再開
高校が再開してから一週間が経った。
一ヶ月半前の新祝祭での出来事は、入学してきて間もない一年生に多くの心の傷を残していた。
「生徒会は一人増えて計九人になったのだな」
「はい。それで予算を一人分、上乗せとか出来ませんかね?」
「いくら理事長でも予算のあれこれを勝手に決められないさ。校長はなんと?」
「理事長に任せると」
「まったく変わらないな彼は。判った、一人分の予算の上乗せを容認しよう」
「有難う御座います……失礼しました!」
「元気そうで良かったよ」
※ ※ ※
「皆の衆、予算が一人分増えたのだ!」
「あら、うまくいったのね」
「まあ、この生徒会長、紅 破耶にかかれば、おちゃのこさいさいよ」
「調子いいわね。その予算について話し合いをするのに書記や会計が苦労するのに」
「出来るだろ? 書記が千景、副書記に宇留田、会計に恵が居ればな」
「分かったわよ、任せなさい!」
千景先輩が、だて眼鏡をクイっと上げた。
「相変わらま無茶苦茶だな会長。けど嫌いじゃないよ、そういうの」
副会長の新田先輩が言った。
「わたしは別に、お前に好いてもらわなくても構わんがな」
「そんなトコもグッジョブだぜ!」
「あの~」
「どうした、めぐっち?」
「一年生の愛生ちゃんの役割を決めないと」
「忘れてた」
「え~」
破耶の返事に羽舞さんが困っている。
「それと反生徒会についてなんだけど、広報の矢島 奏と副広報の三田玲衣に、反生徒会に対する警告も任せても構わないんじゃない? 二人には了解得てるけど」
千景先輩が破耶に提案する。
「構わんぞ」
「それではこれで生徒会の会議を終了する」
破耶の声で会議が終了した。
※ ※ ※
「やはり屋上の風は気持ちいいな」
「いい眺めだな」
俺にとって高校生活の転機となった場所。
異世界に行ったのも屋上からだったし、もし異世界に行ってなかったら、破耶とは出逢うことは無かっただろう。生徒会にも入らずに授業をサボるために屋上に居ただろう。
「………のか!」
「お?」
「聞いてなかったのか!? さっきから何か聞こえないか?」
「何かって……?」
「まただ……何なのだ!?」
《助けて》
「いま助けてって」
「わたしも聞こえたぞ」
《助けて》
「夏郷」
「破耶」
二人は手を繋いだ。
その瞬間、二人の瞳には違う世界が映っていた。




