第十六章 銀角の少女と四人目の絆
聖雷の攻撃が激しさを増す中、四人は限界に近い状態で戦い続けていた。
零は鬼哭丸を振り回し、雷を切り裂きながら敵の波に斬り込んでいく。
左肩の傷が再び開き、血が滴り落ちる。
「零! もう後ろは持たない!」
蓮が叫びながら二刀で敵を切り払う。
シルフィアの結界はすでに大きくひび割れ、回復魔法も魔力の消耗が激しくなっていた。
ルリアは岩陰で体を縮こまらせ、震える声で言った。
「みんな……もう逃げて……私のせいで……」
その時——
森の奥から、小さな銀色の光が近づいてきた。
銀色の短い角が二本、額に淡い青白い王族の刻印を持つ、小柄な少女だった。
年齢は16歳くらい。淡い緑と白を基調としたローブを着て、腰に小さな杖を差している。
彼女はルリアの魔力の気配を感じ取り、迷わず戦場に飛び込んできた。
「ルリア様!」
少女は杖を掲げ、強力な緑色の回復魔法を展開した。
淡い光が四人を包み込み、零、蓮、シルフィアの傷を急速に癒していく。
零は一瞬驚いたが、すぐに状況を理解した。
「新手か……味方か?」
少女は零に向かって叫んだ。
「私はシルフィアの姉妹……シルヴァーナ・ルナ・ノクティスと申します!
ルリア様の遠い従妹です。
王女の気配を感じて、ずっと探していました……どうか、仲間として加わらせてください!」
シルフィアが驚いた顔で振り返った。
「シルヴァーナ……! あなたがここに……」
新たに現れた少女——シルヴァーナは、シルフィアと同じノクティス家の血を引く回復魔法の使い手だった。
シルフィアよりやや年上で、戦闘支援と回復に特化した魔力を持つ。
零は短く判断した。
「今は状況が悪い。
ルリアを守れるというなら、仲間として受け入れる。
ただし、裏切りは許さん」
シルヴァーナは頷き、すぐに杖を振り、強力な回復結界を展開した。
「わかりました! 皆さんの傷を癒します!」
戦況が少し変わった。
シルヴァーナの追加された回復魔法により、四人の体力が持ち直し始める。
零は再び鬼哭丸を構え、青白い光を強く放った。
「——桜乱舞!」
鬼哭丸が連続で閃き、十人以上の騎士を同時に切り裂く。
蓮が右側面から二刀流で敵を崩し、シルフィアとシルヴァーナの二人が回復と防御を支える。
ガルド・ヴァルハラは兜のスリットから冷たい視線を新たに現れた少女に向けた。
「もう一匹の魔族か……
穢れは次から次へと湧いてくるな」
エレナ・ソルティアが杖を掲げ、苛立った声で叫んだ。
「増えても同じことよ! すべて浄化してあげる!」
戦いはさらに激しさを増した。
聖雷が容赦なく落ち続け、重装騎士たちが盾壁を形成しながら前進してくる。
零は鬼哭丸を振り回し、雷を切り裂きながら敵の中心に斬り込んでいく。
しかし敵の数はまだ多く、四人(今は五人)全員の体力が再び削られ始めていた。
零は内心で思った。
(仲間がまた一人増えた……
守るべきものが増えれば、俺の刀はそれだけ重くなる。
だが、それでも……俺は侍だ)
雨と雷と桜の花びらが混じり合う戦場で、五人の戦いはまだ続いていた。




