殺生石。1。
『
むかし、むかし。
下野国の那須野ヶ原というところに、
それはそれは恐ろしい……
大きな石があったそうな。
山の真ん中あたり。
山をこえる旅の人や、
畑仕事のあいまの人が
一休みする場所にあったその石は
九尾の狐の怨念が、
石に姿を変えたものだと、恐れられていた。
石が発する毒気は、
近づく人や動物の命を次々と……
コロリンとしちゃった、ため
「殺生石」と呼ばれるようになりました。
めでたし。めでたし。
ぜんぜん……めでたくない!』
白面ちゃんがぷんぷんした。
『昔話で聞いたことあるよ。』
夢ちゃんが、時代劇でよく見るような
峠のおだんご屋さんで、おだんご食べて、
お茶を飲みながら言った。
『殺生石と、九尾の狐にまつわる伝説ですね?』
お茶と。
歌ちゃん。
さえずる小鳥さん。
『私は、あの時、暗黒の中で
夢ちゃんと歌ちゃんに会えたことで、
救いの光になれたの——』
白面ちゃんが、九つのしっぽを
ふわりと揺らした。
『救いの光として、
まだそんな伝説が残ってるのは、嫌です。』
白面ちゃんは熱く語る。
で、おだんご食べる。
『そうですよね。殺生石なんて名前も
なんだか怖いし……』
歌ちゃんは、事件解決へと思考を回転させる。
『最近の調査では、この地域特有の
火山ガスが原因か——
なんて言われてるみたいですね。』
できる子。歌ちゃん。
『と、いうわけで、
今回はその殺生石を直接
見に来たわけなんだね。』
のんびりとした口調の、夢ちゃん。
キンモクセイを見ているよ。
———
火山ガスの有毒性とは、どれほどのものなのか。
わからない。
———
『あった。これだ殺生石。』
『わあ。大きいねえ。』
『気をつけてくださいね。火山ガスです。』
3人は、はやくも目的の殺生石の前。
『………。』
コロリン石を見つめながら、
白面ちゃんは何かを考えている。
歌ちゃんも緊張しながら、その様子を見つめる。
夢ちゃんは、ひなげしを見ていた。
『……とりあえず来てみたけれど、
来てみただけで、どうするかは決めてなかった。
………どうしよう。』
白面ちゃんの、計画性がゼロなことが判明した。
風が吹いた。
異変は突然おこった。
『……あれ?』
夢ちゃんが、風のゆく先をふりかえった。
『……あ。』
お腹をおさえて、その場に座り込む、夢ちゃん。
『夢ちゃん先輩!』
夢ちゃんの異変に
すぐさま気がついた歌ちゃんは、
座り込む夢ちゃんに駆け寄る。
『大丈夫ですか!?どうしたんですか!?』
『……うーん。おなかが……』
『お腹ですか!?苦しいんですか?』
『…キューんってするー……』
———火山の有毒ガス。
火口や噴気孔から噴出する気体。
主成分は水蒸気、二酸化硫黄、硫化水素、二酸化炭素などの有害成分を含む。
これらは呼吸困難や意識障害を引き起こし、
高濃度を吸い込むと命に関わるため、
非常に危険。




