開戦!!妖精機ツインエヴィル(前編)
宵ノ国と暁ノ国……一触即発の状況の最中、暁ノ国は前進基地を宵ノ国の弦月ノ森付近に設置する。
それを危惧したゼーエンは、エヴィルドライを操れるレイレス、ヒューゲル、ネーゲルの3人を中心とした一団を『酩都』に招き入れ、結界を張る準備を進めていた。
だが……彼女に招かれ、魔力を帯びる泉へと辿り着いたレイレスたちが見た物は、誰も知らない2体のエヴィルだった。
「ちょっ……な、なんだよぉこりゃあ!?」
「まさか、私たちの乗るエヴィルの他にもあったなんて……」
目の前に現れた2体のエヴィルは、背中にある蝶のような羽によってその15m程の機体を泉の上に浮かせてレイレスたちを見下ろしている。
『泉へ立ち入った者には罰を』
『泉を侵す者には裁きを』
「ま、待って待って!!僕たちはゼーエンさんに呼ばれて来てるんだ!!まずは話し合おうよ!!」
必死でエヴィルの乗り手に声をかけて止めようと試みるレイレスだったが、相手は問答無用といった風に聞く耳を持たなかった。
『泉を穢す者……この『エヴィルピクシー』が裁きを与えましょう』
『泉を侵す者……この『エヴィルスプライト』が罰を与えましょう』
「あーもうこのままじゃあ埒あかないよ!!」
「仕方ないです!こうなったら我々も応戦しましょう!!」
「そうだね!!」
3人は頷くき、天高く手を上げ愛機の名を叫ぶ。
「エヴィルアインッ!!」「エヴィルファルケッ!!」「エヴィルウォルフッ!!」
名を呼ばれた愛機たちは、天空から木々の間を抜けて降り立ち3人の背後に立って待機。そして3人は乗り込んで目の前の2機へと対峙する。
『相手の実力は未知数です……ここは合体せずに様子を見ましょう!』
『オッケー!!』
『ああ、分かった!!』
エヴィルアイン、エヴィルファルケ、エヴィルウォルフの3機は散開し、相手を囲う形になる。
『出し惜しみは無しだ、たたみかけるッ!!』
3機は一斉に飛びかかり、陣の中心に捉えた相手を狙う。
『逃しません!!』
ヒューゲルは、エヴィルアインとエヴィルウォルフに挟まれた2機が回避のために飛ぶことを考慮し、高めの位置から攻める。
だが、向かって来る3機に対して2機は片手から魔力の障壁を出して防御する。
『そんなもんッ!!』
エヴィルアインは拳、エヴィルウォルフは頭でその障壁を殴りそれを破壊。そのまま突っ込んで行き……もう片手の障壁によって吹き飛ばされてしまう。
『ンむぐゥ!?』
『ぐぁッ!!』
そのまま勢いよく飛んでいくエヴィルアインとエヴィルウォルフ。そこに向かって行くエヴィルファルケだったが、相手の2機は横が空いた事によって素早くそれを回避した。
『くっ!しかし!!』
エヴィルファルケは逃がさないと言うように間近にいたエヴィルピクシーに狙いを付けて追い回す。
エヴィルピクシーのスピードはエヴィルファルケと比べて速さで負けており、その距離はすぐに縮まっていく。
『これでッ!!』
そのまま突っ込んで行くエヴィルファルケだったが、その横からエヴィルスプライトが脚を突き出して胴体に強烈な蹴りを入れて来た。
『キャあああ!!』
『無駄な事はしない方があなたのため』
『馬鹿な真似はしない方が皆のため』
再び泉の真上で静かに浮遊する2機。そこに、エヴィルアインが再び拳を振りかぶって向かって行く。
『うるせぇぇぇ!!俺たちはまだ帰るわけには行かないんだよォォォ!!』
渾身の一撃を叩き込むエヴィルアイン。
だがやはり、その拳は相手の2機の張った障壁によって防がれてしまう。
『物分かりが悪いですね』
『頭が悪いですね』
『ッせぇ!!テメェらにゃあ言われたかないよ!!』
『帰れと言うのが』
『分からないのですか』
『帰らないってのが分かんねぇッてのかよォ!!』
障壁に突きつけた拳を更に押し込んでいくエヴィルアイン。エヴィルピクシーとエヴィルスプライトはそれを力づくで押し返す。
しかし、相手がエヴィルアインに釘付けになっているその隙にエヴィルファルケとエヴィルウォルフが横から突撃してくる。
『いい加減に話を聞きなさい!!』
『そうだァ……ぞッ!!』
2機の衝突の寸前、エヴィルピクシーとエヴィルスプライトは空いている手で障壁を張りそれを防ぐ。
『俺たちはゼーエンさんに、森を守るよう言われて来てるんだよ!!敵も森の周りに基地を作ってる!!ここで足止め食らってる暇ァないんだよ!!』
エヴィルアインは尚も拳を押し込む。
すると、障壁を張って防いでいたエヴィルピクシーとエヴィルスプライトがだんだんと押されて行き、その機体を後退させる。
『!?』
『面白い……手加減してやる必要はないみたいですね』
そう言うと、エヴィルピクシーとエヴィルスプライトは背中の羽を合わせて魔力を高め始める。
『天なる光出し刻よ』
『我再び天へと光返さん』
そう唱えた瞬間、羽から光の粒が溢れ出して周囲に爆発のような瞬きを放ち、爆風でエヴィルアインたちを吹き飛ばして行く。
『があアアッ!!』
『『エクスプロディーレン・リヒテン・ゲトライデ』……』
『さあ、近付けるものならどうぞ?』
『な……ッめんなよォォォ!!』
エヴィルアインは光の爆発をどうにか耐えると、エヴィルウォルフの額に手を当てて合体の体制に入る。
『『ツヴァイユニオン!!モーダス・ウォルフ』ッ!!』
合体詠唱を唱えると、2機の周囲に出現した球体が拡大する。そしてその空間内で2機の形が変形していき、ひとつの存在へと合体した。
『疾走合体!!エヴィルツヴァイ・ウォルフ!!』
合体が完了し、エヴィルツヴァイ・ウォルフは水面を疾走しながらも光の爆発を回避してエヴィルピクシーとエヴィルスプライトへと近付いて行く。
『無駄な事……』
『これで……!』
エヴィルピクシーとエヴィルスプライトは再び障壁を展開すると、それを振り回して回転する刃として投げ飛ばす。
『そんなもんで……ッ!!』
エヴィルツヴァイ・ウォルフはその刃を蹴りながら飛び上がり、相手の目の前まで飛びかかる。
そして、逃げられないように半実体の分身で囲い込み、鋭い爪をエヴィルスプライトに向かって振り下ろした。
『でやああアアァァ!!』
『させない!!』
『それはこっちの言葉ですッ!!』
障壁を展開してエヴィルスプライトを守るエヴィルピクシーだったが、横からやって来たエヴィルファルケの翼の攻撃によって阻止されてしまう。
『くっ、小癪!!』
『どォうもッ!!』
防御役をしていたエヴィルピクシーが目の前からいなくなり孤立するエヴィルスプライト。
必死の抵抗に障壁を展開するも、合体してパワーの上がったエヴィルツヴァイ・ウォルフの爪は障壁を砕き抜いてその機体に渾身の一撃を与えた。
『ッきゃあッ!!』
『シュメッテ!!』
エヴィルピクシーはエヴィルファルケを突き飛ばし、泉に落ちたエヴィルスプライトへと駆け寄る。
『だ、大丈夫……それよりシュメッタ、コイツら泉を波立たせた……!!』
泉から上がり機体を浮遊させるエヴィルスプライト。
そして、エヴィルピクシーとエヴィルスプライトは手を合わせて再び魔力を高め始める。
『後悔するがいいです……』
『魔脈を乱す者たちよ……!』
魔力が高まった2機は繋いでいない手を前へ向けると、その魔力を一点に集中させて更に凝縮させた。
『『ディフュージョン・リヒテン・ゲトライデ』ッ!!』
そしてその魔力の塊は弾け、複数の光弾と化してエヴィルツヴァイ・ウォルフとエヴィルファルケを追尾して襲い来る。
『さあ』
『喰らうがいいです……!』
『なっヤバっ……』
迫り来る全方位攻撃。
レイレスたちはそれをどうにか回避しようと試みるが、どこまで行っても追ってくる光弾に対して成す術がなく、回り込まれてしまい集中砲火を浴びてしまった。
『ッがあアアッ!!』
爆炎に飲まれるエヴィルツヴァイ・ウォルフとエヴィルファルケ。
爆発の衝撃が森に響き渡る中、シュメッタとシュメッテは煙が晴れるのをじっくりと見届ける。
そして、その姿が顕になった時、2人は息を飲む。
『っ……やはり……』
『一筋縄とは行きませんね……』
そこに現れたのは、爆煙に紛れて合体を完了させていたエヴィルドライの堂々たる御姿であった。
『ンなろぅ……いい加減にしやがれよ……!!』
宜しければご評価、ご感想いただけれは幸いです。
読んでいただきありがとうございました!
後編もお楽しみください!!




