24.探し人のARIKA
前回のあらすじ
いなくなった店長を探していたら迷子になってしまい、
偶然会った純に
彼を知ってるといわれ、連れていかれた。
車内のラジオが、後部座席まで聞こえてくる。
窓の外の見知らぬ景色が目まぐるしく変わるたび、どうしようもない焦りが募るー
どうも、聖明音です。今、見知らぬタクシーの中で、僕はどこともわからないところに向かっています。
なんで、こんなことになったんだろう。駅って、こっちだったっけ?
進めば進むほど、不安ばかり……
「早いねー、タクシー」
開けられた窓からの風が、隣にいる彼の金髪をなびかせる。
彼ー緑野君は、僕と同じように窓の外を眺めていた。
腕には初めて会った時と同じ緑色のミサンガがつけられていて、アーチ状のアクセサリーが、中央でゆらゆら揺れている。
道に迷って途方に暮れていた僕の前に現れ、その上店長の場所を知ってると告げた彼。
すでに呼んでいたのか半ば強制的にタクシーへのせられて……今に至っている。
行き先をろくに知らないため、みんなにも場所を伝えられてないし、そもそも携帯は電源が切れているというまさに、万事休す状態。
このままじゃだめだ。まずは、どこに行ってるかだけでも聞き出さないと……!
「あ、あのぉ、こっち駅じゃない、ですよね? どこに向かってるんですか?」
「探してたんでしょ? あの人のこと。今から行くのは、その人がいる場所」
「あの人って御領原さんのこと、ですか?」
「そ。あかね、知ってるんだね」
「この前偶然会ったんです、と言っても本人がわからないんですけど……僕の働いてる店の店長だった人で。売り上げを伸ばすためには、どうしても彼が必要って話になって、それで……」
「そっか」
気まずい沈黙が、また流れる。
そもそも彼が、なんで御領原さんをしってるんだろう。
聞きたいのに、うまく言葉が出ない。
どう切り出そうか、なんて考えていたその時ー
「その人、ボクのパパなんだよね」
と、あまりにも淡々と言い出してー
「えっ、と、パパって……?」
「パパはパパ。ボクのパパ」
「えええええ!!? 緑野君と御領原さんって親子ぉぉぉ?!」
「アルカンシエルも、僕のお家だよ。知らなかったの?」
「だ、だって初めて聞いたし、そもそも何も話してくれなかったじゃないですか!!」
「そーだっけ?」
そう言っても、彼は不思議そうに首を傾げるばかり。
言われてみれば、合点がいく。
確かに御領原さんを見た時、誰かに似てるなぁとは思ったけど……
まさか、親子だったなんて!!
「それなら、どうして今はいないんですか? こうが言ってました、店長がいなくなってから、家の人も来なくなったって」
「んー……ちょうど二年前かな? 事故でママが死んじゃってから、やめちゃったんだよね。お店のこととか、僕のこととか全部」
一瞬で、空気が張り詰めた気がする。
相変わらず彼の口は淡々としていたが、その言葉には固い決意が宿っているように感じた。
「あ、でもボクは平気だよ。おじさんもおばさんも優しいし、がっこーも楽しいし。でもパパは、違う。ママが死んでから、どこにいるかもわかんなくなっちゃった。お墓参りとかにも来なくて……そんな時、とーこ……財前のお家が、手伝ってくれるって言われて」
「だから、一緒に行動してたんですね……」
「そのおかげで、やっと見つけたんだ。時間、たくさんかかっちゃったけど。とーこがタクシーも呼んでくれるっていって、待ってた。ちょーどそこに、あかねがいたってわけ」
「えっ、それで僕を連れてきちゃったんですか? 僕部外者なのに……財前さんに変わった方が……」
「もともと話すのはボク一人のつもりだったから、でもボク一人だと逃げちゃうかもしれない……だから、あかねにした。パパと会ったあかねと一緒なら、大丈夫な気がして」
その瞳が、言葉がすごく純粋で、まっすぐで。
正直、僕なんかじゃとは言えなかった。
僕がいることで、彼の不安がなくなるならそばにいたい。
それに、御領原さんがいなければ、僕たちの店も立ち行かない。
行かなきゃ、僕が。彼のために……真冬さんといられる、この大切な場所を守るために。
「あ、着いたみたい。行こ」
タクシーが、止まる。
外に出ると、少しだけ雨が降っていた。
海が見える開けた公園のような場所で、波が引いたり寄せたりを繰り返している。
人一人いない、静かな場所。
そんな中、不釣り合いなほどに全身黒の服装を纏った、一人の男の姿があってー
「御領原さんっ!!」
僕の声と同時に突風が、吹く。
その瞬間、彼のかぶっていた帽子が宙に浮いてー
「よかった、本物だ」
「……なんで、ここに……」
「久しぶりだね、パパ」
飛んできた帽子を、緑野君がつかむ。
まるで光を放つかのような金色の長い髪が静かに風にたなびく中、僕らは再び彼と再会を果たしたのだったー
(つづく!!)
おまけの小ネタ
タクシーで走行中……
明音(緑野君……御領原さんの息子……僕より年下なのに、二年間もご両親がいないなんて……大変だっただろうなぁ……)
純「……ふみゅ……(´-ω-`)」
明音「はっ( ゜д゜) す、すみません! 辛いことを話させてしまって!ヾ(・ω・`;)ノこんなに震えてるのに……寂しかったですよね、悲しかったですよね( ߹꒳߹ ) つらかったら、泣いてもいいんですよ、本当すみませ……」
純「……あ、ごめん。話したら疲れちゃって、いつのまにか寝ちゃってた( ¯꒳¯ )ᐝ」
明音「ほえ??( ᐕ)」
純「あ、そういえばあかねのこと、とーこに連絡しないと。( 'ω')? この子、ずーっと震えてる。寒いのかな? 温めてあげればいい??」
明音「そ、それ着信じゃないですか!∑(๑ºдº๑)出てあげてくださいよ! さっき借りた時も思いましたけど、すごい着信量でしたよ!?」
純「んー……( ・-・ )よくわかんない。あかねがして( ˙꒳˙ )」
明音「えぇ!?Σ( ˙꒳˙ )」
マイペース不思議ちゃん(˙-˙)




