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第59話 旅の終わり、なんてね

 旅はいつか終わる、どんなものにも言えることだが終わりはあるのだ。

 金が尽きるか、飽きるか、はたまた別の外的要因か。


 それはこの修学旅行にも言えることだ。

 どうしたって日程の都合上ここでもっと滞在するなんてことはできないのである。


 そう、わかっている。


 ――――この四人で何かをすることももうないのだろうか。


 ふとそんな考えが頭をよぎる。



 うん、ないな。ないない。

 もともとわかっていたことだ。

 たまたま修学旅行で仲良くなっただけなんだから。



 でも、じゃあ何なんだろうこの気持ちは。



 ……いや、いい。僕のわがままを押し通すわけにもいかない。

 別のことでも考えよう。



 初日と同じように新幹線に揺られながら僕は考え事をしていた。


 隣にはスマホでメールを送る林が。多分晩御飯の内容でも聞いてるんだろう、鼻歌交じりだし。


 正面には佐田と岡西が、お互い思い思いにウノを楽しんでいる。

 そもそも二人でウノはできるんだろうか、対象人数は何人からなんだろう。


 ……そんな光景を見ているとなぜだかしんみりとした気持ちになったのだ。終わりが目に見えているからなのか。

 昨日あんだけ馬鹿騒ぎして怒られたばかりだというのに。




 ふと窓の外を見ると目まぐるしい勢いで景色が移り変わっていくのが見える、緑が多いな。

 森を突っ切っているのか、やけに木々が多い。開けた場所もあまりない。

 一体、今どこらへんなんだろう。


 スマホを取り出そうと手を伸ばしたとき、タイミングよくズボンポケットから振動を検知。


 誰だろ。母さんか?


 特に気にするわけでもなく、スマホを開く。


「ん?」


「クラスライン?」


 通知にはクラスライン、という名前がぽつんと立っている。

 まるで一軒家のようなそれは僕に困惑と疑問を与えた。


 全く身に覚えがない。

 自分から入った記憶も、入れられた記憶も。


 ――――ハッキング?




「あ、入れといたから!」

「え?」

「ん、クラスライン」


 横を見ると林はまるで当然かのような顔をして僕を見つめていた。

 そしてスマホの画面を指差す。


 画面には〈ハヤが春馬を追加しました〉っとある。


「全然、ライン教えてくれないもんだからさぁ。中々交換しようって言いづらくてね……」


 そう言うと、林は苦笑いする。


「あ、ああ。ごめん」

「そうだそうだ、何だよ修学旅行最終日にラインを交換しよーって!」


 佐田が笑いながらそう茶化す。


 そう、僕ら散々班の皆と行動していながら未だに誰とも交換をしていなかったのだ。

 ただ今更やろうとも言えなかったんだよ。

 言うタイミングがもともと無かったのもあるんだけどね。


「ああ、ご、ごめん」


 その一瞬の隙を見逃さなかった岡西はすかさずドロー4を出して逆転。

「隙ありぃ!」


 手持ちにドロー系のカードがない佐田は一瞬身動ぎするも、瞬時に冷静さを取り戻す。


「はっはっは。まだまだだぁ!」


 しかし現在の佐田の手札には青しかない。

 よって残りの枚数的に青以外が選ばれると佐田の敗北が確定する。


「黄色!」


 現在選択されたカードの色は黄色。


「ぬぉぉぉぉ……」


 佐田のうめき声。

 これにより、佐田は負けだ。


「く、くそぉ……」

「っは!僕に勝とうだなんて三年早いわ!」


 ――――この光景を残しておきたい。

 ふとそう思った僕は持っていた携帯のカメラを起動するとボタンを押した。

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