進展
「ユト、だったかしら?何を買いに来たの?ラナミとはどういう関係?」
落ち着いたから買い物しようとしたけど誤解は解けてませんでした。ラナミさんがそういう趣味ではないとは分かったんだけど、どうしてか今度は僕達の関係が疑われているらしい。なんで?
「アンさん!さっき言ったじゃないですか!」
「あら、そうだったかしら?あたしもボケたものだわ…」
「絶対わざとですよね…」
何故かチラチラと僕を見るラナミさん。…意外だ、こういうこと気にする人だったんだ。アンズのおかげで、僕の知らないラナミさんがたくさん見れて満足だ。
「ユトくん、そんな満足そうにしてないでしっかりして!買うものメモしてたよね?」
「あぁ、分かりました」
「ラナミ、何故ユトは満足そうにしてたのじゃろうなぁ?一体何を聞いてしまったんじゃろうなぁ??」
「…あっ!ユトくん、さっきの話聞いてた!?」
さっきの話?なんかアンさん達とコソコソしてた時かな?多分その時の伝え方が悪くて誤解が解けなかったんだろうけど。
「聞いてないと思います。さすがに盗み聞きはしませんよ」
「そっか、良かった〜」
アン・ゼンさんの言った意味がよく分からなくてゼンさんの方を見ると、とてもにっこりしていた。…多分、からかわれたのか?
「ラナミさん、あれ…」
ゼンさんの方を指差すとラナミさんも気付いたのか、身を震わせ始めた。あー…結構怒ってる感じだ。
「ゼンさん!からかわないでください!!」
「ほっほっほ、歳をとるとどうしてものぅ」
「反省してください!私達は買い物に来たんです!ユトくん!あれ出して!」
あれ…買い物のメモのことかな。
「これですか?」
買う物リスト
・テーブル
・事務用机
・ベッド
・ソファ
・ティーセット
「そうそれ。えっと、じゃあこれに書いてある物を紹介してくれませんか?」
「ラナミさん、その前に他に何が必要そうか聞いた方がいいんじゃないですか?」
「…それもそうね。アンさん、一人暮らしに必要な物とかありますか?」
「その前に…確かラナミの部屋って〈司教〉の部屋よね?」
「うん、そうだけど」
「…はぁ〜〜。あんな何も無いような部屋でこれだけ買ったって足りないに決まってるじゃない…ユトもそのぐらい分かるわよね?」
「僕は〈信徒〉の寮に住んでいるので…」
「ユトくんってもう〈補助官〉だよね?住めなくなったんじゃないの?」
「さすがに直ぐに追い出される訳じゃなくて、引越し期間みたいなので2週間猶予があります」
「〈信徒〉の寮って最初から色々あるパターンよね…まさかどっちも一人暮らしを知らないとは思わなかったわ。覚悟しなさい!!」
本気で心配している感じで、余計に辛くなった。そんなに一人暮らしって必要なもの多いのか?
・・・・・・
酷い目にあった…。色々買わされて、100万は超える金額を払っていたラナミさんを見た時は血の気が引いた。
どれも必要なものだとは分かっているし、使いやすそうなものを勧めてくれる優しさを感じたが、高いものは高いよ…。
さすがに運びきれなかったのでアンズと連携している宅配サービスあんこ宅配便、略してアンパイ。
仕事が早くて丁寧だったし、今度機会があったらまた使おうかなと思うぐらいには優秀だった。高いけどね。
やはり世の中金なんだよ金。だから、ユト動きます。
クエストでバリバリ金を稼ぐしかねぇ!ラナミさんの金も無限じゃないし、足りなくなったら大変だし。
「そう思いませんか?」
この僕の熱い思いを分かりやすく要約してラナミさんに伝えた。難しそうな顔をして聞いていたけど、あまりよく思われていなのかもしれない。
「うーん…まず、ユトくんは何のクエストをするになのかな?」
「モンスターを討伐するクエストです。稼ぎがいいと聞いたので」
「やっぱり…。今のユトくんじゃあ無理だよ」
「確かに僕のステータスは弱いし、デスペナルティで下がってますけど…」
「〈祈り〉があるから大丈夫って?」
「っ!」
「〈祈り〉は1日1回しか使えないし、〈祈り〉以外の攻撃手段がないでしょ?」
「それは…」
「だから、ユトくんを1人で行かせることは出来ない」
「そう、ですか」
ステータスは運に極振りをすると決めたから…帰る訳には行かない。別に誰かと約束したわけでも、そうしないと死ぬ訳でもない。でも、そうすると決めたから。
「僕は、認めてもらう方法を探します。どんなに時間がかかっても」
「待った待ったユトくん。1人で行くのはダメだと行ったけど、誰かと一緒なら大丈夫だよ。誰でもいいってわけじゃないけどね」
「えっ」
「そして、ユトくんの目の前にはとても強いお姉さんがいます。言いたいことは分かるね?」
「えっでも、良いんですか?」
「もちろん、条件はあるよ。………その、ユトくんって住む家探してるんだよね?」
「?はい、そうですけど……ってまさか」
「う…そうだよ!一緒に住もう!!今まで家はあんま使ってないからよく分からないし、1人より2人の方が心強いでしょ!?」
「…」
「ちょっと、何か言ってよ…」
「これからお願いします!」
「…やった!ねぇねぇ、これからどうする!?…ふふ、楽しみだね」
夕日に照らされたラナミさんの笑顔は、とても綺麗だった。彼女という神秘を、写真に撮ることが出来なかったことは一生後悔することになるだろう。
これにて2章は終わりです。
明日重大発表あります。エタった訳ではありませんのでご安心ください。




