ep.27
話をするのに適した場所ではないので、私とルミナスさまは石造りの階段を椅子代わりに座り、ラティーは近くの地面に胡坐をかいて座る。そして、ぽりぽりと自身の頬を掻きながら、ラティーは言葉を選ぶように語りだした。
「騎士っていうのんは、巫女様の中でも選ばれた大巫女様付きの騎士ってことでしてや。……大巫女様のことは、ご存知でっしゃろか?」
「……ミーナは、巫女なの?」
「何言うてるんや、姫様は大巫女様で間違いあらへん。」
でなければ儀式は出来ないと訝しげに眉をひそめて、小首を傾げるラティーははっきりと大巫女であると断言する。首を傾げたいのはこちらの方である、とルミナスさまを見遣ると難しい顔をしていた。
「でも、巫女狩りがあったから滅んだはずで……。」
「この国で巫女を減らす動きがあったのは知ってます。やけど、大巫女様の気配があるのはずっと感じとったさかいまだ立て直せるとは思てました。やけど、まさか巫女様であり大巫女様となった姫様がおったとは思てもいーひんで……。」
「私にも何が何だか……。」
「何が起きているかとか、原因究明は後よ。今は、ミーナの立場と使命についてだと思うの。」
確かに、と納得したように話し始めたラティーの話をまとめると。巫女というのは、神官とは大きな違いがあり、精霊の御遣いと呼ばれるほどに巫女にしか出来ない役割があるとのこと。その役割の一つが、先程行った儀式であるらしい。私自身には自覚がなかったが、あの儀式が行えることが巫女の上の立場である大巫女である資質の一つであるとのこと。どうやら幼い頃に母や祖母から教わった舞が、この儀式に必要な舞であったらしい。ということは、母や祖母は巫女の関係者であるということでもあった。それはさておき、巫女の仕事であるが、舞を精霊へと奉納することでその地の精霊ひいては魔力の安定を図る重要な役目であるという事だ。そして、大巫女は精霊王や精霊妃への舞の奉納をすることで、世界の平穏と安定を祈るらしい。といっても、精霊王や精霊妃がその場に現れることは稀で、珍しいことであると。これ以上のことは、大巫女から大巫女へと連綿と伝え続けられているので、ラティーも知らないらしい。
そして、巫女の騎士というのは、大巫女の資質の一つであり、名の通り大巫女として巫女の護り役であるとのこと。私の場合は、私が大巫女、ルミナスさまとラティーが騎士にあたるらしい。騎士はその巫女の資質に寄るが、2人というのは少ないらしい。これから増えても問題ないとのことだが、世情を考えると今増えるのは得策ではないというのがルミナスさまの言である。
「ラティーは外に出るのは問題ないと受け取っていいのかしら?」
「もちろん、姫様の傍におるのがうちん役目や。何を言おうと姫様についていくのが筋どす。……姫様、構わへんどっしゃろか?」
「ラティーがいいのであれば、それは構わないですが……。」
「なら、私に考えがあるわ。――ひとまず、外に出ましょう。ここは神聖な場所なのでしょう?」
それもそうだと、外に出るべく立ち上がる。そしてラティーを先頭に前に進む。なんとなしに振り返ると、火の精霊妃様が微笑んで居る様な気配を感じた。私が足を止めたことで不思議そうに振り返る、ルミナスさまとラティーに、何でもないと首を振り笑みを浮かべると、階段を上がって行ったのだった。




