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偽善の聖人、教祖になる  作者: チョコクリーム
3.『成長して、その先に』
45/46

成功

 

 スライムは触手を同時に2本以上動かせる。

 触手の攻撃は初動こそ速いものの、本体に戻るまで時間がかかる。

 僕の反撃でダメージは入るが、あと何回反撃をすればいいのか分からない。


 今分かっていることをまとめるとこんな感じか。

 マムウには様子見を頼んでいるから、ガイゼルと火力不足な僕で倒すしかない。


「ユト!俺は待ちきれねぇぜ!」


 ガイゼルが我慢できなくなったのか突進して行った。

 すごい、ちゃんと避けてる。触手は5本も出てるのに。

 全然当たらなくて焦っているのか、触手は更に出てきて、合計10本もの触手が振り回されている。


 なるほど、遠心力を使って常に動かし続けているのか。

 1度止まったら触手は力が弱まるとか?そのせいで本体に戻るのに時間がかかるとしたら、一瞬でも邪魔出来れば好機はある!


「うおおぉらぁぁぁ!」


 ガイゼルがスライムに攻撃を当てた。重量のある大剣から放たれる一撃はスライムにとってたまったものではないだろう。

 その証拠に、スライムの触手の動きが何本か止まった。


「ガイゼルさん!今のもう1回できますか!?」


「こんぐらいなら100回でも当てられるぜ!」


 ガイゼルさんの負担は大きいけど、僕は攻撃より防御役の方がいいのかもしれない。〈優しい火〉の効果を確かめることなく終わりそうだ。


「なんだあれ!?」


 動きを止めていたスライムの触手が、急にガイゼルさんを囲いだした。

 まさか、檻のつもりか?


「ガイゼルさん!大丈夫ですか!?」


「こんなの……チッ、触手が邪魔で剣が動かせねぇ!」


 ガイゼルさんを囲っている今なら、動かせる触手の数は少ないはず。スライムに近付くことは容易だろう。

 だけど、倒せる保証はない。それに、あの時助けてくれたガイゼルさんを裏切ることになる。

 あと善玉が欲しい。


 だけど、反撃は右手の自由が無くなるから隙がでかい。その間に狙われたら死んでしまう。

 待てよ、反撃をある程度変化させれるとしたら。必ず右手を使う必要なんかないだろう。


「ガイゼルさん!今助けます!」


 機械が纏う火は、燃えることの無い〈優しい火〉だ。だけど、見かけだけならただの火と変わらない。

 スライムが火に怯えてくれればラッキー程度に考えておこう。


 走れ。ガイゼルさんを助けるにはスライムの横を通らなきゃいけない。

 だが、僕には触手を見て避けるなんてことは出来ない。だから、反復横跳びのように横にはねながら走った。


「スライムさん、僕の動きに着いてこれますか?」


 僕の横を触手が通り、髪の毛からブチッっと音がして冷や汗をかく。

 ギリギリだったけど、避けれたのは幸運だ。…幸運?そうか、僕の運のステータスは高いからか。


「スライムさんの目は節穴ですか?ん?スライムさんって目あるんですか?まあ、どっちにしろ触手の扱いが下手くそですね!」


 今度は3つ、触手が僕の横や上を通り過ぎる。モンスターは言葉が通じるのか?煽りをしだしてから触手の本数も増えたし、精度は逆に下がった気がする。


 あと少しで、ガイゼルさんの所に着く。これなら、行ける!


「通らせてもらいますよ、スライムさん」


 この距離じゃ触手は避けられない。けど、あらかじめ両腕で守っておけばそれはチャンスとなる。

 触手が僕の腕に衝突するが、バトルグローブは効果を十分に発揮した。


 右手が後ろに周り力を溜めている。その間、左手は空いている。

 僕は左手に〈優しい火〉を集中させて、スライムに向けて火を()()()()


「ピギギギャア!!」


「そしてもう1発!」


 右手で殴り、ペちょんと音がした。相変わらず僕自身の力は皆無なようだ。

 反撃によって出てきた謎の触手が、スライムの体を貫いた。


「ピ、ピギュウ〜」


 スライムが弱ったおかげでガイゼルさんの拘束も弱まっている。


「ガイゼルさん!聞こえますか!?今から触手を怯ませるので頑張って出てきてください!」


「あぁ!こんなコケにしやがったスライムは絶対許さねぇ!」


 〈優しい火〉を纏った右手で触手を狙う。触手はもちろん避けるが、そんなことをしていれば中に対する意識は緩む。


「ほらほら、早く当たって楽になりましょう」


 そういえば、さっきは〈優しい火〉を飛ばした。これを上手く使えば、触手の意識をもっとこっちに向けられる。

 触手を止まらせないことが大事だ。


「何止まってるんですか!焼いちゃいますよ?早く、もっと真剣に逃げてくださいよ!」


 触手に怒るなんて普通に考えておかしいと思う。でも僕は真面目にやっていた。

 そして、ついに。


「オラァ!この粘着触手野郎が!粉微塵にするぞ!?」


「ガイゼルさん!怪我もなさそうでよかったです!」


「まあな。それより止めを刺すぞ。こんな閉じ込められて終わりじゃ納得いかねぇ」


「はい、お願いします!」


「君たち、討伐にそんな気持ちなんて要らないんだよ」


 矢だ。矢がスライムの体を貫いていた。

 力のやり場を失った大剣は、重力に従って地面に落ちる。

 呆然としたガイゼルさんの顔。

 段々状況を理解した僕達は、後ろを見返す。


 そこには、ニコニコとしたマムウがいた。



 〈第9世代スライムを一体討伐しました〉


 〈経験値を10取得しました〉


 〈称号〈戦いの中で成長する者〉を解放しました〉



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