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インチキ呼ばわりされて廃業した『調理時間をゼロにできる』魔法使い料理人、魔術師養成女子校の学食で重宝される  作者: 椎名 富比路
第二章 夏は、女子魔法使いたちを腹ペコにする

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第14話 イクタ、スキャンダル!?

 生徒会長イルマが、オレの前に新聞を広げる。


「こちらが、証拠の写真です」


 オレとエドラが、裏路地から出てくる写真が。


 あのときの現場が、写真に取られていたのか。


 イルマに続いて、デボラまで食堂に。


「イクタ! この新聞の内容は、誠ですの!?」


「デートだと? ああ、一緒にからあげを食った話か?」


「それがデートですのよ! 至極まっとうなおデートでしてよ!」


 どういう基準なんだ?


「なにも、なかったんですか? エドラとは?」


「ねえよ。家族を紹介してもらったくらいだな」


 といっても、義理のお姉さんくらいだったけど。


「色々とすっ飛ばして、実家へごあいさつに……はわわ」


 イルマが、その場に崩れ落ちた。


「生徒会長。お気を確かに」


 デボラに支えられながら、なんとかイルマは立ち上がる。


「とにかく、潔白を主張なさるなら、放課後、面談に出てください」


 出るとこ出ろ、ってワケか。


「わかったよ」


 オレだって変なウワサが立って、営業に支障をきたしたくない。



 

 仕事明けに、面談を行うことになった。


 エドラが、オレの隣に着席する。


 オレたちの正面には、イルマと、生徒指導のシスター・エブリンが。


「お聞きします。お二人は決して、ふしだらな関係ではないと」


 モノクル越しに、シスターの視線がキラリと光った。


「ああ。天地神明に誓って」


 腕を組んで、オレは否定する。


「ですが、二人が裏路地から出てくる場面を、写真部に目撃されています。まあ、いつもの悪ふざけでしょうけど。裏路地に入った生徒を助けた、という証言もありますから」


 実際に今日、その生徒たちが証言してくれたおかげで、それ以上のトラブルにはならなかった。

 もとより、「エドラがあんなオッサンを相手するはずがない」と、生徒たちは確信を持っていたようだ。

 食堂も、いつもどおりだったし。


 女子はウワサで盛り上がるのが好きなだけで、真実がどうだとかはあまり関係がないらしい。


 なにより、写真部のいい加減さはみんな知っているのだとか。


「信用がないんだな。写真部って」


「あれこそ、わが校における問題児集団ですから。エドラは不良ですが、実技の成績はいいので。しかしあの子たちは……なんと申し上げていいのやら。好奇心だけで生きていますね」


 シスターでさえ、写真部にはお手上げのようだ。


 ちょっとやばいな、それは。


「とはいえ、あなた方があの繁華街から出てきたのは事実です。いわゆる、ラ、ララ」


「ラブホ街から」


 言いづらそうにしていたイルマに、エブリンが助け船を出す。


「オイラとイクタは、なにもねーぞ。種付けなんかしてねーんだからなー」


「どこで、そんな言葉を覚えたのよ!」


「えー? 人間って、触手が伸びて卵を産み付けるんだろー?」


 どんなエロマンガを読めば、そんな歪んだ知識が出てくるんだよ。


「なんなら、調べるかー?」


 エドラが、立ち上がる。サラシを緩め、イルマにお腹を触らせようとした。


「結構よ。発言から、あなたに性の知識がロクにないのはわかったもの。何もなかったのは、証明済みなの」


「だったら」


「けど、この現場を押さえられたコト自体が、問題なの。今後は、気をつけてちょうだい」

 

 

 ああ、疲れた。

 オレはぐったりして、食堂へ戻る。


 デボラが、片付けをしてくれていた。


「どうでしたの?」


「厳重注意で済んだ」


「ですわよね。わたくしのイクタが、浮気なんてなさるはずがありませんもの」


 浮気でも、なんでもねえんだが。


「それにしても、写真部ってマジで信用ねえんだな?」


「まあ、ゴシップが肩で風を切って、歩いているような方たちですから」


 とはいえ、そのウワサを楽しんでいるフシが、生徒たちにもあるという。少女たちは、盛り上がればそれでいいらしい。


「でも、イクタを傷物にしたのは許せませんわ。今度、お話をつけておきます」


「よせよせ。ヤブをつつくんじゃ……あ、雨かー」


 予報では、「今日はくもるだけ」と言っていたのに。


「こちらでも、梅雨はございますから」


 そうだったな。この世界の天気は、ニホンとたいして変わらない。


「急いで帰るぞ」


「相合い傘なんて、いかが?」


「いいよ。あらかじめ置いてあるのを使うから」


 オレの家は、寮とは正反対にあるからな。


「疑いを明確に晴らす、チャンスですのに」


「別の疑いの種を作ろうとするんじゃ、ありません」


「わたくしとイクタが相思相愛なのは、事実ですわ」


 事実を捻じ曲げてんじゃねえよ。 



~*~



 エントランスで、イルマは立ち往生していた。


「なにしてんだー?」


 傘を担いで、エドラが背後から声をかけてくる。


「雨宿りよ。傘を忘れたの」


「いつも折りたたみを持ってるおめーが、珍しいな」


「今日はちょっと、パニックになって」


「そんなことも、あるよなー」


 誰のせいだと思っているのか。


「雨宿りだったら、学食でいいだろ?」


「なんだか、行きづらくて」


「考えすぎだったのー。ほら」


 エドラが、自分の傘を差し出す。ヤンキーなのに、ファンシーな柄を使っていた。


「あんたはいいの?」


「これくらいの雨なら平気ー。家も近いからなー」


 学ランを頭の上に羽織って、エドラが走り去る。

 


~*~


 

 翌日、またイルマが店にやってきた。


「どうした? 疑いは、晴れたんだよな?」


「実は、料理を教えていただきたくて。滋養にいい料理を」


「なにがあった?」


「エドラが、カゼで寝込んでしまったのです」

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