第61話 続く
朝早く、目が冷めた。
特になにかがあったわけじゃない。ただなんとなく。寝る気になれなくて何度も起きて。
その結果、
「うへぇー、朝5時」
青白く光るスマホを一瞥し、伸びをする。
何故かアラームもあと数分後になるように設定されている。
一体昨日の僕は何を考えていたのか。
……眠たい、か?
まぁ、いい。どうせ今から寝たって寝坊するかまともに寝れないだろう。だったらもう起きて早めに学校行くか。
「学校何時からだ?」
なんてことを考えながらキッチンに向かう。
特段変わり映えのない一日だというのに、朝早く起きるとどうして変な気分なんだろうか。
「それとなく、非日常感がすごい!」
とりあえず叫んでみたくもなる。
朝飯は、トーストでいっか。
慣れた手つきで一斤の食パンから二枚切り取ると、トースターに入れる。
ガシャンっと音がなって機械的なジリジリという音が響く。
よし、この間にココアでも作っとくか。
ポットに水を入れ、スイッチを押していっちょう上がり。
ココアを先にコップに入れてあとは待機するのみ……
ああ、そういえば。
「カレンダーカレンダーっと」
昨日やろうと思っていたのに毎回忘れちゃうんだよな。
指を滑らせながら、ゆっくりと回想する。
今度の日曜に遊びに行くことになったのだ。
企画考案者はなんといってもこの僕、へへへ……
失敗しないように祈っとこう。
い、一応神棚とか用意するか?ないけど。
そんなこんなで目的地も含め、一気に文字を打ちきるとほっとため息をついた。
こういうのを計画することなんて初めてだし、ギチギチに予定詰め込んで失敗する、 何てテンプレのようなことはないと思うけど。
不安だ。
ピコン
通知を知らせる音が鳴る。
――いつからか、僕は僕がわからなくなっていた。
小さい頃は、きっと、わかっていたんだろう。
何もかもが綺麗で、何もかもが善意で。
でも人を知った。
善意だけでは成り立たないという現実も突きつけられた。
そこで、僕は心が折れてしまった。
体の痛みも、精神の痛みに比べたら屁でもなかった。
お互いがお互いに自分の持つものの大事さで生きていることを、幼心ばかりで何一つ見てこなかった。
その結果が彼女と出会う前の僕だ。
何に対しても何処か距離をとってて、世界が怖くて、そのクセ何をやるでもなく、卑下してばかりで。
「……誰だろ」
一瞬、開こうとしていた指が止まった。
でもそれも全部変わったよ。
うん、面白いくらいに。
友達がどういう物なのか初めてわかった。大事な人がいるってことが己を奮い立たせてくれることも、ふざけ合うってのがどういうことかも。
そして、恋も。
一歩振り返ってみれば、そこに色んな人がいた。
ただそれだけなんだろう、これまでもこれからも。
「何だ、あいつらか」
いつの間にかグループを作って、気がついたら僕も入れられていた。
ほんと行動力が凄いな、さすが陽キャ。
簡単な返事を返すと、トーク画面を抜ける。
「増えたなぁ」
そこに並んだチャットルームに目を奪われる。
つい数ヶ月前までこれが片手で数えられるレベルだったんだよな。未だに信じられない。
こんなトントン拍子で会話が増えていくとは到底思っていなかった。
まぁ今も手で数えられるほどしかいないが。
出来上がったトーストを頬張りながら、ココアを飲み干す。
バターを塗りすぎてほぼバター。無理に飲み干そうとして舌をやけど。
昔、渚に食べるのが下手だと笑われた記憶が蘇る。
なんだろう、さっきまで何か良い感じに一日が始まりそうだったのにまた色々不安になってきた。
あいつらに相談でも、してみるか。
「さてと、そろそろ出るか」
独り言が多いな。なんてね。
いつも通り、スクールバッグを取って。
制服をかっちり着て。
靴を履く。
「うん、良い感じ」
新品の靴、かかとをトントンと鳴らす。
家に誰もいないけれど
「んじゃ、行ってきます」
これにて完結です。
色々投稿していない期間があったのにもかかわらず見てくださった皆様に感謝を……
またどこかで




