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茶道 探偵部(仮)の愛と冒険~異世界物語がエタったのでヒロインが学園物語に転生しました~  作者: るきのるき
2・春休み中の異世界のみなさん

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2-2・ワタルはダムを作っている

 おれは、クルミが指さした壁のほうを見た。


 なお、魔法が起動状態で指さしたため、壁に吊らされていたイノシシが、ぴくり、と動いたようにも見えた。


 サクラの花の満開の下、学校の隅にある庵の壁にイノシシ。


 どう考えても非リアルである。


「テーブルの上に猟銃がありますよね?」とクルミは言い、確かにあまり集中をしないままぼーっとしているうちに、それも実在化したようである。


 おれは猟銃をを取り上げて 両手で持ってみた。


 猟銃は十分な長さと使い込まれた色をして、ずしりと重かった。


 イノシシに手を触れると、その剛毛はしゃりしゃりしていて、すこし暖かく、かなり冒涜的な感じがした。


 要するに、なんていうのかな、男子がうかつに触れてはいけないような感じ? と、おれもクルミみたいに説明をしてみよう。


 非リアルな猟銃の銃床で、非リアルなイノシシの頭を、こつ、と叩くと、その生き物は、うーん、とうなって、目を覚ました。


「なんだ、ワタルじゃないですか。おまけに死んでないし、おととしのイノシシでもない」と、クルミは言った。


 おれもなんとなくひと安心した。


 猟銃も、どこかの部から預かっていて、うちの部の備品にいつの間にかなっていたものだった。


 そういうのたくさんありすぎて、しょっちゅう忘れちゃうんだよな。


 ワタルは、こうやって棒杭にぶら下がって寝るのが一番熟睡できるのだ、と説明し、クルミは、うんうんわかります、わたしも十字架はりつけの姿勢が安眠できますし、やっぱ棒杭ですよねー、とうなずきあった。


 寝起きのふらふらした状態で、ワタルは裸足のまま縁側から外へ出たけど、いつの間にか動きやすい靴をはいていて、そのまま雑木林の奥の、ミステリアスな泉のほうに向かっていた。


「ワタルはいま、ダムを作ってるんです。川の流れが淀むと、いろいろな生き物が集まりやすいらしくって」


「具体的には?」と、おれは聞いてみた。


「ウナギとか? あとはカラスですかね?」


 ヒトの質問には疑問形で答えないで欲しい、と、引き続きおれは思った。


     *


 こうやってやると、素人、じゃないな、リアルなヒトでも、魔法が使えるんですよー、とクルミは言って、おれの右手の人差し指に軽くタッチしたら、指のまわりにうす緑色の膜が浮かんで、それで地面に落ちたサクラの花びらを指差すと、確かにクルミと同じようにくるくる回った。


「おもしろいね、これは」


 おれも、クルミの真似をして、花びらで字を書こうと思った。なんの字がいいかなあ。


「見ろ、これがおれの気持ちだ」



「うけ……そうすると攻めは誰が……」


 違うよ! 「愛」って書いたつもりなのに、失敗したんだよ! それでも「変」よりはましだろう。


 しかし、ワタルがいなくてよかったなあ。


 おれは、ホワイトボードの字を消すのと同じようにそれを消して、書き直した。


charitas


 意味は「慈愛の女神」。


 チャリティの語源みたいなものである。


 そしてしばらく、ぼんやりと、おれとクルミは、満開ながら散りゆくサクラを見ていた。


 しかし、ふと横を見ると、クルミの目がらなにか、液体のようなものが流れている。


 オイル漏れかな、というギャグは置いといて、左目はおれに顔を向けたとき、濡れてないのがわかった。


 ……なにかおれ、してはいけないようなことをやってしまったのだろうか。

きのうの話のつづきですけど、自分がなんで「可愛い・かわいい」という表現を使わないようにしているかというと、どうも依存度が高くなりすぎちゃうんですよね。きっかけは、アニメ『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』冒頭で、ヒロインが店で飾られてる服を見て「かわいい!」っていうところだったかな。だからたぶん、自分がそのアニメ見る前のテキストだと「かわいい」という語は使ってると思う。(これに関する話は、おそらく特に続きません)

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