3.Road to My first love
前回のあらすじ。
初恋の人に奇跡的に再会したので
勢い余って告白したら、
まさかの喫茶店で働くことになりました。
前髪や自分の格好を、何度もガラス越しに確認する。
おかしくないかな、大丈夫かな。
緊張でどうにかなりそうな体を、深呼吸で自分を落ち着かせ、ドアを思いっきり開けた。
「お、おはようございます!!! 今日から働かせてもらいます、聖です!! よろしくお願いします!」
みなさん、こんにちは。聖明音です。
今日というこの日、僕は喫茶店の従業員として、デビューを飾ることになりました。
なぜこんなことになったのか、それもこれもー
「……なんだ君か。おはよ」
彼女、青天目真冬さんに人生初の恋をしたからである。
まさかたまたま通りがかった店にいて、こうして働くことになるなんて思ってなかったけど。
これも運命っていうのかなぁ。
「随分早いね。開店してから来て、って言ったはずだけど」
「す、すみません、初日だと思ったら緊張して……」
「ふうん」
切れ長の目が、僕を一瞥する。
まるで、異物を見るかのような、冷たい瞳。
ど、どうしよう。完全に眼中にない……
おそらく彼女からみて僕は、かなりの変人認定されている。
それもそのはずだ、初対面で告白するという、盛大にやらかしをかましてしまったのだ。
恋愛って怖いなぁ。こんなに歯止めが効かないなんて……まさに、後悔先にたたず……
紫藤さんが働いたら? と言ってくれなかったから、どうなっていたことか……
「あ、あのぉ、本当にここで働いちゃって、大丈夫、ですか? 紫藤さんが言ってくれたとはいえ、手続きとか大変だったんじゃ……」
「別に、気にしなくていいよ。やるのは僕じゃないしね。そっちこそ、よかったの? 職場やめたばかりなのに、那月の思いつきにのっちゃって」
「とんでもない!! むしろ! 大歓迎です!!」
「そ」
口数は少ない。顔色は一切変わらない。
それでも、完全に怒っていないってことだけは、なんとなく伝わった。
怒ってたら、僕によかったの? なんて聞かない、よね。
「おはよ〜あれ、もう来てるんだ! やほ〜、昨日ぶりだね」
店の裏口から、おしゃれなワンピースを身にまとった紫藤さんが顔を覗かせる。
気軽に手をひらひらさせてくれる彼女に、僕はまた直角に頭を下げた。
「おはようございます! この度は、本当にありがとうございました!!」
「固いなぁ、そんな畏まらないでよ〜うちらには徳しかないんだから。それに、あたしのほうが年下なんだから気兼ねなく話してくれていいんだよ?」
「え? そうなんですか??」
「あ、その顔年上だと思ってたでしょ〜? よく間違われるんだよね〜これでもうち、真冬とタメだよ」
は、はぇぇぇ……
「スーツだと動きにくいよね? 控室まで案内するから、着替えておいでよ。うちの店制服支給だから、ついでに採寸もしなきゃだし」
「あ、あの、その前にいいですか? 急な採用だったので、店長さんにご挨拶がしたいんですけど……」
二人の足が、止まる。
と同時に、青天目さんは呆れるようにため息をつき、紫藤さんは気まずそうに目を逸らした。
あ、あれ?? 何か間違ったこと、したかな?
職員側の提案とはいえ、面接なしの職場採用なんて、あまり聞いたことのない事例。
特に、居合わせもしなかった上の立場側にとって迷惑千万。だから、せめてのお詫びとしてお菓子や、ご挨拶をって思ってたんだけど……
「……あー、店長ね。うーん、うちの勝手だし、気にしなくていいんだけど……えーっと、驚かないでね?」
「はい????」
「店長、お呼びだよ」
青天目さんが、ドアに向かって話す。
そこから出てきたのは、一人の男性だった。
すらりとのびた手足、髪には黒と茶色が混ざっている。
そこまでは、よかったんだ。そこまでは……
「こんにちは。店長の宇賀あまみ、ダス」
なんということか、その人は鬼のお面を被っていたのだ!
「宇賀あまみ、26歳。超がつくほど人見知り。このお面がないと人前にはでられない……っていう設定なんだって」
「そこ、設定いうな」
「しかもだ、ダスって、敬語慣れてなさすぎ……あはっ! だめ、お腹痛い……」
「しばくぞこら」
呆れたようにため息をつく青天目さんに、笑いを堪えられないとばかりにお腹を抱える紫藤さん。
その中心にお面を被った男性……
なんともシュール過ぎる図だ、やっぱりやめておけばよかった。
……と、普通は思うのだろうが、不思議なことに、そんな気が起こらない。
どことなく、似ているからだろうか。
この間髪入れない返事の仕方、慣れない敬語……思わずふっと笑みが溢れてしまった。
「……そこ、何笑ってんだ」
「あ、ごめんなさい。僕の友達に似てるなぁって思ったら、つい」
「似てるなぁも何もほん」
「あーーーとにかく。開店まで時間がねえ。裏に着替えあるから、さっさと着替えやがれ、です」
青天目さんのセリフに被るように、彼がいう。
いよいよ、始まる。
再び決意を固めるように、僕はごくりと唾を飲み込んでみせた。
(つづく!)
おまけの小ネタ②
店長「宇賀あまみ、っす。名前は呼び慣れねーから、店長ってよんでくれ、だす」
明音(鬼のお面をした店長……また個性的な人だなぁ。どんな顔してるんだろう……)|ω・)ジーッ
店長「あの、何か」
明音「あ、ご、ごめんなさい! なんで鬼の面なんだろうなぁとか、気になっちゃって」
店長「あ、あんまみないでくっさい。緊張するんで(乂'ω')
明音「あ、そっか。人見知り、なんでしたよね。すみません!」
真冬「とはいえ流石に初対面で仮面はまずいよね。顔、少しみせるくらいはいいんじゃない?」
明音「えっ、お二人は見たことあるんですか? なら、ぜひ……」
店長「……こ、この仮面を外したら、俺の封じられた魔の力が解放されてしまうんで……それだけは……ᐢ⩌⌯⩌ᐢ」
真冬「……なにその厨二病設定( ・᷄-・᷅ )
明音「え、それは大変!∑(๑ºдº๑)!! 今は遠慮しておきます!」
真冬「君もなんで信じてるの?」
那月「男の子って面白いよね〜(*´˘`*)」
仮面店長の正体に乞うご期待!




