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鎧戦士ファイブレイバー  作者: ツバキ
第一章「登場!ファイブレイバー」
3/6

第2話「新米隊員AOI」

「ミズキ……」


暗闇の中、誰かの呼ぶ声を聞きつけるミズキ。


「お前……」


「ミズキ……助けて……」


「おい……行くな、行くな……!

 うあっ……うわああああああああ」


その声は次第に薄れて行き、追いかけようとしたミズキの足下は砂のように崩れ落ちていく。






「……はっ!はぁ……はぁ……

 また、この夢か……」


その場面で目を覚ますミズキ。

度々見る同じ夢に悩まされながら、流れた汗を拭う。



「……今、何時?7時……まだそんな時間か。ふぁぁ……」


時刻は午前7時、もう一眠りしようとするミズキ。

だが……



「……ん、何だ、この匂いは?」


何処からか食欲を掻き立てる匂いを嗅ぎつけたミズキ。

ベッドから降りると、着替えてメインルームに向かう。




「あ、ミズキさんおはようございます!」


「お前……これは一体?」


「何って、朝ご飯ですよ。朝ですもん」


メインルームに到着すると、そこではエプロン姿の葵がご飯、味噌汁、サケの塩焼き、煮物という日本で定番の朝食を用意して待っていた。


「出来立てですので、早く座ってください」


「何で急に。しかし……」


空腹には勝てず、言われるがまま着席して食べ始めるミズキ。


「……うまい。……!」


朝食の衝撃的な美味しさに刺激されたのか、無言でスイスイと箸を進めていくミズキ。


「ふふん、料理には自信があるんですよ~。う~ん、美味しい」


「そうか……」


「……あれ、ところで何で手袋の上からビニール手袋を?

 外さないんですか?」


「外せないんだよ。これ以上は聞くな」


食事中ミズキが手袋の上にビニール手袋を付けて食べているのを見て疑問に思う葵。

だがミズキは理由を話そうとはしなかった。




「ふぅ……ごちそうさま」


「お粗末様でした」


完食後、ミズキを見て嬉しそうな顔をしている葵。


「あのさ、本業を忘れるなよ?

 ちゃんとボスからWGSTの事を説明してもらったんだろうな?」


「えっ……?いやそれが、急に声かけられて、入隊が決まって……。

 装備とマニュアルを渡されただけなんです……」


「はぁ!?何やってんだボスは……」


ボスことソフィーの行き当たりばったりな性格に呆れるミズキ。

これまでも、度々ソフィーに振り回されてきたからだ。


「も……勿論マニュアルは全部読みましたよ!」


「予習はしているのか。こういうのは頭に入れるだけじゃ駄目だ。

 おい、行くぞ」


「行くって……どこにですか?」


「決まっているだろ、訓練だ!」


椅子から立ち上がったミズキは、訓練をするために葵を外へ連れ出す。







「天気良し。訓練するにはもってこいだ」


ファイトストライカーで町外れの採石場へやって来たミズキと葵。

普段からミズキが使用している訓練場である。

「凄いですね!特訓でよく使うアイテムがあちこちに!」


WGSTマークが入った青色のベストにショートパンツ、黒のニーハイソックスという動きやすい格好をした葵がファイトストライカーから降りて辺りを見回す。


「早速始めるぞ。ブレイブシューターは持っているな?」


「はい、あります!」


「そいつが基本装備だ、WGST全員共通のな。

 まずはブレイブシューターを使う事に慣れろ」


「射撃訓練ですね。よおし……!」


まずはミズキが用意した的へ目掛けて、ブレイブシューターを使った射撃訓練が開始された。


「よぉし、甲斐葵いきまーす!ブレイブシューター!」


意気込んで右脚に付けたホルスターからブレイブシューターを取り出しトリガーを引く葵。


「えっ、うわあああっ……!」


「何やってるんだよ……」


しかし、銃弾が放たれる際の衝撃に耐えられずに、銃弾は的を外してしまう。


「こんなはずじゃ……!えいっ、わああぁつ……!」


めげずに挑戦する葵だが、何度撃っても的に当たらない。


「うぅ、どうして……?」


「はぁ……。お前、やる気あるのか?」


「えっ?」


「これは命懸けの仕事なんだよ。遊び半分な奴は居ても邪魔なだけだ。

 辞めてもらった方がマシだ」


見ていられなくなったミズキは、葵に思わず厳しい言葉をかけてしまう。


「私は……いつだって本気です!これくらいで投げ出すようなら、最初からボスのスカウトを受けていません!」


ミズキに何と言われようと、葵は諦める事をせず、立ち上がって的に向かってブレイブシューターを構える。


「……」


「はっ!もう、次こそは……」


「はぁ……。おい、そもそも構え方が悪い」


「えっ、構え方?」


「俺を真似て片手持ちで撃っているみたいだが、それじゃ衝撃に負けるに決まってるさ。

 両手で持って腋を絞め、銃身を真っ直ぐ構えてみろ」


「えっ、こうですか?」


「身体全体でブレイブシューターを支えるイメージだ。そうすれば銃弾をコントロールできるはずだ」


頑張る葵の姿に何かを感じたミズキは、基本を忠実に両手で持つ構えを葵に教える。





「ふぅ、もうじき完成だね」



その頃、日本のどこかにあるWGST本部の研究室で、ティバが新たなブレイブパワーキーの制作を行っていた。

新たに4本のブレイブパワーキーのデータがコンピュータのデスクトップに表示される。


「この先、戦いは激しくなるだろう。今から戦力を整えておかなくては……。

 やる事は山積みだな」


「だけど、根を詰め過ぎても良い成果は得られないわよ博士。

 はい、コーヒー」


作業中、研究室にソフィーが入って来て、ティバに淹れたてのコーヒーを渡す。


「おっ、すまないね。じゃあ小休止といこうか」


装着していたゴーグルを外したティバは、小休止を兼ねてコーヒーを口にする。


「ん、安定して美味いね。Hurryのコーヒーが一番だね」


「買いに言って良かったわよ。東京のお店は良い物揃っているわ」


「ところでボス、どうして彼女をスカウトしたんだい?」


「彼女……葵の事ね」


「君が今頃新人を捜すとは珍しいね。しかもブレイブテクターに適合しない素人同然の彼女を……」


「何でしょうね。直感よ。

 ただの直感だけど、葵には無限の可能性を感じたのよ」


「無限の可能性……か」


「それが何かはまだわからないわ。これから分かるかもね」


 葵をスカウトした理由をティバに話すソフィー。


「成程。だけど、それだけじゃないんだろ?」


「あ、わかるー?葵ってば、凄い可愛いのよ!

 日本人の女の子はみんな可愛いけど、その中でも別格なのよー」


「はぁ……ボス、本音が駄々漏れだよ」


可愛い日本人女性に目が無いソフィーの悪い癖に呆れるティバ。


「てへへ。ん、あら着信……?

 これは……!」


その時、ソフィーのブレイブフォンに一通の報せが入る。






「おっ、ボスからだ」


 訓練の休憩中、ミズキのブレイブフォンにソフィーからの指令が送信された。


「……!よし。おい、休憩終わったらこのまま訓練続けてろ!」


「えっ、ミズキさんどこかに?」


「用事だ。俺が戻るまで待ってろ」


「あっ、ちょっと……!」


ミズキは葵に訓練を続けるように指示すると、ファイトストライカーに乗り込み出動する。


「あぁもう勝手に……なんてね。

 ミズキさん、指令があったから急に飛び出したんだよね。私のブレイブフォンにも同じ指令が来てるのよ」


置いて行かれた事に文句を言うと思ったら、実は葵のブレイブフォンにもソフィーの指令が届いていた。


「えぇと、指令の内容は……」


ソフィーから届いた指令の内容は、侵略目的の宇宙人が取引で機械戦闘員を獲得。

使用して破壊活動を企てているという事。

それを見つけて、未然に破壊活動を阻止する事だった。


「つまり、ここに記されている場所に潜伏している宇宙人を捕まえたらいいんだね。

 ミズキさんがファイトストライカー使ってるし……とにかく行かなきゃ!」






「さて、あとはあの2人に任せますか」


「あの2人、ちゃんと協力してやっていけるのかね?」


「どうでしょうね……。それにしても、スペースセーブも大変ね。

 あちこちの星を見て回らなきゃいけないんだもの」


 ソフィーに今回の情報を提供したのは、全宇宙を警備する組織、「スペースセーブ」の長官だった。

 スペースセーブの長官とソフィーは昔の縁で知り合いだったのだ。






 その頃、ファイトストライカーを運転して情報のあった場所まで向かうミズキ。


「情報のあった場所までもうすぐだ。

 ……!?うわっ!」


 運転中、突然目の前で火花が起こり、急ブレーキをかける。


「くっそ……一体何が!?」


 ファイトストライカーから降りたミズキの目の前に現れたのは、ローブで顔と身体を隠した謎の人物。


「お前がファイブレイバーだな?」


「一体、何者だ?」


「すぐにわかる。自分と戦え!」


「なっ、おわっ……!」


 ローブの人物は右手から剣を取り出すと、ミズキに襲い掛かる。


「問答無用というわけか。ならば……ブレイブフォン!」


 ミズキは剣の攻撃を回避しながらブレイブフォンを左腕に装着。


「ぬああっ!」


「ぐぁっ……!」


「受け止めただと!?」


「ファイブレイバー……実装!」



《OK! Techter up FAIBRAVER!!》



 振り下ろされた刃を左手で受け止めると、ブレイブフォンの音声認証をしてファイブレイバーキーをブレイブフォンに装填、ファイブレイバーに変身する。


「ファイブレード!でやあああっ!」


 すぐさまファイブレードを装備すると、斬撃でローブを吹き飛ばす。


「……!その姿は……っ!」


 ローブの無くなった人物の姿を見て、ファイブレイバーは驚愕する。


 黄色と黒で彩られたその姿は、ファイブレイバーのブレイブテクターとよく似た姿だったからだ。

 違いがあるとすれば、腕の装甲が左右非対称な事、ブレイブシューターとブレイブフォン存在しない事である。


「ブレイブテクター……お前何者なんだ…!?」


「長い付き合いになるし教えよう。自分の名はイエローサタン。

 所属はデスロス。そしてこの剣の名は……レボリューションだ!」


 自らを「イエローサタン」と名乗った人物は、「レボリューション」と名付けられた剣を片手に、ファイブレイバーに襲い掛かる。


「デスロスだと……ぐっ!」


「さぁ、自分と戦え!」


「こんのぉぉぉ……!」






 その頃、ミズキを追いかけるように指令のあった現場に到着した葵。


「はぁ……はぁ……やっと着いた……」


 交通機関が使用できなかったため、走って来たのでかなり息が上がっていた。


「でも、まだ私もこれだけ走れるんだね……再発見だわ。

 だけど……ミズキさんが先に到着していると思ったのに……」


 現場に到着したにも関わらず、ミズキの姿もファイトストライカーも見当たらない事に疑問に思う葵。


「もしかして、何かアクシデントがあったのかしら……?

 んっ……話し声?」


 だが、廃工場の中で誰かの話し声が聞こえたため、物音を立てないように廃工場に近づいていく。


「これが例のブツか?」


「あぁ。高い買い物だったが、これだけあれば十分だ」


「おい、見せてくれよ」


 廃工場の中では3人の男達が集まってアタッシュケースを中心に囲んでいた。


『あの人達がもしかして……?でもどう見ても地球人の顔よね。

 あのケースの中身って……あっ!』


 話し声を聞こうと前のめりになった葵だが、足元の瓶を倒してしまう。


「んっ、誰だ!?」


「しまった……!」


 瓶の倒れた物音に気がついた3人は、アタッシュケースを閉じると葵に迫る。


「う……動かないで!」


 葵はブレイブシューターを片手に構える。


「その銃は……只者ではないな」


「いくぞ、お前ら!」


 すると3人は人間の顔を剥がして宇宙人の素顔を晒す。


「う、宇宙人……!あの人間の顔って、カモフラージュ!?」


「怖気づいたかな?」


「そんなわけ……!ブレイブシューター!」


 宇宙人を見て葵はブレイブシューターで発泡するが、銃弾はことごとく狙いを外してしまう。


「おいおい、素人か?」


「嘘、どうして……!」


「どこまで逃げられるかな?」


「全然当たらない……!こんな時は、ブレイブパワーキー……ええっと、これ!」


 ジワジワと迫る宇宙人達から逃げるように後ろに下がる葵だが、壁際まで追い詰められてしまう。

 慌てた葵は咄嗟に種類を見ずにブレイブパワーキーをブレイブシューターの鍵穴に装填、発泡する。


「どこ狙ってるんだ?」


「このケースに当てても意味が無いぜ?」


 しかし銃弾はアタッシュケースに命中、アタッシュケースは壊れる事は無かった。


「遊びは終わりだ。ふんっ!」


「きゃっ……うぅ……」


「こいつの仲間がいるかもしれない。さっさと場所を移すぞ」


「おう!」


 宇宙人は葵を気絶させると抱え上げて廃工場から遠ざかって行った。

 現場には葵のブレイブフォンだけが残された。






「ぐあっ……!」


 一方ファイブレイバーはイエローサタンに苦戦を強いられていた。


「どうした?まだ戦えるよな?」


「こんのぉぉぉ、とりゃあっ!」


「ぐあっ……!ぬんっ!」


「うわっ……!」


 ファイブレードの斬撃を受けつつも、それ以上に攻撃を放つイエローサタンに押されていた。


「ふふふ、楽しいな戦いは……!ほら立ち上がれよファイブレイバー。

 まだまだ戦い足りないぞ」


『こいつ、戦う事を楽しんでいるのか……!

 今のままでは、このまま長引くと不利だ……』


 イエローサタンがこの戦いを楽しんでいる様子を見て、このまま長期戦になると不利になると感じたファイブレイバー。


「こいつだ!キャッチャーロープキー!はっ!」


 ファイブレイバーは左腰のホルダーから白い一本線が入ったレモン色のブレイブパワーキー、「キャッチャーロープキー」を取り出し、ブレイブシューターの鍵穴に装填。

 発泡すると銃弾ではなく鉄で出来たロープが飛び出して、イエローサタンを縛り上げる。


「鉄ロープだと……!?」


「今のうちだ。ファイトストライカー!」


 イエローサタンを縛り上げている隙に、ファイブレイバーは銀色の二本線が入った赤色の「ファイトストライカーキー」を左腕のブレイブフォンに装填。


「くらえ、ストライクバスター!」


 停車していたファイトストライカーをブレイブフォンで遠隔操作すると、ヘッドライトの下部分が開き、銃口「ストライクバスター」が飛び出す。

 ストライクバスターから放った銃弾がイエローサタンの周りに放たれ、そこから煙幕が吹きあがってイエローサタンを包む。


「煙幕か、小癪な。

 そんなものは……ぬんっ!」


 イエローサタンは自力で縛られていた鉄ロープを引き千切り、レボリューションを振り回して煙幕をかき消す。


「……逃げたか」


 だが既にファイブレイバーが戦闘現場から離脱した後だった。


「あの一瞬で離脱したとは……ふふふ、ふはははははは!

 面白い、面白いぞファイブレイバー!また、戦いたいものだ。ふふふふふ」


 取り残されたイエローサタンは不気味な笑いをしながら、ファイブレイバーとの再戦に期待を込めて去って行った。






「くそ、遅かったか……」


 イエローサタンの登場で指令にあった現場に到着した頃には現場には誰もいなかった。


「イエローサタンは、時間稼ぎしていたのか……?

 ん、これはブレイブフォン?まさか……!」


 ファイトストライカーから降りたミズキが辺りを見回していると、葵のブレイブフォンが落ちている事に気づき、それを拾う。


「あいつ、勝手な事を……!捕まったのか?

 一体どこに……ん?これなら!」


 勝手に現場に来た事を呆れるミズキだが、画面に表示されたある物を見て、表情が変わる。






 その葵は、廃工場から更に離れた別の廃工場にいた。


「うっ……解いてよ!」


「お嬢ちゃん、よくもまぁそんな実力で、俺達スラック星人を捕まえようなんて思ったな?」


「スラック星人?それがあなた達の正体!?」


「知らなかったのか?この銃はWGSTのだろ?勉強不足な隊員だな」


 3人の宇宙人達はスラック星人。様々な星へ行っては盗みを働き、経済を混乱させる種族である。

 既に、スペースセーブによる要注意宇宙人にリストアップされていた。


「俺達を見たからには、生かして帰すつもりは無い。

 だが俺達は手を汚さない。これを使うからな」


「そのカプセルは……機械戦闘員の……!」


 スラック星人達が葵に見せびらかすように開けたアタッシュケースの中に入っていたのは大量の機械戦闘員カプセルと1つの戦機獣カプセルだった。


「何でそれをあなた達が……?」


「取引だよ。

 金はかかるが、金さえあれば手に入るんだよ何個でも!」


「すぐに元は取れるがな。暴れてもらっている間に好きなだけ盗みをできる」


 スラック星人は先程の廃工場に辿り着く前に、イエローサタンと大金で取引して機械戦闘員と戦機獣のカプセルを物々交換していた。

 スラック星人の狙いは、機械戦闘員達を一斉に起動させて、周囲が混乱している間に金目の物を盗もうという作戦だ。


「そんな事、絶対させない……っ!」


 葵は陰謀を止めようと抵抗するが、鎖で縛られているために身動きが取れない。


「今更抵抗しても無駄だ。その鎖がある限りな」


「そろそろ始末しておかなきゃな……ん、何だ?」


「何か聞こえる……サイレンか?」


 そんな中、どこからかサイレンの音が聞こえてくる。


「おい、このサイレン……」


「間違いない、こっちに近づいて来ている!」


 サイレン音は徐々に大きくなると、廃工場の扉が破壊され、ファイトストライカーが入って来る。


「なっ、何だこの車は!?」


「ファイトストライカー!という事は……!」


 停車したファイトストライカーからファイブレイバーが降りて来て、スラック星人達の前に立つ。


「ようやく着いた……」


「お前、まさか……!」


「WGST戦闘捜査官、ファイブレイバー!

 スラック星人!悪しき野望、俺が打ち砕く!」


「ファイブレイバー!?こいつが噂の……!」


「ブレイブシューター!」


「きゃっ……!」


「うわっ……しまった、銃が!」


 ファイブレイバーは素早くホルスターのブレイブシューターを抜き、射撃。

 放たれた弾丸は葵を縛る鎖と、葵のブレイブシューターを持つスラック星人の手に命中。

 鎖が壊れた事で自由になった葵の手元に、スラック星人が撃たれて手放したブレイブシューターが戻って来る。


「あ、ありがとうございます!」


「おのれっ、何故この場所に気づいた!?」


「お前らの持っているアタッシュケース、よく見てみな?」


「えっ?なっ、これは発信機!?いつの間に!?」


「本当だ!ミズキさん、何で発信機が!?」


「お前、もしかして知らずにマーキングショットキーを使ったのか?」


「マーキングショットキー?あ、もしかして……!」


 葵は、ブレイブシューターに装填されたままのブレイブパワーキーを確認する。

 挿入されていたのは、白の一本線が入った紫色のキーだった。


「じゃあ私、無意識のうちにこれを選んでいたんだ……!」


 実はあの時葵が偶然使用していたブレイブパワーキーが、発信機を取り付ける「マーキングショットキー」だったのだ。

 アタッシュケースに当たった弾丸が発信機に変わり、葵のブレイブフォンに贈られたデータで現在地を割り出したのだった。


「お前が偶然ブレイブフォンを落としてたおかげだな」


「おのれ……だが、ここで邪魔されるわけにはいかないんだ!」


 スラック星人は慌てて機械戦闘員カプセルを3つ投げると、合計30体の機械戦闘員達がファイブレイバーの前に立ちはだかった。


「機械戦闘員か……いくぞ!ファイブレード!」


 敵陣に突っ込んでいったファイブレイバーは、次々とファイブレードで機械戦闘員を倒していく。


「はっ!とりゃっ!」


「おのれ、機械戦闘員が次々と……」


「だが、この数には勝てない!いけ、戦機獣!」


「グオオオオオッ!」


「何っ、ぐわっ……!」


 タイミングを狙われたかのようにスラック星人が放った戦機獣カプセルにより現れたゴリラ型の戦機獣に不意打ちをくらい、ダメージを受ける。


「ゴリラの戦機獣か……!」


「グオオオオオオッ!」


「うわっ……!」


「くらえ、ファイブレイバー!」


「うわあああっ!」


 戦機獣が怪力パンチを振り回す中、スラック星人達も所持していたレーザー銃でファイブレイバーを攻撃。

 多方面からの同時攻撃でファイブレイバーは苦戦を強いられる。


「ファイブレイバー……!このままじゃ、ミズキさんが危ない!

 助けなきゃ!でも、私の実力じゃ……」


 隅で様子を見ていた葵はブレイブシューターで援護しようとするが、射撃のコントロールが効かない事を気にしていた。





『両手で持って腋を絞め、銃身を真っ直ぐ構えてみろ。

 身体全体でブレイブシューターを支えるイメージだ。そうすれば銃弾をコントロールできるはずだ』





「……そうだ。ミズキさんが言ってたじゃん……!

 私、忘れてた……!」


 そんな中で訓練中にミズキからのアドバイスを思い出す。


「これで……ブレイブシューター!はっ!」


 葵はブレイブシューターを両手で持ち、腋を締めて構え、発泡。


「ぐっ……!」


「うわっ……!」


「なっ、何だ……!?」


 放たれた三発の弾丸は3人のスラック星人のレーザー銃に命中し、破壊に成功する。


「や……やった!」


「……今だ!ブレイブシューター!」


「グオオオッ……!?」


 一瞬の隙を見たファイブレイバーは接近する戦機獣にホルスターの中からブレイブシューターの銃撃を与える。


「さぁ、ここらで大トリだ!」



《OK! FAIBRAVER FINISH ATTACK!!》



「うおおおおっ!スピリットブレェェェェェイク!」


「グオオオオオッ……!」


 戦機獣が怯んだところで、ファイブレイバーキーをファイブレードに装填。

 赤く光った刃で攻撃する必殺技「スピリットブレイク」を放ち、戦機獣と残った機械戦闘員をまとめて倒した。


「戦機獣がやられた……!」


「まずい、逃げるぞ!」


「逃がしません!」


「逃がすわけがないだろ!キャッチャーロープキー!」


「うわあああああ……!」


 戦機獣達が倒されて逃げようとするスラック星人達に向かい、ファイブレイバーと葵はブレイブシューターにキャッチャーロープキーを装填、放たれた鉄ロープで3人を捕縛する事ができた。






 それから時間が経ち、スペースセーブの隊員がスラック星人達の身元を引き取りにやって来た。


「あとはよろしく頼む」


「了解しました。責任を持って護送します。

 それで、機械戦闘員のカプセルはどうされますか?」


「これは本部へ持っていく。ティバ博士に調べてもらうよ」


「わかりました、長官にもお伝えしておきます。では」


 スラック星人達を連れて行ったスペースセーブ隊員を見送り、機械戦闘員のカプセルが入ったアタッシュケースを持ったミズキはファイトストライカーの方へ向かう。


「あの、ミズキさん……!」


「……」


「その……ごめんなさい!

 私が言いつけ守らずに勝手に行動したせいで、迷惑かけて……」


 ミズキの目の前に現れた葵は、迷惑をかけた事を、頭を下げて謝罪する。


「……あの時、偶然だったがお前が撃った弾丸に助けられた。

 どうにかしようという気持ちはあったみたいだな」


「えっ……」


「ほら、帰るぞ。今辞められては、美味い飯を作ってもらえないからな」


「……はいっ!」


 窮地を救った事をミズキに評価された葵は、笑顔でファイトストライカーに乗り込んだ。






「ただいま戻りました、プロフェッサー」


 一方、とあるビルに入ったイエローサタンは、エレベーターを使って地下20階の部屋に訪れる。


「戻ったか、イエローサタン。残念だが、取引したスラック星人は失敗したようだな」


「はい。ですが自分はファイブレイバーと戦う事ができました」


「ファイブレイバーか。

 今後、厄介な相手になりそうだな」


「自分はもっと戦いたいです、プロフェッサー・ギンギ」


「あわてるな、何度でも戦う時が来る。

 それよりも、しっかり資金を手に入れなくてはな」


 地下20階にあったのは、デスロスが使用する研究製造室。

 イエローサタンと話す白衣の男こそ、デスロスを設立した張本人、プロフェッサー・ギンギだった。


「我が野望のためにも、もっと機械戦闘員や戦機獣を作らないとな……!」


 スラック星人達から手に入れた大金のアタッシュケースを持ち、不気味な笑みを浮かべるプロフェッサー・ギンギだった。


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