第5話「緑の復讐騎士」
突如、街中で火災が頻発。
死亡者は出ないどころか、負傷者すら出ない今回の火災。
住んでいた人以外、建物そのものだけが燃えるという不可解な事件だった。
事件を聞きつけたミズキと葵は、早速行動開始。
ファイトストライカーに乗り込み、事件の現場へと向かった。
「ここか、昨日火災が起きたのは……」
「家があちこち、全焼していますね。
これで犠牲者が一人もいないのが凄いですが……」
「あっ、葵―!」
「友梨!
友梨もここに来てたの?」
「取材にね」
燃えカスの残る現場では既に友梨が調査をしており、合流した葵は友梨から話を聞く事に。
「これで13件目だけど、本当不思議な火災ね……」
「取材して、何かわかった?」
「一応、これまで火災があった住所のリストならあるわよ。
これを役立ててちょうだい」
「いいの?ありがとう、友梨!
今度アイス奢るからーっ」
「アイスかーい」
友梨からこれまで火災が起こった住所のリストが記載されたメモを受け取り、上機嫌で抱き着く葵。
「この燃えカス、ここまで粉々な灰にできる火なのか……。
ん?」
ミズキも調査を続けていると、物陰から現場を見る男を発見する。
「誰だ、あの人は……?」
「……」
現場を見る男の表情がかなり険しかったため、ミズキは事情を聞こうと駆け寄る。
「あの、何かありましたか?」
「……君には関係ない」
「いや、あんた一体……?」
「これは俺の問題だ。志堂ミズキ……いや、ファイブレイバー」
「何っ!?」
男はその場を立ち去った。
ミズキは、男がファイブレイバーだという事を知っている事に、驚きを隠せなかった。
「あの男……どうして俺の事を知ってたんだ……?」
「ミズキさん、どうかしました?」
「……いや、何でもない」
アジトに戻ったミズキと葵は、友梨から教えてもらった住所を頼りにこれまで起こった火災の場所を調べていく。
「被害を受けた家主に共通点はありませんね。
ただ、私一つ気になる事が……」
「気づいたか。被害が起こった建物は、どんどん北に向かった位置にある」
「何か決まった法則で事件が起きる……。
これってまさか……!」
「あぁ、ドスコロイナが動いているんだ」
北に向かうように火災が次々起こる特定の法則を用いて事件を起こしている事で、ドスコロイナが動き出している事を確信する2人。
「……という事は、この法則に従えば次の火災が起こる場所を予測できるかもしれませんね」
「先にどこで事件が起きるかわかっていると、動きやすい。
先に現場で待ち伏せるしかないな」
ミズキは、次にドスコロイナが行動を起こすと予測した場所で待ち伏せをする事にした。
翌日、前回の事件から北に位置する住宅街に、ファイトストライカーが停車していた。
「前回の場所から北の場所で、住宅が密集しているのはここだ。
ここに絶対現れる……はずだ」
「えぇ……。でもミズキさん」
「何だ?」
「何でアンパンにコーラなんですか?しかも瓶の」
車内でアンパンと牛乳を食べる葵に対して、ミズキは牛乳ではなく瓶コーラを飲んでいた。
「別に好みは人それぞれだろ」
「張り込みといえばアンパンと牛乳!
これが定番ですよ!しかも、こしあんしか買ってないですし!」
「こしあんの方が食べやすい」
「つぶあん食べたかった……」
「……ん、あれは!」
話していると、近くの住宅が突如燃え始めた。
「いくぞ!」
「あ、はいっ!」
急いでファイトストライカーから飛び出したミズキと葵。
葵は残ったアンパンを咥えたままだった。
「ファイブレイバー、実装!」
《OK! Techter up FAIBRAVER!!》
「うおおおおおおっ!」
ミズキは走りながらファイブレイバーに変身すると、燃え盛る建物の中に飛び込んだ。
「燃えている家がこんなに……。
消火しなきゃ!ウォーターパワーキー!」
葵はブレイブシューターにウォーターパワーキーを装填して、水のエネルギーを纏った弾丸を放って消火活動を開始。
「凄い威力……!これなら!」
想像以上に威力が高く、驚きながらも消火作業を続ける葵。
「はっ!」
「あっ、誰……!?」
「すぐに助ける!ウォーターパワーキー!」
燃える建物の中で住民を見つけたファイブレイバーは、ブレイブシューターにウォーターパワーキーを装填。
「うおおおっ!」
建物を内部から消火しながら住民を連れて外へ脱出した。
「た……助かった!」
「ありがとう、ヒーローの人!」
「よし、この調子だ!」
その後も次々と住宅街の建物を消火していくファイブレイバーと葵。
誰も犠牲者を出す事なく、被害ゼロに抑える事に成功した。
「張り込みした甲斐がありましたね」
「あぁ。そして、お出ましのようだな」
「おのれい!よくも邪魔をしたなっ!」
人々も建物も無事に救えて安堵する2人だが、そこへチャッカマンの形を模した生物が飛び出してくる。
「その姿、ドスコロイナが作った魔導獣だな!」
「いかにも!我が名は魔導獣チャッカン!」
「チャッカマンから、チャッカン……ですかね?」
「ファイブレイバー、邪魔をした報い、受けてもらおう!」」
自らを魔導獣チャッカンと名乗った生物は、火を消したファイブレイバー達に両手についた発射口から火炎攻撃を仕掛ける。
「ぐっ……!」
「火には水です!やああっ!」
ファイブレイバーが葵の前で盾になり、火花を散らしながらもブレイブテクターで攻撃を受け止めると、隙間から葵がウォーターパワーキーの力を纏った弾丸を放つ。
「えっ、そんな……!?」
「火には水が効くだろうが、我には無意味だぞ!」
チャッカンは自らの身体に炎を纏って、葵が放った水エネルギー弾をたちまち蒸発してしまう。
「ブレイブシューターの弾丸じゃ無理でも、これなら!
スマッシュアロー!はあああっ!」
ファイブレイバーはスマッシュアローを取り出して、ウォーターパワーキーを装填、水のエネルギー矢を放つ。
「ふんっ!水攻撃は無駄だ!」
スマッシュアローによる水の矢も、同じようにチャッカンの炎によって蒸発されてしまう。
「何て奴だ……!」
「くらえっ、ファイブレイバー!」
「ぐっ……ぐわっ……!」
チャッカンは火炎攻撃で追撃をして、ファイブレイバーにダメージを与える。
真正面からダメージを受けたファイブレイバーのブレイブテクターから、火花が飛び散る。
「くそっ、ここまで対策されていたとは……」
「ホーホホホホホホッ!ファイブレイバーの攻撃なんてお見通しなのよ!」
「ドスコロイナ様!」
そんな中、チャッカンの戦況を見にドスコロイナが姿を現した。
「ドスコロイナ!」
「どうかしら、チャッカンの実力は?」
「くっ……お前の狙いは何だ!?
何故火災を次々と起こす!?」
「あら苦し紛れね。
いいわ、教えてあげましょう!ワチシはどうしても手に入れたい物があってね。
そのためには、ある場所へ火災の焼け跡を辿らなきゃいけないのよ」
「火災の焼け跡を辿る……?
ミズキさん、どういう事なんでしょう……?」
「わからん。
だが、目的のためだからと言って無差別に火災を起こす事を、これ以上許すわけにはいかん!」
ドスコロイナの計画を阻止するためにファイブレイバーはスマッシュアローを構える。
「いいえ、成功させるわ!チャッカン!」
「はい!」
「ぐわっ……!」
スマッシュアローで攻撃しようとするが、すぐさまチャッカンの追撃が飛び、ファイブレイバーは倒れてしまう。
「ミズキさん!」
「だ……大丈夫だ。しかし、厄介な火炎攻撃だ」
葵が駆け寄り、ゆっくり立ち上がるファイブレイバーだが、チャッカンが迫る。
「……やっと見つけたぜ」
「ん?あいつは……」
「あれは、昨日の……!」
すると、そこへ昨日の現場にいた男が戦闘現場に向かって歩いてきた。
「やっと見つけたぞ、ドスコロイナ!
まさか地球に来ていたとはな……!」
男はドスコロイナを見ると、激しく睨んで啖呵を切る。
「あら、誰かと思えばデニス・サガじゃないの。
てっきりあの星で死んだと思っていたわ、くたばり損ないが」
ドスコロイナは男の素性を知っており、わざと挑発するような発言をする。
「デニス・サガ……?あの男の名前か?」
「ドスコロイナ……今までの俺と思ったら痛い目を見るぞ!
シールドブレス!」
「デニス・サガ」と呼ばれた男は左腕に装着している腕輪「シールドブレス」のボタンを押す。
「シールドブレス……!?
それに、あいつが持っているのは、ブレイブパワーキーか!?」
右手に緑色のブレイブパワーキーを取り出して構えるデニスを見て、驚くファイブレイバーと葵。
「グレンサーガ、セットアップ!」
デニスは緑色のブレイブパワーキーをシールドブレスに挿し込むと、ブレスのボディを180度回転させる。
《OK! Set Up GLENSAGA!!》
盾のような形になったブレスのボディから緑色の光がデニスの身体を纏い、瞬く間にブレイブテクターに変化して装着される。
黄色い眼を覆う銀色のゴーグルが輝く、緑色のブレイブテクターを纏った鎧戦士へと姿を変えた。
更に炎のような模様が描かれたブレイブテクターから、蒸気が溢れ出す。
「緑色のブレイブテクター……!?」
「何よあんた、その姿は……!」
「俺は復讐の騎士、グレンサーガ!
ドスコロイナ、お前は俺が絶対に葬る!」
「グレン……サーガ!?」
「ファイブレイバー以外にも、鎧戦士が……!」
「いくぞ!グレンシールド!」
自らを「グレンサーガ」と名乗った鎧戦士は、シールドブレスのボタンを2度押すと、左手に大きな盾「グレンシールド」を出現させる。
「ソードモードキー!
グレンスティック、ソードモード!」
グレンサーガは銀色に緑のラインが1本入ったキー「ソードモードキー」をグレンシールドに内蔵された武器「グレンスティック」に装填して引き抜く。
引き抜かれたグレンスティックは剣型のソードモードに変化した。
「うおおおおおおっ!」
「チッ、チャッカン!」
「はっ!ドスコロイナ様には近づけさせん!」
ドスコロイナの前に立つチャッカンに突撃するグレンサーガ。
「どけ!邪魔だ!」
「ぐるわあああああっ……!」
チャッカンの火炎攻撃をグレンシールドで防ぎ、グレンスティックの一撃を与えてチャッカンを退け、グレンサーガはドスコロイナに一直線する。
「うおおおおおおっ!」
「ぬんっ!随分と乱暴じゃないのよ……!」
「余裕ぶっている暇は無いぞ、ドスコロイナ!
絶対に仇を討つ!」
「それにしても、まさかファイブレイバーのような鎧をあんたが持っているなんてね……。
計算違いよ!」
ドスコロイナはバリアを張ってグレンサーガの攻撃を防ぎながら、デニスがブレイブテクターを手に入れていた事に驚く。
「うおおおおおおっ!」
グレンサーガは鬼気迫る攻撃を繰り返す。
「ぐっ……よくもドスコロイナ様を!許さん!」
「こっちのセリフだ!うらああっ!」
「ぐわっ……!」
倒れていたチャッカンは後ろからグレンサーガを狙うが、そこへファイブレイバーが飛び蹴りを食らわせる。
「お前の相手は俺だ!」
「おのれ、ファイブレイバー……!」
「ミズキさん、水が効かないのに一体どうするんですか……?」
「……火に効く攻撃は、まだある!」
先程の戦闘で水攻撃が効果無い事を知ったファイブレイバーは、左手にファイブレード、右手にスマッシュアローを構える。
「もう一度火炎をくらえっ!」
「させるかっ!どおおおおりゃっ!」
「ぬっ……ぐおわ……!」
チャッカンが火炎攻撃をしようと構える前に2つの武器で接近戦に挑み、連続で攻撃を放つ。
「くそっ、調子に乗るな!」
「うわっ……くそぉ」
チャッカンは怯みながらも火炎攻撃を放つ。
ファイブレイバーは回避するが、その影響でチャッカンとの距離を取られてしまう。
「接近されなければ、こっちのものだ!」
「……それはどうかな?」
「強がりを!くらえっ!」
「今だ!グランドパワーキー!
フレイムパワーキー!うおおおおっ!」
ファイブレイバーはファイブレードにグランドパワーキー、スマッシュアローにフレイムパワーキーを装填すると、炎エネルギーを纏ったエネルギー矢をチャッカンに放つ。
「馬鹿め!火に油を注ぐとはな!
吸収してやる!」
「それが狙いだ!うおおおおおりゃ!」
チャッカンは炎エネルギーを吸収してパワーアップしようとするが、吸収している間に接近したファイブレイバーがファイブレードで攻撃する。
「なっ……何だこれはっ!?」
すると、土のエネルギーを纏った斬撃を受けたチャッカンの身体は土のバリアに包まれ、炎エネルギーの中に閉じ込められる形になった。
「外を土で固めれば、炎は逃げ場を失ってお前を内部から焼き尽くす!
さぁ、ここらで大トリだ!」
内部からダメージを受け続けるチャッカンに対して、ファイブレードにファイブレイバーキーを装填する。
《OK! FAIBRAVER FINISH ATTACK!!》
「うおおおおおおっ!グランドスピリットブレェェェェイク!」
「ぐあああああ……!
ドスコロイナ……様……」
土のエネルギーを纏った一撃「グランドスピリットブレイク」を放ち、見事チャッカンを倒す事に成功した。
「やった!ミズキさんの勝ちだ!」
「なっ、チャッカン……!やられたわね」
「よそ見している暇はないぞ、ドスコロイナ!」
「ふんっ!どうやら今回はここまでみたいね」
「なっ……逃げる気か!」
「目的が無くなった今、ここに用は無いわ!
次は必ず成功して見せるわ……ホーホホホホホッ!」
チャッカンを倒された事で計画続行不可能と感じたドスコロイナは、グレンサーガを軽くあしらうと、言葉を残して去って行った。
「くっ、逃げられた……」
ドスコロイナを逃がしたグレンサーガは、グレンスティックをグレンシールドに収めてソードモードキーを取り外す。
「待ってくれ、グレンサーガ!
聞きたい事がある……!」
「……話す事は無い」
「ま……くっ」
グレンサーガに駆け寄るファイブレイバーだが、グレンサーガは質問に応じずその場を去ってしまった。
「……という事がありました」
「グレンサーガ……。まさか完成していたとはね……」
戦闘の後、アジトでWGST本部のソフィーと通信をするミズキと葵。
「ボス、あのブレイブテクターについて何か知っているのか?」
「……ブレイブテクターの製作にあたり、スペースセーブにも技術提供をしてもらっていたのよ。
その時の縁で、スペースセーブでも独自のブレイブテクターを開発していたの」
「つまり、スペースセーブが独自に完成させたのがグレンサーガという訳だな」
「じゃあ、あの人ってもしかして……」
「えぇ。デニス・サガはスペースセーブの隊員よ。
でも不思議なのは、任務なら制服を着ているはずなのに……」
ソフィーはグレンサーガとスペースセーブについて知っている事を話すが、どこか疑問点を見つけていた。
「話の途中すまないね。ボス、お客様だよ」
「お客…あっ、あなたは!」
「ん?ボス、誰が来たんだ?」
「噂をすれば何とやらね。スペースセーブのアルフレド長官よ」
会話中、ティバが本部にやって来たスペースセーブ長官、アルフレドを連れて来た。
「やぁソフィー君。
そして画面の向こうの君が噂のファイブレイバー、ミズキ君だね。
私はスペースセーブの長官、アルフレドだ。よろしく」
「よろしく……って、スペースセーブの長官がどうして……!?」
「私も知りたいのよ、一体どうしたのアルフレド?」
「……地球にデニスが現れたと聞いて、駆け付けたのだ。
デニスは半年前、研究途中のブレイブテクターを持ち出してスペースセーブを退職しているんだ」
「はっ!?退職!?」
「初耳よ、アルフレド。
デニスは何故、スペースセーブを辞めたの?」
アルフレド長官は、一息入れてこう答えた。
「デニスは、ドスコロイナに殺された家族の復讐を狙っている!」




