第一話「物語の始まり」
「アナタノネガイゴトハ、ナニ?」
とある一つの本が自分に問いてくる。
そして、問いを投げられた者はこう答えた、
「俺の願いは___」
そのとき世界に白い輝きが世界を包んだと同時に、運命の歯車が廻った__。
創記49年 ここはフィルクルード・・・と呼ばれる地球から何億光年も離れた蒼い星。
ここフィルクルードには、新光側と呼ばれる面と古闇側と呼ばれる面の2つに別れていた。
新光側と古闇側にはそれぞれ大陸があるが、新光側にしか人々。。。いや者達は住んではいない。
新光側には大陸が5つある
・北に位置するは、雪と土の大陸「シルクノール大陸」
・東に位置するは、森と花の大陸「ウクリアーノ大陸」
・南に位置するは、炎と水の大陸「ファイウール大陸」
・西に位置するは、岩と風の大陸「エアーロック大陸」
・中央に位置するは、希望と光の大陸、「ホープシリビア大陸」
各大陸にはそれぞれの種族が住んでいる。
北には、「獣族」 東には、「長耳族」 南には、「奴鬼族」、「魚人族」の2つの種族が住んでいて、西には、「幻鳥族」中央には、「人間族」が住んでいる。新光側の現時点では、6つの種族が確認されている。
時は同じくして、地球、日本列島、東京都。
一人の男が早朝に街中をジョギングしていた。
「はぁ・・はぁ・・」
その男の名は涙、15歳中学生、学校での大会に向けて体力作りに励んでいた。
「あぁ、疲れた・・・」
近くのベンチに座って、持っていたスポーツ飲料を一気に飲み干した。
「ん?なんだあれ?」
視線の先には烏が、あるものに集る様子が視界に入ってきたのだ。
「おいおいおい・・・!子猫じゃないだろうな・・?」
烏が集っているところに急いで駆け寄り烏を追い払った。
「え・・・?」
烏がどいて視界が広がったと思えば、目の前にある物は指輪だった。
「・・・生き物じゃないのかよ、俺の心配くだらねぇ・・・。」
がくっと肩を落としたが、
「ま、生き物じゃないなら何よりだ。それよりも、結婚指輪とかじゃないだろうな?」
内心ホッとしながら、目の前に落ちている指輪をヒョイッと拾い上げまじまじと指輪を見る。
「ん?名前・・・、完璧に結婚指輪パターンじゃねぇかよ。愛を送る相手の名前とかか?」
指輪に刻まれている名前を口に出してみる。
「えーと・・・何々?ルイス=シャル=フィルクルード・・・?って外国人かよ?!カタカナで刻んであるなんて、よほど日本が好きな人なのか?」
一人でブツブツとつぶやいていると、いきなり頭を殴られたような頭痛が走った。
「っ__?!」
あまりの痛さに悲鳴も上げることが出来ず膝からその場に崩れ落ちた。
そこから俺の意識はもう闇の中に溶け込んでいった。
場所は変わり、北大陸シルクノール大陸の、小さな町に一人の女の姿があった。
「おーい、ローザちゃん。昨日はよく眠れたかい?昨日はすごい大雪だったから、一人暮らしじゃ大変だろう?なにか困ったことがあったらいつでも言っておくれ」
一人の老女が杖をついて、優しく話しかけてきた。
「ありがとう、クレアおばさん!でも私、大丈夫よ?だって私強いもの」
ローザが答えた。答えるとすぐに、
「これから薪を拾いに行くんだけど・・・」
老女が森の方を見て言った。
「分かったわ、私がおばさんの分まで拾いに行ってくるわ。クレアおばさんは足が悪いんだから休んでいて」
ローザはそう言うとすぐに走って森の方へかけっていった。
「無理はしないでおくれよー?」
「はーい!」
森の中で薪を拾いながらローザがつぶやいた
「あら?知らない間にずいぶん奥に来てしまったわ・・・、日が暮れちゃうわ、戻らなくちゃ。」
クルッと後ろを振り返ると、大きな大木の幹に寄りかかるようにして倒れている者を見つけた。
「大変!何かあったのかしら?!」
慌てて駆け寄り声をかけてみる。
「大丈夫ですか?・・・生きてるわよね?」
ちょっと心配になったが、すぐに小さなうめき声が聞こえたので生きていると分かった。
「良かった・・・どうかしたんですか?」
聞いてみると、しばらく視線を彷徨わせていたが目が合うとひとつ言葉を発した。
「ここ・・・どこですか?」
涙は聞いた、だっていきなり真夏の東京から真冬のこんな雪の中に居るなんて、どうかしているとしか考えられない。
「え?ここはシルクノール大陸の町はずれの山の中ですが?」
「・・・・はい?」
(や・・ま?ヤマ?・・・山?)
一瞬思考が停止したきがする。
「山だぁーーー?!」
あまりの出来事に涙は叫んでしまった。
東京は雪は少なく、山はない。しかもよく目の前の女性はどっからどう見ても日本人じゃない、むしろ人間?ではないように見える。
「コスプレか何かでしょうか?」
「こす・・ぷれ?とはなんでしょう?」
問いを問いで返されるとはこのことだと思った。
「ここ、地球・・・じゃ、ない・・?」
だって目の前の女性は、しっぽが二本あり耳が獣耳で、髪の毛やしっぽの色が銀色をしている、目の色もネコのように金色で縦に線がはいっているのだ。
その他は人間と同じで髪の毛を大きな三つ編みで後ろで結ってあり、服装は冬でありながら露出があり、まるで中華と着物を混ぜ合わせたような服装だ。
「地球?いいえ、ここはフィルクルードですよ?」
この人頭打ったのかしら?のような顔をされているが、涙は頭を打ったのではなく頭痛があったのだ。
「私はローザ=エクサリオ、ローザよ。あなたの名前は?」
「え?俺は・・・」
ここで涙は悩んだ、
(外国の名前だよな?ローザって。一応偽名。。の方がいいかも)
「ルイ・・・ルイス=シャル=フィルクルード」
とっさに、指輪に刻んであった名前を言ってしまった。
「ルイス・・・聞かない名前ね。あなた獣族じゃないの?」
その問いに驚きつつも涙・・・ルイスは答えた。
「俺は、人間・・・」
その答えを言ったとき俺は心の中で自分を責めた。
(もし、人間居なかったら俺どーすんだよ?!てか、やっぱ地球じゃねーのな?!あー俺のバカ-!)
「人間? ここは北大陸だから中央大陸じゃないわよ?」
その答えが返ってきて思ってしまった。
(あ、いるのね人間。)
「なんか気づいたらここに居て・・・」
「こんな雪山じゃ寒いでしょう、人間は暑いのも寒いのにも弱いんでしょう?家に案内するわ」
(なんか遠回しに人間弱いアピールされたけど、まぁ本当のことだから否定しない。)
「ありがとう、ローザさん」
「さんなんて、ローザで良いわ、ついてきて?」
俺は立ち上がってローザの後についていった。
その間俺はローザの話を聞いていた。
「人間は頭がいいけど、弱いからよくさらわれてしまうのよね。」
(あ、頭はいいのね。)
「もしかしたら、ルイスもさらわれたのかもしれないわ。運がいいわね、山に捨てられるなんて。」
運がいいのだろうか?雪山に捨てられるなんて。もしかしたら凍死していたかもしれないのに?いろいろと思ったが、もしかしたら、ここの世界では運がいい方なのかもしれない、と自分を無理やり納得させた。
「ほら、ついたわよ?あれが私が住んでいる町、スコルビア町よ」
指を指された方を見てみると、小さな町があった。
小さい町だが、一つ一つの家に明かりが灯っていたり、赤いレースで町のところどころが飾られてある。
簡潔にいうと、クリスマス前日の街のようだ。
「きれーだなぁー!」
素直に感想を述べると、
「ふふっ、気に入ってもらってうれしいわ、私もこの町が好きなの」
少しうれしそうに答えるローザ。
「私の家はあれよ、行きましょう。」
再び歩き出すローザにあわてて俺はついていく。
(目立ったりしてないかな~?いや、目立ってるよな・・・だって、半そで半ズボンの運動着で黒髪黒目の日本人ですからね~)
「裏から行きましょ?目立つのいやでしょ?」
ローザが気をつかってくれた。
「ありがとう、じゃあお願いするな」
「ええ、だってきれいな金髪だもの獣族は全員銀髪だから、目立つものね」
てくてくと歩いていくローザの後姿を見て俺は思った。
(金髪・・・?ここでは黒髪を金髪というのか?)
自分の髪を引っ張ってみてみると鮮やかな金色をしていた。
今気づいたのだが、自分が着ている服装までも変わっている。
(おいおい・・他人の体に入っちゃいましたパターン・・・じゃないよな?)
「ついたわよ?ここが私の家。さぁ、入って。」
笑顔で迎えられた。
(うん、悩むのは後でにしよう、なんとかなるさ。きっとな)
「ああ、お邪魔します」
「ええ、どうぞ。私は、クレアおばさんに拾ってきた薪を届けてくるから先に椅子に座ってちょうだい。」
扉を開き家の中へ入っていった。
そのとき、木の枝にとまっていた烏が一羽飛び去った。
その烏は古闇側の中央大陸にそびえ建つ城のような建物の中に入っていく。
烏が一人の男の腕にとまった。
「そうか・・・あやつも蘇ったのだな?」
そうつぶやくと男は烏を飛ばして大きな大座のような椅子に座った。
「今度こそ、息の根をこの我が止めてやろうぞ、ルイス=シャル=フィルクルード・・・!」
男は憎らしげにその名をつぶやいた。
この物語は、俺が本当に歩んだ道、王道を仲間とともに歩いた物語。
今、王道を歩き出す・・・・・!
運命の歯車はまだ廻り始めたばかり、役者はまだそろはない・・・・。
次回予告
第二話「光人と闇人」
新しい世界に来てしまったルイス。
ローザから昔話を聞かされるその話の内容がまるでおとぎ話のような内容だった?!
「お茶をどうぞ、冷めないうちに飲んじゃってね。」
「ありが・・・?!」
差し出されたお茶の内容を見て俺は絶句してしまった。
(これって____)
次回もお楽しみに!