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偽善の聖人、教祖になる  作者: チョコクリーム
1.『あぁ、あなたはなんてことを』
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開戦

 

 穏やかな日差しと言うには少々暑すぎる今日この頃。神殿の前には大変混みあっている代理人が見えます。


 夜に来てくださいと言ったはずなんだけど、みんな早く来すぎかなぁ。とはいえ、まだ制圧してから1日経っていないから攻めてこないはず。

 存分に力を貯めるとしようか。罪人たちは〈集団祈り〉という〈祈り〉の協力版みたいなやつを使うのだが、僕は〈集団祈り〉を持っていないため使えない。


 それに、信仰が低すぎて〈祈り〉の時間を長くすると女神に面倒くさがられて発動しなくなるらしいしな。

 大人しく待ってるとでもしようか。



 はい、夜になりました。暇だったのは僕だけじゃなかったのかライミ様やカナミさんが話しかけてきて、おしゃべりしたりもしたので意外と楽しい時間だった。

 これからお楽しみの時間だからちゃんとしよう。代理人の皆さんも待っているみたいだしね。


 出来ればカレードマスターに話をしたいな。そう思っていたらすぐに見つかった。1番前に居るなんて死にたいのかな?


「こんばんは、カレードマスターさん。お元気ですか?」


「元気ではないかな。そんなことより、スキルについて教えくれるんだろう?早くしてもらわないと、こっちも抑えられなくなるんだ」


「相変わらず野蛮な方々ですね。こちらは常に紳士的な対応を心がけてるというのに」


「どこが…!」


「そんな怒らないでくださいよ、軽い冗談じゃないですかー」


「……」


「ま、いいですよ。何が知りたいですか?1個だけ質問に答えてあげますよ」


「な!?教えるんじゃなかったのか!?」


「誰も全部教えるなんて言ってないじゃないですか。それより早く決めないと僕の気が変わるかもしれませんよ?」


 僕を強く睨みながらも考えるカレードマスター。今のうちに〈祈り〉を始めよう。


 女神様の像を人目見た時からずっと思っていました。女神様はこの世の何よりも美しい。そんな女神様を馬鹿にする愚か者共がいます。


「…スキルを手に入れる手段を教えてくれ」


「うーん、まぁそうですよねー」


 そう、特にこのカレードマスターとかいう奴は女神様の像を見て違うと言ったそうじゃないですか。そんな人間とは思えないような悪魔を僕は許せません!

 女神様、こいつに天罰を!!


「罪人を倒せば使えるようになるかもしれませんねー」


 正確には罪人を倒して伝道師を捕まえて情報を聞いて始まりの教会を制圧すれば、だけどね。


「そんな情報で満足するとでも思っているのか!ふざけるのも大概にしろ!」


「はい、天罰ー」


 その瞬間、()から視界を覆うほどの光が降り注いだ。〈祈り〉じゃない、〈集団祈り〉だ。どうやら僕より先に発動していたらしい。

 この〈祈り〉というスキルには少し欠点がある。祈りを聞くのは女神様ただ1人だから発動する順番があるということだ。


 光が消えた後、残っていた代理人の数は半分を切っていた。運がいいな。いつも思うけど、前の戦いでは〈集団祈り〉で3割ぐらいしか倒せなかったらしい。

 それでもすごいと思うけどね。


 さて、今度は〈祈り〉の番だ。信徒である僕は天罰の効果を受けないけど、その中心であるカレードマスターはどうなるかな?

 さっきの〈集団祈り〉で結構削れただろうし、これで倒せるだろうけど。


 突然、()から矢が降ってきた。その行先はどこもカレードマスターの体だ。まず最初に足を地面に縫い付け、次に手を、そのうち体が地面にくっついてピクリとしか動かせなくなった。


 だが、それだけでは終わらなかった。カレードマスターが動けなくなった所を狙うかのように数百の矢が継続的に体に打ち込まれていった。

 打たれる度にビクンッビクンッと揺れる姿は少し面白かった。声が無いのが残念だ。


 そんな鬼畜な天罰も終わったようで、空が晴れ渡った。カレードマスターの遺品は落ちてるかな?

 代理人は死んだ時にデスペナルティで3日間のステータス半減と装備中のものからランダムに1個ドロップする仕様だ。

 死体は残らず光となって消えるのだ。


 あれ、カレードマスターの死体が消えてない。


 …まさか、生きてるのか!?あれだけ矢を打たれて生き延びるとか化け物じゃないか!


「僕は、まだ、負けない」


「気持ち悪…なんで生きてんの…?」


 思わず素が出てしまった。出来るだけ丁寧な言葉遣いをするようにしていたのに。でも、今はそんなこと気にならないぐらい、目の前の脅威が気になる。

 いずれ僕の道を阻む存在になるという予感がする。


「スキルを、持っているのが、お前らだけだと思うなよ

 …!!」


 やばっ、カレードマスターがこっちに走ってきてる!さっき死体確認で近付いたから距離はほとんどない……死んだかな?

 だけど、そのまま死を受け入れるのも癪だしせめて殴ろうと拳を構える。


 そうして互いの拳の間合いに入った時、どっちの拳がより速く敵を穿つかの勝負になる。そう思った。


 結果は、カレードマスターが、一瞬で割り込んできたライミ様に真っ二つにされるという残酷なものだった。


「この程度のやつに何を油断している。女神様の力を過信するな…全く、しょうがないやつだ」


日間ランキングに入っていました。ありがとうございます、ありがとうございます。今後もよろしくお願いします。m(_ _)m

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