表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
83/169

月詠。1



『インチキです。』


《ツクヨミノミコト》の女の子が来店した。


名前は、クロノちゃん。



『詳しく教えてもらっても、いいですか?』


歌ちゃんは、ミルクティーを差し出しながら、

優しく聞く。



クロノちゃんの話によると——


クロノちゃんは、

水中で息を止め、その時間を競う

スタティック・アプネア(STA)を始めた。


そのトレーニング中に、タイムを計るのだが、

時計の針は、全然進まない。

針っていうのは、まあ表現的なアレで、

実際はデジタルなんだけども。


そのくせ、トレーニングの合間のインターバル

10分なんて時間は、あっという間に過ぎてしまう。


《時計を見ている時はぜんぜん進まないくせに、時計を見ていない時は予想よりも早く進んでいる》


なのだ。


『なんだか、納得できません。

そんなのインチキです。』


クロノちゃんは、ぷんぷんしている。


『楽しい時間は、あっという間に過ぎてしまう…みたいな事なんですかね?』


歌ちゃんは、少し考えこむ。


『夢ちゃん先輩も、そーゆーのあります?』


『あるよー』


クロノちゃんが立ち上がる。


『やっぱり! ありますよね!』


『すぐ、おなかすいちゃう。』


『……』




——検証がスタートした。



『はい。じゃあクロノちゃん。

息を止めてみてください。』


『はい。』


『私達も時計を見てますので、クロノちゃんの感覚に何が起こっているのかを、検証します。』



——



『 《クロノタシス》とは


時計の秒針をじっと見ていると、最初の1秒がすごく長く感じたり、止まっているように見えたりする現象。脳の錯覚によるもの。

脳が視界のブレを修正しようとして、一時的に前倒しで表示するため、時間が止まったように感じる。

時計が実際に止まっているのではなく、脳が時間を引き伸ばして処理している。

「時計を見ないようにする」のが一番の解決策。



…なんだって。』

 


『え? 何か言いました? 夢ちゃん先輩。』


『んーん。なんでもないよ。』

 

医学書みたいな本を見ながら、

つぶやいた夢ちゃんの説明は、

検証作業中の、歌ちゃんとクロノちゃんには聞こえてはいなかった。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ