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茶道 探偵部(仮)の愛と冒険~異世界物語がエタったのでヒロインが学園物語に転生しました~  作者: るきのるき
7・茶道 探偵部(仮)と謎の聖剣

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7-10・真相は不明だけど謎は解決する

 空港のロビーは広いので、武器や銃器を振り回して戦っているようなことがない限りは、警備員が急いで来ることはない。


 急いで来たとしても数分ぐらいはかかる。


 聖剣の一部である、刃の部分を持たない柄を手にして、魔法に特化した異世界人のミドリと戦っているメイコは、ロビーの利用客には、調味料の入った容器を振り撒いているだけの、ゆるいトラブルを起こしている子にしか見えないだろう。


 しかしおれがクルミの干渉用指輪によって魔力が添付された左目には、刃のついた聖剣を持ったメイコが、ミドリを斬ろうとしているように見える。


 ミドリは戦える僧侶、つまりクリリンみたいな肉体系ファイターじゃないから、せいぜいヒトよりすこし早く動ける程度だし、ヒトは斬れない聖剣でも、クルミの説明によると当たると「ちょっと痛い」そうだから、かろうじてメイコの攻撃をかわしているけど、聖剣の刃先からこぼれ落ちる濃緑色の燐光がミドリの体に触れると、部分的にすこしの間だけ実在と虚構の乱れが生じるようだ。


 それもまた、セロリソルトにしかヒトには見えないんだろうな、と、おれは左目をふさいでヒトの目である右目でふたりの戦いを見た。


 ミドリの相棒であるミナセ、それに同じ茶道 探偵(仮)部員のミロクとワタルはおろおろしている。


「ちょっと待ったあ!」と、大きな声がした。


 声を出したのは生徒会からこちらに回された委員のヒトで、たぶんいちばん大きな声が出るやつ、として選ばれたんだろう。


「待たせたな、メイコ」と、メイコの級友である、セリフだけはイケメンのモウくんも言ったので、メイコの攻撃も止まった。


「あのなあ、動いてるヒトのうしろからいくら追いかけても追いつかないの。どういう動きをするか予測して、その先で待ってなきゃ」と、生徒会委員は言った。


「メイコから、怪しいヒトたちに尾行されてる、という通知が来たんだよ。だから助けに来た」


「はて、怪しいヒトたちなど、別にいなかったのよね」と、ミドリはミナセと顔を見合わせた。


「あんたらだよ、あんたら!」と、メイコはクルミとおれ以外の部員4人を指さして言った。


 そう言えばそうなんだよ。


 クルミとその相棒であるおれの顔は、メイコは知っている。


 クルミは同じクラスで友だちだし、おれも一度会って面識はあるんだけど、ほかの部員は「画像で顔と名前を知っている」だけで、メイコは知られているのを知っていない。


 つまり、最初からクルミとおれが接触すれば、あるいはモウくん、もしくは今ここにはいないコミーが接触していれば、もうすこしうまくいったはずだった。


「あんたたちの正体は知ってるよ、モリワキ団の一味なんだろ」と、メイコは言った。


「わたしとウルフは違いますよ!」


「うん、あんたたちはモリワキ団の実態を知ろうと、仲間のふりをして近づいてたんだ」


 おれはミロクのほうを見ると、両手を広げて、ものすごい勢いで、ないないないない、と手のひらを動かしていた。


 メイコはおれたちが河原でゴミ拾いをしたときの記念画像、モザイク処理のものを見せてくれた。


 よくそんなものから想像力を働かせされたものである。


「これからどこへ寄ろうと?」と、おれは聞いた。


「生徒会のヒトたちにおみやげ買うの忘れちゃって。自宅には別便で送っといたんですけど」


「それだ!」


 おれは察した。


 その手はチェスタトンも鮎川哲也も、ついでに内田康夫も使ってる。


「ちょっと、学校のほうに確認してみてくれない?」


 おれは生徒会のヒトに言うと、携帯端末を動かして答えた。


「四神剣の刀身のほうは、ついさっき届いたそうだ」


「えーと、これはどういうことなんでしょうか?」と、クルミは聞いた。


 いいぞいいぞ、まさに名探偵の助手。


「犯行に使った道具とか貴重品は、通りすがりのポストに投げ込んでおくといろいろごまかせるのだ」と、しかしワタルのほうに先に言われてしまった。


 これは日時指定の宅配便だな、と聞くとメイコはうなずいた。


 誰のところにもなくてどこかにある場合、どこか、とは誰かのところ、という意味で、1週間までなら宅配便の配達の期日指定ができる。


 メイコは、北海道旅行に行くとき、途中でコンビニに寄って刀身の学校への配送を頼んだんだな。


 商品名は「玩具」として。


「あ、そうだ、クロキっていう真探偵からおみやげを預かってたから、メイコは心配しなくていいよ」と、クルミは言った。


 クルミは部長であるミロクに部員用の、おれもミロクの手を通して渡してもらうよう生徒会用のおみやげを渡した。


 そうしないと空港での、飲食代にしてはべらぼうな諸経費が生徒会からは出してもらえない気がしたのである。


「ああ、『腹黒い恋人』かー、これおいしいんだよねー。それでは、これで事件解決だな」と、ミロクは喜んだ。


 しかし、聖剣の鍔の部分は見つからなかったけど、刀身があればなんとかなるのかもしれない。


     *


 鍔の部分は、ちゃんと儀式までに間に合った。


 生徒会が送ってきた、菓子折りを開いた画像、その9つに分割された箱の中央に、聖剣の鍔はおさまっていたのだった。


「しかし、どうやってクロキが聖剣の鍔を……お菓子工場で手に入れたのかな。あと、ミロクはなんで生徒会用のおみやげにそんなの仕込まれているとわかったの?」


「ん? お前らふたり、ずっとひとつずつ持ってたんだっけ」と、ミロクは言った。


「ふたつ一緒に持てばわかったはずなんだけどな。同じ包装でも、ふたつの菓子折りの重さがすこし違っていたんだよ」


今回は、ちゃんと謎解きを、非リアルな感じじゃなくて作ってみました。やった、という気持ちになれる。確かに鮎川哲也とかチェスタトンとかのパクリだけど、それがどうした。

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