47.黄金色の思いは揺るがなく
前回のあらすじ。
一泊二日の温泉旅行へ行ったアルカンシエル連中。
みんなでお酒を飲んでいたら、
黄河の最大の謎が浮上した。
陽の光が、カーテンから差してくる。
その眩しさに、思わず目がさめてしまう。
時計の針は五時を回っている。まだ日が昇り始めてすぐだ。
「あれ……こう?」
隣には、純君がすやすや眠っている。
そんな彼のすぐそばで寝ていたはずの、こうの姿がなかった。
そういえば、話があるって言っていたような……
「おう、起きたか」
気がつくと、こうがいた。
すでに私服に着替えていて、身支度はばっちりすましている。
それだけなのに、どこかいつもと違うように見えるような、そんな気がした。
「こいよ、いいもん見れるぜ」
こうに連れてこられたのは、旅館の庭のような所だった。
ししおどしや小さな滝があり、風情すら感じられる。
空は澄み渡り、山の端から太陽が顔を出していた。
「わぁ……綺麗だね」
「昨日の星といい、ロケーションいいよな。ここ」
「懐かしい、よね。こうして一緒に朝日を見るの」
「よく俺がオールして、それに付き合ってくれたもんな。先に帰っていいっつってんのに、全然帰ろーとしねーし」
「だって、こうが頑張ってるのに、一人だけ帰るのは気が引けて……まあでも、結局僕が先に寝落ちしちゃったから、意味なかったんだけど」
「それがお前のいいところだよ。ほんとお前は、あの頃と何も変わらねえ」
太陽が、僕たちを照らす。
少し眩しくて咄嗟に、目を細めてしまう。
「……昨日も、いや、すげー前にも言ってたよな。なんでここに入ったのかって」
「う、うん? そうだけど……」
「全部お前のためだった。そう言ったら、どうする?」
その言葉に、思わず彼を見る。
いつもの彼じゃない。真剣な眼差しが、こちらを向いている。
その瞳の奥に、燃えるような何か強い覚悟のようなものを感じた。
「知っての通り、俺はこんなナリだ。怖いだの、不良だの、外見や態度だけであーだこーだ言われる。それなのにお前は、普通に俺に話しかけてきた。なんの脈絡もなく、ただのクラスメイトとして。正直バカだと思った。そんな奴、今までいなかったから」
「え、えっと……褒められてる?」
「そっからだよ、俺が色んな奴に話しかけられるようになったのも。こうなら大丈夫、こうのよさは僕が一番知ってるからって。全部、お前だ。お前が、俺を変えたんだ」
すると彼は、ふうっと一息つく。
ポケットに手を突っ込み、何かを強く握りしめている。
緊張のあまり、指先が白くなっているのが見えてー
「好きだ、明音」
「……へ?」
「だから、お前が好きなんだよ!!! 俺は!!!」
「ええええええええええええ!!?」
その声に驚いた数羽の鳥が、バサバサと木から飛び立つ。
だって、信じられないにも程がある。
こうが、僕を好き?? こんな取り柄もなく、普通な僕を??
「いやいや、何言ってるのこう! そもそもこうは恋愛に興味がないはずで、告白だって断ってばかりで……」
「だぁかぁらぁ、好きな人いるから断ってきたんだよ。気づけよそれくらい」
「じゃあ、さっきのここに入ったことや理由を教えてくれなかったのは!?」
「だからそれはぁ……かっこいいとこ見せたかったんだよ。確かに師匠の味に惚れたってのもあるが……できないことをできるようになれば、少しは意識して、もらえるかもって……」
そう言いながら、彼は頭をかく。
彼は照れた時、決まってこの動作をする。
だから、わかった。嘘で言ってるわけじゃない。
本当に好きなんだ、僕のことを。
「それなのに真冬が好きだとか、ここで働くとか言い出すわ。マジで勘弁してほしいと思ったわ。ほんっとお前バカだよな」
「そ、そんなに前から好きだったの!? じゃあなんで、真冬ちゃんのこと応援して……」
「人のこと言えねぇだろ。俺は、お前のそばにいられれば、それでよかったんだよ」
頭が追いつかない。心臓がバクバクと音を立てている。
気付かなかった。全然、気づけなかった。
彼は親友だ。大学時代から、隣にいる事が当たり前だった。
そんな彼が、まさか僕に好意を持っていたなんて!!
「俺も真冬と一緒だよ、お前を大事に思うからこそ、言えなかった。あいつらがちゃんと自分の気持ちに向き合ってるのみて、俺も変わらなきゃダメだって思ったんだ。随分と時間かかっちまったけどな」
「き、気持ちは嬉しいんだけど……僕、どうしたらいいか……」
「わかってる、振られてばっかで慎重になってることくらい。無理に好きになれとはいわねぇ。ただ一つだけ……11月末に、バリスタの大会がある。そこで、俺だけをみていて欲しい」
その言葉に、僕は顔を上げる。
動揺している僕に対し、彼は妙に落ち着いていた。
まっすぐ僕を見据えながら、自嘲気味に笑って見せた。
「俺って、どーしようもねぇほど不器用だろ? 言ったやつの大体には笑われたし、師匠には絶望レベルとまでいわれてた。そんな奴がでたって、結果なんてわかりきってるだろ?」
「こう……」
「でも、今のままじゃ何もかわらねぇ。店長だって代わりでやってるだけで、あの人に認められたわけじゃない……だから決めた。俺は、大会に出る。大会に出て、優勝して、そんでお前の隣を、胸張って歩きたい」
その言葉は、震える拳とは裏腹に、とても強く決意に満ちていた。
まっすぐみつめる目は、いつもよりとてもかっこよくみえて……
「見ていてくれねーか、明音。俺が、お前と並べるように」
光が僕たちの影を長く、真っ直ぐに伸ばしていく。
高く登り始めた朝日は、僕たち二人を照らすように輝いていたー。
(つづく!!!)
おまけの小ネタ。
藍「みなさーーん、朝でーす(。・ω・)ノ 帰り支度を始めてくださーい」
橙子「はぁい( ¯꒳¯ )ᐝ って純ちゃんだけ? あーちゃん達は?」
藍「起きたらもぬけの殻だったので、こっちに遊びに行ってるのかと」
那月「いやぁ、うちらもみてないけど……それにしても、珍しいね。こう君って確か、朝は苦手なんじゃなかったっけ?」
藍「そのはずなんですけどねー。大事な用でもあったんじゃないですかー?( -∀-)」
純「あ、そーいえば朝、こーがみたよ。( ・ὢ・ ) ムムッーって顔しながら、ずっと独り言言ってた」
那月「独り言? どんな?」
純「んー、立ち位置とか、光の角度がどうとか……」 ( -∽- )
那月「……え、何それ自撮りの練習? こう君が?(。´・ω・) いやいや、そんなわけ……」
純「あ、あとあかねってすごい言ってた( '-' )」
橙子「それ絶対あーちゃんに何かするじゃない!(⊙⊙) 今すぐ助けに行かないと!!」
真冬「……きっとまだお酒が残ってるんじゃない? 色んな意味で╮(•́ω•̀)╭」
藍「……皆さんの中で、彼はどういうポジションなんです?( •̅_•̅ )」
不器用すぎる男の末路。
黄河「ぶっ潰すぞ( ・᷄-・᷅ )」




