13.しばしの休息
「こちらだってさ、教員じゃないって言ってたし、やっぱり女医だったのか」
「僕達が医師になったらオカルト研の手伝いをしてくれるって事だな」
「お前、勉強できるのにオカルトの事になると空気読めない馬鹿になるのなんでなの?」
「まぁー、まぁー二人とも。ほら、医師になれば学生じゃなくなるし、言えることも増えるって意味があるかもしれないじゃない?」
「それ本気で言ってる、佐倉……?」
「うっ、うーん……スミマセン、本気じゃないです。
私は研究者になった時は助けてくれるって意味かと思いました。」
お梅君のワントーン低い声に気圧されて、速やかに自白する。心なしかショックを受けているように見えるお松君に対して、お梅君が「確かにそのパターンもあるか」と呟いていた。
「とっ、とにかく朝までここで大人しくしているとして……あっ、今って何時だろ?」
慌てて部屋を見回して時計を探そうとするも、首も痛めているのか、動かそうとした瞬間、痛みで動きがピタリと止まってしまう。すると、お梅君が自分の腕についているシルバーの時計を確認すると「あと3時間くらいだよ」と答える。
そんなに気を失っていたのか、と思うと同時にお梅君の腕時計ってもしかして……。
「お梅君、その腕時計ってもしかしてロレックスとかいう腕時計じゃ……」
「あぁ……、これっ?よくわかったね。親父のお古だけどね。時計詳しいの?」
「詳しいってほどではないけど、父が時計好きで海外製の時計をよく雑誌とかで眺めてるから……それ結構高いよね!?」
「どうだろ?親父がだいぶ前に海外出張先で買ってきたやつだって言ってたから、現地で買ったならそこまで高くないんじゃない?」
「金持ちの『高くない』は当てにならん」
今まで静かに聞いていたお松君が反論する。
「急になんだよ。ケチな親父なんだから、高かったら俺なんかにくれるわけないだろ」
「それもそうか」
「あっさり納得されるとそれはそれで腹立つな!」
まるで本当に漫才コンビのような掛け合いに、思わず吹き出してしまう。こういうところがあるから、「お松とお梅」とあだ名をつけられたのも納得だ。
「ぷっ!ふふふ!!いてててて!」
笑うと顎に響いて痛む
「大丈夫!?佐倉さん?」
「やっぱり佐倉は朝一で病院かかった方がいいよ。歩くの辛いだろうから俺がおぶって行くし」
お松君とお梅君の心配そうな顔に「ありがとう」と答えると、ゆっくりと横になる。
「私だけ横になっちゃってごめんね」
「なに言ってるの、怪我人なんだから安静にしてなよ」
「そうそう。俺達に遠慮なんていらない」
「ありがとう」
そうお礼を言うと、少しだけ休もうと目を閉じた。




