↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
7/70

7.強制イベント発動予告。

前回のあらすじ。

親睦会してみんなと少し仲良くなりました。

「へへ、うへへへへへへへ」


頬の緩みが、止まらない。

何度閉じても、開いても夢じゃないことが確認できる。

それが嬉しくて、携帯を開くと毎日の日課のように見てしまう。

何度見ても、やっぱりいいなぁ……


「随分ご機嫌だね」


その声に、思わずはっとする。

慌てて直そうとするも、手元がばたついて思うように動かない。

挙げ句、持っていた携帯を落としてしまい、その画面が彼女の目に入ってしまって……


「ち、違うんです!! これはそのっ、連絡先が交換できたのが嬉しかっただけで!! け、決して他意はないんです!!」


「別に何も言ってないでしょ」


僕の見苦しい言い訳にも気にせず、彼女ー青天目さんははいっと携帯を差し出してくれる。

どうも、明音です。先日、とても嬉しいことがありました。

そう、ついに好きな人である青天目さんと、連絡先を交換したのです!!!


「明音君ってば、最近休憩中もずーっと携帯見てたんだよ? ほんと、可愛いよね〜」


一部始終を見ていた紫藤さんが、台所からニコニコ笑顔で喋りかけてくれる。

ことの発端は数日前、親睦会の時。

遅くなるとか、ゆっくり来ていいとかの連絡が取れなかった僕に、紫藤さんから声をかけてくれた。

最初は紫藤さんだけかと思っていたのだけど、仕事柄みんなと取れた方がいいと、彼女が機転をきかせてくれたのだ。

本当、何から何までありがたい……


「……君、本当変わってるよね。連絡先一つでそこまで喜べるなんて」


「す、すみません、お見苦しいところをお見せしました。あ、おはようございます、青天目さん、紫藤さん」


「あ、まぁた苗字呼びに戻ってる〜ダメだなぁ、ルールは守ってもらわなきゃ」


痛いところをつかれ、思わずうっとうなる。

この店で働く以上、タメ語かつ名前呼び。そんなルールがある。

そりゃあ年は僕のほうが上だけど、職歴的には全然先輩な二人を呼ぶには気が引ける。

相手が相手だと、尚更なぁ……


「そーだ、せっかくだし練習しよーよ。なーつーき、はい」


「えっ、えっと……な、那月、さん??」


「さんもいらないんだけど……まいっか! じゃあ次、まーふーゆっ」


後に続いて、とばかりに彼女ー那月さんが笑う。

心なしか、彼女の目線が僕に向いているような……そんな気がして……


「ま、ままふ、まふふふ」


「わりぃ、ちょっといいか?」

「まひゅにゅしゃん!!!」


ほぼ同時に、休憩室がある部屋のドアが開く。

見事に噛んだ僕に対し、彼ー店長さんは


「何やってんだよお前らは」


とあからさまに不機嫌そうな声で答えた。

いつもとかわらない、鬼の面。それでも怪訝な顔をしていそう、というのは声だけでわかる。

恥ずかしさで何も答えられない僕に変わり、那月さんがてへっとウインクしてみせた。


「いやぁ、なかなか明音君が名前呼びに慣れてくれないから、練習してたんだよぉ〜ね、明音君」


「その割には盛大に噛んでなかったか?」


「す、すみません、ちゃんと呼べなくて……あ、あの、やっぱりもう少し、時間を……」


「呼び方なんて人それぞれなんだし、気にしなくていいよ。むしろ無茶振りする那月が悪い」


「あはは、ごめん。ちょっと意地悪しちゃった。それで店長、どうしたの?」


「ああ、そうだった。倉庫の在庫が底を切らしそうなんだ。買い出し、頼まれてくれね?」


店長さんは、思い出したようにポケットから一枚の紙を取り出してみせる。

そこには、コーヒー豆や砂糖など、店で使いそうなものが乱雑に書き殴られていた。

なるほど、自分たちで買ってるのか。

てっきり業者さんに頼んで、郵送してもらったりすると思っていたのだけれど。

ここでは資材調達も、自分たちでするんだなぁ……


「……で、なんでこれを僕に渡すわけ?」


呑気に思っている僕に対し、彼女ー青天目さんは怪訝に顔を顰める。

店長さんが持っていたなぜかその紙はまっすぐ、青天目さんの方へ差し出されていたからだ。

それでも店長さんは、あっけらかんとした様子で


「当番がお前だから」


と、さらっと告げた。

この店では、掃除や買い出しなど、雑用系は三ヶ月交代の当番制にしてるらしい。

なんでも、公平をきすため、なんだとか。

店の壁には名前が描かれた円グラフが貼られており、気がついた頃には確認に青天目さん見に向かっていた。


「確かにそうだけど、そもそもなんでこんなに切らしてるの? 在庫確認担当、君になってるんだけど」


「あーー、色々立て込んでて忘れてた」


「へえぇぇぇぇぇ?」


「そんなに怒るなって。流石に俺も、女一人に買ってこいなんて無理は言わねえよ。だから聖、お前も行ってこい」


「………えっ、僕ですか?」


僕にくると思わず、1テンポ返事が遅れてしまう。

そんな僕に構うことなく、店長は罰が悪そうに頭を掻いた。


「ほら、こういうのは男手が必要だろ? こいつも時期に当番回そうと思ってるし、実際に行ったほうが覚えるだろ」


「な、なるほど……それなら、僕一人でもいいと思いますけど……」


「それがさぁ、うちの素材結構凝ってるから、初見じゃわかりづらいんだよね〜。てことで、二人で行ってきなよ!」


……ん?


「ほら、二人で行けばこんなに買っても問題ないし、明音君も仕事を覚えられる! まさに、一石二鳥♪」


「………那月、わざとやってるでしょ」


「そんなことないって! これも仕事の一環なのは間違いないんだしさ。店のことはうちとなる君に任せて、行ってらっしゃい!」


なんだか、ほぼ強引に話が進められた気がする。

考える間もなく、あっという間に僕は店の外に押し出されていた。

えっとぉ、これってもしかして……もしかしちゃいます……?

恐る恐る隣を見ると、そこには銀髪のショートカットがため息まじりに揺れていてー


「面倒なこと押し付けられたね、お互い」


切れ長の目が、誰でもない僕に向けられている。

やっぱりそうだ、と思えば思うほど体の芯から熱くなっていく。


「いくよ」


もしかして僕、青天目さんと、二人で買い出しってことぉ!?


(つづく!!)

おまけの小ネタ⑥

お面店長(黄河)「つーわけで買い出し頼むわ」


明音「あ、あの当番制って言ってましたけど、他になんの当番があるんですか?」


那月「えーっと、在庫確認とかSNSとか……色々あるけど、最近は固定されてるのが多いんだよね〜(*^^*)」


明音「固定?」


那月「例えばうちがスイーツ作りで、店長がコーヒーとか。ちなみに、真冬はBGM担当で、ここで流れてる音楽は大体真冬の私物だよ♪」


明音(す、素敵……!⁝(ᵒ̴̶̷᷄⌑ ᵒ̴̶̷᷅ )⁝)


真冬「余計なこと言わないでよ、那月。で、彼には、何させるの?」


お面店長「聖か。聖は……( -᷅_-᷄ ก)


明音「(っ ॑꒳ ॑c)」←期待の眼差し


お面店長「…………雑用?」


明音「えっ、雑! 作るの面倒になってませんか!?」


勝手に就任、雑用係( •̀ω•́ )

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。