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ep.8

 火のロッソィーノ侯爵家の領地は、王都から南下して最初の街である。山々が聳え立ち、そのふもとがロッソィーノ領として街が形成されているのだ。そしてその山々からとれる鉱石や魔石を使った生活に役立つ魔力機械を作ることが盛んである。つまり、鉱夫や技術者が多くいるのがこのロッソィーノ領の特徴である。

 街は少々起伏が激しく、少し無骨な建物が多く立ち並び、工房の他に居酒屋を始めとした飲食店が多くあるため、とても活気がある。工房で働いて、居酒屋で1日の疲れを癒す、といった酒豪が多く存在する街でもある。

 侯爵家なだけあり街の水門とは別に、屋敷に独自の水門があり、直接屋敷に向うことになったので開けて貰った水門へと入る。



「「「「「お帰りなさいませ、お嬢様。いらっしゃいませ、ファルミーナ様。」」」」」

「出迎えご苦労。元の配置に戻りなさい。」

「おじゃまします、……。」



 そういえば、ルミナスさまの王都の屋敷には何度か足を踏み入れたことがあるが、領地の屋敷は初めてかもしれない。でも、庶民の自分にはこちらの屋敷の方が落ち着くかもしれない。王都よりは少ない、しかし大勢の屋敷の人々に迎え入れられながらそんなことを思う。

 屋敷を案内され進みながら、王都の屋敷よりも大人しく少し無骨な雰囲気を持つこの屋敷をそっと観察する。この領地の雰囲気にあわせてあるのかな、なんて思っていると客室へと案内された。私につけて貰っている侍女2人も同行していて、部屋着に着替えましょうとあれよあれよという間に着替えさせられていった。



「ファルミーナ様は何をお着せしてもお似合いですわ。」

「当たり前じゃない。お嬢様と並んでどこのお姫様方かしらと思うくらいですもの。」



 相変わらず、キャッキャッと飽きずに私を褒めてくれる侍女のシエルとフィオナ(最近2人の名前を教えてもらい、覚えることが出来た)。そして最近気付いたのだが、どうもお腹に負担のかからない服を着せて頂いているようである。自分では気にしていなかったが、この子がいるんだから気を付けなければいけないな、とお腹に手をやった。それを見て微笑ましげにしているシエルとフィオナに気付いて、慌てて手を降ろす。

 そう言えば、忘れがちだけど私、妊娠しているんだよねぇ、とぼんやりと思った。



「ですから、このばあや、心を鬼にしてお嬢様に申し上げておりまして……!」



 どうしてこうなった。きっとルミナスさまと私の心は一緒だと思う。

サロンへと誘導され、ルミナスさまと合流した私は、彼女の教育係であったばあやを紹介されていた。ちなみに王都に居るばあやは、乳母をしてくれていたばあやであり別人である。そのばあやに何を怒られているのかと言えば、水上魔車での移動についてである。

 妊娠すると魔術師の場合、魔力が乱れるものらしい。なのに負荷の高い水上魔車の、さらに言うなら補充席なんて以ての外らしい。


 こうして、ばあやのお説教は暗くなるまで続いたのであった。可笑しいな、着いたのはお昼頃だったはずなんだけども。

本日はここまで。

次回は明日。

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