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第34話:不自然な少女たち

 帝城の中でも武官や文官がやすやすと入ることのできないプライベートスペース、そこでメイド姿の少女が頭を下げていた。

 少女の名前はカグラ・キリウ、彼女はつい2ヶ月ほど前、帝都内の闇奴隷を扱う商館に誘い出されたところを救助された娘だった。


 彼女は突入した帝国兵たちが、商人たちを取り押さえるのを、何が起きているのかわからないと、パチクリ見ていただけであったが、保護された後身寄りが無いことが判明した。

 本人に聞いた話からすると森の奥の僻地の出身らしく婚約者とともに旅に出たが魔物に襲われて、婚約者とはぐれてしまったとのことだったが、確認にも時間がかかる。

 それに加えて、度重なる不幸に見舞われた帝室において唯一の次世代であるクレアリグル姫が彼女の容姿をいたく気に入り、手元におきたいといったため、ろくな取調べをされることも無く城の見習いメイドとして置かれたのであった。


 しかしそんな彼女の運命を変える出来事が再び起こった。

 彼女の身内を自称するものたちが王国からやってきたのだ。


 休戦中の敵国の民とは言え帝室はすでに王国に対して隔意を持たずに付き合っていたため、幼い客人を丁重に招きいれた。

 国王と皇帝はお互いを、ジーク、フィルと呼び合っており、またフィルはひそかに、帝国を解体し王国に従属させたいと、支配者としてはありえない思想を持っていた。

 王の中の王と卑しくも皇帝を僭称しているもののルクス帝国は、所詮サテュロス大陸で2番目の国力しか持っておらず。

 最大勢力であるイシュタルトの半分にすら満たないと皇帝は危機感を持っていた。

 そんな圧倒的格差を認識しながらも帝国軍部は戦争にさえなれば勇猛たる帝国軍人はたとえ2倍、3倍のイシュタルト兵であろうとたやすく突破してみせると嘯き、長年の休戦状態を講和の状態に持っていこうとする慎重な外交姿勢の皇帝や内務外務と足並みを揃えられていなかった。


------

(セメトリィ視点)

 2人の娘が部屋に入ってすでに15分ほど過ぎた。

 最初少し中は騒がしかったものの、今はどうやら落ち着いて話をしている様だ。


 少し前に俺が保護した黒髪の娘がおそらく2人の言っていた家族だろうとあたりをつけて陛下や姫殿下との席を設けていただいたが、内部の反応を見るにどうやら当たりの様だ。

 あの娘、カグラはすごく心の優しい子で、よければウチの養子にとも考えていたが、家族が見つかったのであればそこに返してやるのが、あの子のためにもなるだろうと思うので、後は本人たちと雇い主である陛下と殿下が決めることだ。


 あの2人はいったい何者なんだろうか・・・。

 イシュタルトの人間を名乗ってはいたが、あの年齢の娘が特に4歳くらいにしか見えない娘が、あの宿で行われていたことを正確に理解していた。

 その上で怒り、被害者たちを労わっていた。

 末恐ろしい娘だ・・・。


 とにかく俺は自分が招きいれた2人のお嬢さんを無事に外に送り出さないといけないので、扉の前でただ待っていることしかできないはずだったが・・・。


(どうもやることができた様だ。)

 廊下の向こうの方から、よく知った顔が不愉快そうにこちらに歩いてくる。

 軍部の将軍の一人、ゲイルズィ将軍だ。


「これはゲイルズィ将軍、この様なところまでいらっしゃるとは珍しいことですな?」

 軍部と防衛隊は指揮系統が分かれており、上司に皇帝陛下しかいない俺と、かの将軍の間に上下関係は存在しない、しかし将軍は代々軍権の一部を掌握してきた一族の誇り、いや驕りからか、不遜な態度であった。

「ふん、卑しくも帝都と帝室の護りを拝命している防衛隊の隊長が、自ら皇帝陛下の御傍に危険を呼び込むとはな!」

 そういって俺の目の前につくなりゲイルズィ将軍は俺をにらみつける。


「なんのことでしょうか?」

 闇奴隷商人を検挙して、被害者の一部を帝室の見習いメイドとして保護するたびに、いちいち文句を言いに来るゲイルズィ将軍は暇に違いない。

 300年も戦争が無いので訓練メニューにも飽きているのだろう。


「決まっている、またわざわざ納税の義務を果たしている奴隷商を取り締まって、利益にもならない貧民を保護してきたそうではないか?」

「えぇ、国民の保護が皇帝陛下から賜った取締り令の内容の一つでありますからな、そんなことより将軍はずいぶんと耳がお早いですな?」

 毎度のことだが、将軍はこちらがまだ陛下にしか報告していない段階で文句を言いにくる。

 証拠こそないが、闇奴隷商人たちをみのがしている官吏たちは、彼の手駒である可能性が高かった。


「ふん、貴様ら何でも屋まがいの防衛隊と違いわれわれ軍部は精鋭だからな、貴様らの動きなど筒抜けだ。」

「せっかくですから身内ではなく、他国の情勢をつかんで欲しいものですが、一応見事だといわせていただきましょう。」

 貴様呼ばわりと陛下直属である防衛隊に対する悪態にちょっとムッとしながらも適当に対応するが、直後将軍は耳を疑うことを言い出した。


「ふん、そこを通してもらおうか、間諜の可能性がある小娘どもを取り調べ室に連行する。」

 そういって皇帝陛下が休憩中の部屋へ押し入ろうとするのだ。


「なりません将軍、今陛下と姫殿下がお客人をもてなしております。まだ年はも行かぬ娘たちです、断じて間諜などではありません。」

 そう告げるとニヤリと笑うゲイルズィ。


「愚か、今言うたであろう、われら軍部は貴様らと違い優秀なのだ。幼い娘とはいえいくらでも間諜に仕立てることはできる。」

 間諜に仕立てるというのが、優秀な軍部であれば幼い間諜を養成することができるということなのか、それとも彼女らを間諜に仕立て上げて彼らお得意の開戦論に結びつけるつもりなのか・・・おそらく後者だろうな。


「そもそも将軍ここでは帯剣はお断りしているはずですが?」

 話をずらすために将軍の装備について咎める。

 この場所は帝室のプライベートスペースに当たるため、女性の護衛と、近衛メイドを除いては武装を許可されていない、俺自身刃のついている槍は、入り口で預けて、鉄の棒を借りている状態であるにもかかわらず、将軍は剣を二本腰に刺したままだった。


「なんだ?私が陛下に危害を加えるとでもいうのか?無礼な!」

 と将軍はあからさまに不機嫌さを増した。

「そうではありませんが、規則は規則ですので。陛下に御用であれば一度入り口で剣をはずされてからお越しください。」

 そう告げると、将軍は不遜な態度で言った。


「いざというときに陛下の御身を護れなければ、後悔してもしきれぬ、故の帯剣だ。許せ。」

「その行為自体が、帝室の規則を軽んじるものです。どうぞお戻りください。」

 衛兵たちでは彼の権力に抗いきれないため、俺が一人で彼を押しとどめようとするが、将軍は引く気がなさそうだった。


「くどいぞ、その様に食い下がるということは貴様もさては間諜どもとグルだな?皇帝陛下の御身をいったいどうするつもりか!」

 と急に語気を荒らげた将軍が右手を挙げると、兵士が30名ほど現れた。

 普段宮中の警備をしている者たちではなく、将軍が領地から連れてきた子飼いの連中だ。


「将軍、なんのおつもりですか?」

 今この場にいる衛兵は2人自分を合わせて3人だ。

 自分ひとりで10人は相手取れる自信はあるものの、30人は厳しい。

 その上俺の武器は槍ではなくただの鉄の棒だ。


「これは異なこと、わかっておるだろう?間諜を捕らえるための備えだよ、入り口の連中にも言い含めてある。」

 将軍に剣を持って脅されては仕方ないことだろう。

 入り口を護っているのも近衛メイドたちだ。

 一人か二人の侵入者には対応できても兵隊たち相手にはなすすべも無いだろう。

 そもそもわが国の近衛メイドはしっかりと軍歴をつんだ者ではないためあまり強くない。


 聖母教を国教としながら男尊女卑のわが国において女性に力をつけさせて社会的地位と職務を担わせるのはよろしくないと、軍部や頭の固い貴族連中が女性に軍事的訓練を許さなかった。

 それでも今はいないとはいえ皇后や側室の住まいでもある宮殿の守りに男性をつけるわけにはいかず、健康的な女性を中心に集めたのが帝国の近衛メイド部隊である。

 主な役割は有事の際、陛下たちを逃すために身を挺して壁になることくらいだ。

 また美人が多いので一部の兵は無力化するのに手間取るだろう。


 まぁそういうわけでだ。

 俺の後ろにいる2人も戦力的にはほとんど役に立たない・・・どうしたものか・・・。

「さぁどいてもらおうか!」

 とゲイルズィ将軍はニヤニヤと殴りたくなる笑顔を浮かべて前進を開始した。


------

(アイラ視点)

 フィル小父さんとクレア姫はどちらも穏やかにボクと暮らすために国を出たいという神楽の願いを受け入れてくれた。

 特にクレアはよかったですわねと、カグラの頭をなで、目に涙まで浮かべてカグラのことを労わってくれた。


「何も気にせず、アイラちゃんたちと暮らしたらいいのです。その・・・家族なのですよね?あまり似ていませんが・・・。」

 と、クレアはボクとナタリィ、神楽との間で視線をさ迷わせてたずねた。


「はい、血はつながっておりませんが、カグラめはアイラさんたちと暮らしたいと思っています。姫様に受けたご恩を、ちっともお返しできてないですが、ワガママをお許しください。」

 ただただ頭を下げるばかりの神楽にフィル小父さんも手を出し、頭をなでてくださっている。


 皇帝といっても娘をもつ父親、娘と年の近い神楽のことを心配してくださっていた様だ。

 それから、ボクたちもお茶を頂いてちょっとした雑談をすることになった。


 ボクがもともとウェリントン、僻地の村の出身で、今は縁があってホーリーウッド侯爵家に居候していること、神楽の婚約者であった暁の墓がウェリントン村にあるため、神楽をまずはそこに連れて行きたいことなど・・・。

 それから途中でお茶が緑茶であることに気づき、鞄から取り出した風に見せて紅茶の葉を出し。

「帝国では紅茶は飲まれていないのですかね?」

 と茶葉を渡すと、フィル小父さんは喜んだ。

 早速メイドに淹れさせて、規則なのでと先にメイドさんが毒見をしたうえでその場の全員のカップに紅茶が注がれた。


 帝国でも高級品扱いで、普段のお茶には使われていないということだった。

 渡した紅茶の評価は良く、ぜひとも譲って欲しいといわれたため、献上させていただいた。

 代金を払うといわれたが、見習いメイド一人を身請けする代金と思って欲しいと伝え、収納に収めていた茶葉をありったけお渡しした。

 2ヵ月半も神楽を保護し預かっていていただいたのだから、安いものだ。


 しかしこのことが余計な疑問をフィル小父さんに抱かせてしまった。

「アイラ嬢はいったい何者なのかな?幼児にしてはしゃべり方もしっかりしすぎているし、紅茶なんて高額なものを持ち歩いているのは不自然だ」

 とフィル小父さんは目を細めて尋ねた。


 やりすぎたか?と少し焦る。

「ちょっと分別がつくだけの(もうすぐ)6歳児ですよ?ちょっとしたものでしょう?紅茶は軽い割にお金になるからと持ってきておりました。」

 とごまかしてみる。


「6歳なのか・・・小柄だから3歳くらいだと思っていた・・・失礼した。」

 と謝らせてしまった。

「紅茶は、最近作り方が判明したため、ホーリーウッドではある程度自由に手に入る様になりました。これから値段も下がっていくでしょう。」

 そう伝えるとフィル小父さんは心なしかほほを緩ませた。

 どうも紅茶がお好きな様だ。


 それからさらに3分ほど話していたあたりでにわかに外の様子が騒がしくなってきた。

 フィル小父さんは気づいていない様だが、この部屋の外の人の気配が多くなりすぎている。

 それに・・・セメトリィさんが少し剣呑な雰囲気をまとっている。

(これは・・・なにか良くない気がするね。)

「ところでフィル小父さん、外の雰囲気がおかしい様ですが、クーデターを起こしそうな方とかいますか?」

 とストレートに尋ねると、ナタリィ以外がすべて外の扉のほうを向く。


「な、どういうことだ?外に何かいるのか?タヴィナ、扉をあけよ」

 フィル小父さんはやはりお気付きでなかったらしい、すぐさまメイドに命じて扉を開けさせた。

 すると扉のすぐ外にはセメトリィさんの背中と、ニヤつく帯剣した男とがいた。


「将軍お戻りください!陛下申し訳ありません!すぐに下がっていただきますので。」

 とセメトリィさんが扉の前をふさぐ様にして立っているが、帯剣した男はどうも将軍職にあるものらしい。

 収納に隠しているボクがいうのもなんだけれど、普通はこういう場所は武器は持ち込めないはずだ。


「ゲイルズィよ、何事か!ここはクレアとその友人のために設けた席ぞ!その腰の無粋なものは置いてまいれ!そもそもソナタには奥に入る許可は与えておらぬはずだ。」

 と今までの優しい小父さんの雰囲気を霧散させてゲイルズィをにらみつける。


(そうかこいつが前周のボクの家族の仇のゲイルズィ将軍か・・・。)

 と、ボクはその男の姿を目に焼き付けた。

 この男が、使っていた山賊部隊とやらがおろかにも国境線を間違えて王国領に侵入したために、前周でのあのウェリントンの襲撃が起きたのだ。


「陛下、われわれ軍部の調査の結果その娘たちは王国の間諜の可能性がございます。速やかに引き渡していただきたい。」

 とゲイルズィはいった。

 こいつは確か息子ともども開戦させたくてたまらない症候群の人だったはずだ。

 ボクたちが年端も行かない子どもであるのをいいことに適当に拷問して間諜に仕立て上げ開戦論をぶち上げる程度のことはするかもしれない。


「馬鹿をいう出ないわ、間諜が自ら敵国出身などと名乗るものか、この娘らはホーリーウッド領から家族を探しに来ただけの娘たちだ。そして今余から請いて余の茶飲み友達になってもらった。それを間諜扱いするは、余に対する侮辱であるぞ。すぐに下がるが良い!!」

 と、声を荒らげて言うフィル小父さん陛下。

 しかしゲイルズィ将軍は面倒くさそうな顔をして言う。

「陛下がなんとおっしゃられようと、御身を守るためには苦言を呈するのも臣下の勤めでございます。皆のもの、小娘二人を連行せよ!」

 と自身は下がりつつ後ろに控えさせていた兵士たちに命じた。

 すると剣や槍を持ち鎧を着込んだ兵士たちが前進してくる。


「ゲイルズィ貴様!余の庭に兵を入れたのか!!セメトリィ!そして兵たちよ!ゲイルズィこそが謀反人である、捕らえよ!」

 と、兵士たちの姿を認めたフィル小父さん陛下が命じるが兵たちはこちらに進んでくる。

 そしてセメトリィさんがうつむきながら言う。

「陛下、やつらは将軍の子飼いです私も鉄の棒だけではやつらを防ぎきれません。」

 扉をふさいでいるセメトリィさんはこのままでは連中に斬られてしまうかもしれない、神楽とクレアは不安そうな顔をして成り行きを見守っている。

 そして室内にいたメイドたちはその瞳に恐怖の色を浮かべ震えながらもセメトリィさんと、表に立っていた守衛の女性とともに扉をふさぐ様に立つ。


「陛下、あれらが貴方の命令を聞かないということは、彼らは謀反人ですよね?」

 とナタリィが席を立ちながらフィル小父さんではなく陛下に尋ねる。

「ナタリィ嬢?」

 と訝しくナタリィを見るフィル小父さん陛下にナタリィは不適な笑みを浮かべて言う。


「私は魔法拳士です。陛下がお許しになるなら、謀反人たちを取り押さえるお手伝いをします。そうでなければ私はカグラとアイラだけを連れて逃亡させてもらいますが」

 と笑うナタリィ。

 その自信にあふれた表情に賭けてみることにしたのかフィル小父さん陛下は目をつぶってただ「頼む・・」と言った。


 まぁ皇帝の命を破って武器を持ち出した以上連中は皇帝の身柄を武力で抑えてしまう腹積もりだろうし、ここで負けるわけにいかない以上少しの可能性にも賭けざるを得ないだろう。

 状況を見るにボクは戦わずナタリィとセメトリィさんに任せたほうがいいだろう。

「フィル小父さん、戦闘が始まる前にメイドさんと守衛さん、セメトリィさんに中に入る様に伝えてください。セメトリィさんに武器を渡します。」

 そういって収納に収めている直槍を一本取り出す。


 突然出現した直槍に目を白黒させたフィル小父さん陛下だったがすぐに気を取り直して命じた。

「メイドたち、セメトリィ!一旦部屋に入って扉を閉めよ!!」

 突然の命令にもかかわらず外の守衛も室内のメイドも、セメトリィさんもすばやく部屋の中に入り、扉を閉めた。

 敵兵と違って忠誠度が高い証拠だね。


 閂の様なものをかけて時間稼ぎをする。

 走りよってきたであろう兵たちが扉を破壊し始める音がする。

 扉からメイドと守衛を後ろに下がらせ、セメトリィさんに直槍を手渡す。

 ボクの攻撃魔法流星ミーティアで使う弾としてユーリに用意してもらった使い捨ての槍なので武器としての等級は低いが、鉄の棒よりは致命傷を与えうる武装だ。

「どこにこんなものを!?」

 と驚いた顔をしながらもすぐに笑顔で受け取ってくれる。

「これで20人は抑えられます。」

 とセメトリィさんはフィル小父さん陛下に笑顔を向ける。


「幸い、入り口が狭いので敵は一度に侵入できません、私とセメトリィさんと二人でも十分に倒せるでしょう。」

 とナタリィが宣言するとその魔力の強さをすでに見ているセメトリィさんとボク以外のものは驚いた表情を見せる。


 すると同時に、何度もたたきつける音がしていた扉がとうとう打ち破られた。

 バァン!


「陛下ご無事ですか、卑怯にも陛下と姫様を人質にとった愚か者どもを私の手のものが抑えます故ご安心してください・・・ん、セメトリィ貴様私には帯剣するなといっておきながら貴様自信が槍を隠し持っておったのか、貴様も謀反人で間違いない様だな、皆のもの陛下と姫殿下をお助けせよ!ほかは抵抗する様なら殺して構わん!」

 とにやついた笑みを浮かべて再び下がっていこうとしたので、ついたまらず光弾を使ってしまった。


 人の足先を吹き飛ばす威力で放たれたそれは隠形の力をまとわせることで、鍛錬された人間や強い魔力を持つ人間にしか見えない仕様で放ったがために、セメトリィさんとナタリィ、神楽とクレアには見えていた様だけれど、将軍にはみえていなかった様だ。

「ぐぎゃぁ!な、なんだ!お前たち、かかれ!かかれい!」

 よける素振りすらなく右足首から先を失った将軍は扉の前をふさぐ様に倒れこむ。

 敵兵士たちは将軍の身に何が起こったかわからずうろたえ、メイドと衛兵は突然の流血沙汰に叫び声をあげた。


 その間にナタリィとセメトリィさんは動き出す。

 突然将軍の身に起きたことに雑兵たちはうろたえてしまい、連携も取れないままでわずか2分ほどで全滅した。



ユーリとの約束の時間は到底守れなさそうです。


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