!なんのつもりでェあァアるかァ!!』

『何って、簡単な害虫退治さ。『中立地域に火を付けた反乱分子を『栄光の七騎士(ロイヤルセブン)』が退治。一般人の多大な犠牲を払うも敵の新兵器を撃退、見事暁ノ国は敵の戦力を削ぐ事に成功』。そういうシナリオなのさ』

 噛むように笑いながら語るランタナに怒りが込み上げるホルンだったが、どうにか堪えて疑問を投げかける。

『そんな事……我々に話してどういうつもりであァアるか……?』

『知れた事……ここでキサマらを駆除してしまえば、全てはただの『独り言』よ……!!』

 ランタナのトパーズトロイは、斧型魔装『ヴート』の握りに盾を装着、ハルバードのような形へと変形させる。

『知っているか?ヴァルキリーヘッドの進化とは、魔族がゴーレムに乗ってから始まった……と』

『されとて……ゴーレムライダーにも進歩というものはァあるのでァアる!!カモォオン!!』

 ホルンが合図をすると、4体のゴーレムが武装を運んでホルンのゴーレムへと装着し始める。

 両腕には合金制のマジックハンド。両肩には背部から伸びる大砲の砲身。胴体には強固な甲冑。そして両脚には、全重量の負荷によりままならない歩行を補助するための車輪が備えられた下駄が装備される。

 そして、全ての武装を身につけたホルンのゴーレムはその10mのボディを全長15m程まで膨張していた。

『見よッッ!!これぞゴーレムライダーの意地ッ!!名付けて『タンカーチャリオッツ』であァアる!!』

『ハンッ、遊びならあの世でやっていろよ!!』


 森のあちこちで騒ぎが起きている最中、ゼーエンと『影』は未だ刃を交えていた。

「はっ!!」

「なんの!!」

 『影』は寺院内を身軽に飛び回りながらナイフを突き立てる。

 それに対し、ゼーエンは様子を伺いながら扇を舞わせるように振って対抗する。

「芸者遊びは楽しいかい、森の長さんッ!!」

「さあ?こういう激しい接待、ウチはなかなかしはらないでありんすからねぇ」

「へぇ、な割には楽しそうじゃんよォッ!!」

 ナイフと扇が激しくぶつかり、派手に火花が飛び散る。それは薄暗い寺院内では眩く、更に2人の力量を感じさせる。

「ところであんさん、どこからどこまでが魂胆なのでありんすか?ウチの暗殺、隠していたエヴィルの破壊、そして結界の展開の妨害……たった数日の暗躍で、ここまで深く探りを入れられはしない筈でありんす」

 尚も、刃が混じる。

「なら答えは簡単でしょ。『影』はボクだけじゃない……複数人で弦月ノ森の情報を得て、更に複数人で情報を橋渡しする……そうしてこっちの情報を基地に渡して、攻めやすいタイミングを作ったのさ!!」

 尚も、刃が混じる。

「しかして、人族を巻き込むような大胆な作戦……そちらの国にとっては四肢を断つに等しい愚行でありんす」

 尚も、刃が混じる。

「知らないよ、あんなの。表向きじゃあ救出対象扱いになってるけど、裏じゃあ反乱分子として損切りされてんだもん。仕方ないよね……だって戦争になっても敵国でしたい放題だったんだし」

 尚も……刃がぶつかり、鍔迫り合いになる。

「そんなんだから皆ここに逃げたくもなるでありんしょう!民に見限られるような国に忠誠を誓うあんさんらには、矜持(きょうじ)とやらはありはしまへんのか!!」

「矜持……信念、プライド……そんなんで腹が膨れりゃわざわざ暗殺なんてやんないっての!!」

 ゼーエンが刃を弾き返し、『影』は宙返りして距離を取る。

「そうか……あんさんは空っぽなんでありんすねぇ……悲しいかな」

「違うね。ボクはね、あの人のおかげで満たされているんだよ」

 そして、再び構えを取る。

 出方を伺おうと、互いの目を睨んだまま動かずに暫し静寂が流れる。

「……それとね、言い忘れていたんだけれど」

「……はぇ?」

「……仲間は検問の中にもいるんだよね」

 その時、一瞬の光と破裂音が寺院内に響き渡った。

宜しければご評価、ご感想いただけれは幸いです。

読んでいただきありがとうございました!

後編もお楽しみください!!

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