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インチキ呼ばわりされて廃業した『調理時間をゼロにできる』魔法使い料理人、魔術師養成女子校の学食で重宝される  作者: 椎名 富比路
第三章 魔法科学校の秋は、イベント盛りだくさん

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第32話 トラップ突破型ダンジョン

「おお、いいアイテムをゲトー」


 イチさんが、ボクたちにドロップアイテムを見せる。


「さっきの石像からですか?」


「うむ。ノーマルドロップの【銅のかけら】と、レアアイテムの【サファイアの眼】であるぞ。どちらも素材アイテムだな」


 聞けば、イチさんのアビリティは【パワーハンティング】というらしい。

 ノーマルどころか、レアも確定でドロップするという。その代わり、経験値を得られない。また、敵一体につき一度しか発動しないという。


 不便ではあるが、強力なアビリティだ。


「街に帰ったら、素材からアイテムを作るねー」


「たすかる」


 ボクたちはエントランスを抜けて、二階に到着した。


 しかし、上の階への道は、巨大な扉に阻まれている。


「このダンジョンは、トラップを突破することで抜けられるわ。特に強いボスとか、はいないの」

 

 部屋に入ると、宝箱がズラリと並んでいた。


「宝箱の中に、上の階に続く通路のカギがあるそうよ」


 しかし、盗賊のスキルを持つイチさんは、宝箱をことごとくスルーする。

 

「ここの宝箱は、ほとんどがトラップ込みの感じ」


 この階にある宝箱は、いわゆる【ミミック】ばかりらしい。


 当たりの宝箱もあるが、薬草などの安いアイテムしかなかった。


「どうやらここは、ハズレ部屋の方なり。他の場所を探したほうが、よさそうだが」


 まだ部屋はたくさんある。探せば、いいアイテムがありそう。


 だが、その目論見は見事にハズレた。


「どういうこと? 全部、ハズレの宝箱だわ」


「おかしいねー。なにか一つでも、レアアイテムがありそうなのにねー」


 妙だ。


P(ペット)R(ラン)F(ファクトリー)』は、たしかにバグだらけのゲームである。とはいえ、意地悪な設定にはしていないはず。

 理不尽なことがあったとしても、それは仕様ではなくバグのせいだ。


 けれども、宝箱の件はどうも仕様みたい。


「ミミックを倒すトラップってこと?」


 ベルさんとナインくんが、身構える。


「だとしたら、任せてちょうだい……あれ? 見て、ケント。ビビちゃんが」


 突然、ビビが宝箱のほうへ歩き出した。

 

「ん……ビビ、どうしたの?」


 ビビが、ミミックらしき宝箱へと近づいていく。


「それはミミックである! 触ったら」


 しかし、ビビは宝を開けようとしない。『にゃーん』と、宝箱をそっと赤いじゅうたんから壁へズラす。


「違いますね。ユニークスキルが発動したみたいです」


 ボクは、ミミックの宝箱をすべて部屋の脇へどけた。さらに、レッドカーペットを取り払う。


 じゅうたんをどけた床、ちょうどミミックがいた床に、ネコの足跡の模様が出現する。


「これがビビのユニークスキル、【ここ掘れニャンニャン】です」


 ビビはスキルを発動すると、レアアイテムの場所が足跡として現れるのだ。


「なんと、宝は箱ではなく、置いている床のほうにあっただったとは」

 

 ビビが、ネコの足跡の上にポンと座った。


 グググ、と地面が揺れ始めて、何かが作動した気配が。


「左側から、作動音が聞こえた。まいろう」


「行きましょう」


 ボクたちは、音のした方角へ急ぐ。


 通路にあった扉に、ネコの通り道が開いていた。


「この扉は、みせかけだったのか」


 ビビが、ネコの入口に入り込む。身体を半分だけ入れ込むと、すぐに戻ってきた。口に小さなカギをくわえて。


 ネコがいなくても、誰かが手を入れたら手に入るみたい。


「これ、ユニークスキルがないと見つけられないである」


「ミミックを倒すと、ヒントが出るんでしょうね」

 

「かもしれない」

 

 ボクたちは、最上階へと向かう。


「あそこに、尖った塔があるでしょ?」


 ベルさんが、眼の前にある細長い塔を指差す。


 塔のてっぺんには、教会で見るような釣り鐘が。


「あれを鳴らせば、この城が聖なる力を取り戻すそうよ」


 だが尖塔までの道のりには、足場がまったくなかった。脇から壁を伝って進もうとしても、壁には火を吹く仕掛けが。これでは進めない。

 

「足場がないよ」


「任せて。ナイン、行くわよ」


 ベルさんは躊躇なく、ナインくんと前進した。


「あっ。地面がちゃんとあるのか」


「そうよ。特殊なガラスでできた、足場みたい。ケント、あたしについてきて」

 

 ボクとビビも、後を追う。その後ろから、トワさんとすしおくん、イチさんとホクサイくんがついてくる。


「コウモリが!」


 コウモリとカラスが、襲ってきた。


 数が多すぎて、ベルさんたちの射撃では追いつかない。

 

「任せてー。すしおー」


 トワさんの合図で、すしおくんが範囲攻撃魔法を放つ。


 カラスやコウモリが、地面へと落ちていった。


「ゴールよ! ケントお願い!」


「はい!」


 ベルさんが道を切り開き、ボクは前に出る。


「ビビ、いっしょに鳴らそう! それ」


 ボクはビビといっしょに、頂上の尖塔にたどり着く。釣り鐘を、勢いよく揺らした。


 さっきまで悪霊だらけだったお城に、陽光が差し込んだ。


 悪霊たちが、陽の光に照らされて消滅していく。


「ミッションをクリアしたわ!」


「足場も、ちゃんと見えるようになったぞ!」


 ベルさんたちも、尖塔にたどり着く。


「この塔、エレベータになってますね」


 帰りは、塔のエレベータで地上まで降りた。


 これで、ミッション完了である。

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