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狩り人51

ダリルが、彼を介抱してくれていたハンターの後方に見たモノは…

彼にとり悪夢に近い光景であった。

彼が決死の覚悟で破壊した角。

確かに消し飛ばし跡形も無い状態なのだが…

そこへとバリスタの鉄矢が突き立っていた。

何の冗談か、神の気紛れ、悪魔の悪戯か…

その鉄矢が角の代わりへと。

再び纏われる風の守り。

晶武器による攻撃により、剛毛を削られ甲殻を砕かれたり剥がされたり…

全身がボロボロになり露わとなった脂肪や筋肉へと、ワラワラと群がったハンターや騎士が叩き込んだ攻撃が。

血だらけとなり追い詰められたガルオーダ。

目が血走り怒り狂っている。

瀕死に近い状態とも言えるが…

追い詰められた獣は怖い。

故に手を抜かずに攻め立てていた。

そして、その思いはバリスタの射手とて同じ。

助けになればと放った1矢。

此方に振り向いた状態にて放ったソレは、狙い違わずヤツの左額へと。

骨か何かに当たったのか、致命傷にはならなかった。

だが、確かにダメージを与えた。

「良しっ!!」

思わず拳を握る。

そんな彼の目にも異変が飛び込んで来る。

「ま、まさかっ!?」

愕然と。

自分が放った乾坤一擲の1矢が、事態を悪化させるとはっ!!

正に悪夢である。

だが安全な高台より状態を見ている彼より、実際にガルオーダと対峙している者達の方が悪夢と感じていた。

あの悪夢再びっ!

そう…

ヤツが、再び、動いたっ!

そう…

あの雄叫びを始めたのだっ!

【アゥォォォ~

 アゥォォォン。

 アォォォンッ!】

っと3度の雄叫びを。

「総員退避ぃぃっ!」

「逃げろぉぉっ!

 あの嵐が来るぞぉぉっ」

何処へ逃げろと言うのであろうか?

渓谷の上でも多大な被害を被ったのである。

今、彼らが居るのは渓谷下、渓谷内部とも言える場所。

渓谷上にまで駆け上がる時間など無い。

岩陰などに隠れても、渓谷奥の袋小路である場所なのだ。

暴風が隅々まで襲い掛かって来るであろう。

逃げる事も隠れる事も能わず。

正に絶体絶命と言うべき状況であろう。

そんな中、ゼパイルが覚悟を決めた様な顔に。

振り返りダリルを見るゼパイル。

「な、何を…」

ダリルは離れていて聞こえない筈の師であるゼパイルの声を聞いた気が…

いや。

確かに聞こえた。

それは…

「さらばだ」

そう静かなる決別の言葉。

「なっ!

 待っ…」

その声は、ガルオーダが上げ始めた咆哮に掻き消された。

【ゴゥガァ…】

だが…

その咆哮は最後まで発せられる事は無かった。

「ぬぅぅぅんっ!!」

師、ゼパイルの声が轟く!

その身体からはバリバリと雷が放たれている。

彼の持つ晶武器。

灼熱を纏う大剣が白銀に輝く。

ゼパイルが大剣を上段に構え、一気に振り下ろした。

剣先は、まるでガルオーダへは届いて無い。

空振り?

いや、違う。

大剣より放たれたエネルギーを伴い振り下ろされていたのだ。

ガルオーダの上空より振り下ろされたエネルギー体。

それがヤツを襲い、ヤツを一刀両断!

放ち掛けていた暴風をも消し飛ばしていた。

それは一瞬の出来事。

瞬きを行えるかの刹那の時間。

その神速の一撃にて、獣竜ガルオーダは命を散らせたのであった。

だが…

ゼパイルの放った一撃は、ソレだけには止まらなかった。

ガルオーダを両断した力は大地までを切り裂いた。

渓谷内へ更なる断崖が生み出されている。

そして発せられた高温は、両断したガルオーダの一部を蒸発させ、大半を炭化させていた。

その余波である熱風が、逃げ遅れた騎士やハンターを襲う。

幸いな事に、それは渓谷外へと放たれていた。

ガルオーダが生み出しつつあった暴風が熱を持ち去り渓谷外へと流れたのも良かったのであろう。

渓谷の奥側へは被害は及ばなかったのである。

もしそうなれば、ダリルの命も危なかった所だ。

そして、その一撃を放ったゼパイルだが…

彼は既に事切れていた。

彼はダリルを指導しながら、晶武器より力を放出する術を悟っていた。

だが、その力は諸刃の剣。

晶武器に組み込まれた晶石、己が内包する晶石。

その2つを正しく制御できねば、待つのは暴走。

間違い無く死ぬであろう。

己の歳では、最早制御する術を身に付ける事能わず。

そう判断したゼパイルは、ダリルに自分が悟った制御方法を可能な限り叩き込んだのである。

そんな彼が晶武器より力を放出した代償に気付かない筈も無く…

正に決死の覚悟にて放った一撃であった訳だ。

その様な一撃を放ち、ゼパイルの身は雷に内部から焼かれ黒焦げに…

彼の晶武器は力の放出と奔流に耐えられずに崩壊していた。

「し、師匠ぅ?

 う、嘘だろ…

 冗談だよな。

 何とか言えよっ!!

 師匠ぉぉぉっ!!」

ダリルの悲痛な叫び声が渓谷へと木霊するのだった。

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