表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/31

第4章:黒香の契り編ー第1話:黒香の契り

第4章では、静華が「香に呪いを込める者たち=香呪師」と対峙しながら、“香と契りを交わす”という新たな術と向き合っていきます。

ユウやリュウも新たな立場で再登場し、帝都を覆う影と、静華自身の成長が試される章になります。

それは、帝都で最初の“呪香事件”だった。


街の北、職人街にある古い陶工の家。

そこに、突然現れたのは――壊れた香壺と、倒れた男。


男は昏睡状態にあり、意識は戻らず、皮膚は灰のように冷たかった。


「香壺の破片からは……記録香でもなく、毒香でもない成分……」


静華は慎重に香の痕跡を嗅ぎ取る。


「これは……“黒香”……?」


普通の香とは違う。

煙の中に、鋭く刺すような感情の棘があった。


その瞬間、静華の脳裏に“何か”が焼き付いた。


――深紅の空。

――人の記憶が、香の中で崩れていく映像。

――そして、香壺に手をかざす“面の男”の姿。


(誰……!? いまの記憶、誰の……?)


傍らでユウが言った。


「観香庁の術香師が言ってた。“黒香”は……記憶を封じる香じゃない、“誓いを縛る香”だって」


「誓いを……?」


「たぶんこの男、“誰かと香で契約を結ばされてた”んだよ。香を通して命令を受ける。……意識も、名前も、感情も、香に囚われて」


(香が“呪い”に変わる。そんな香、今まで見たことがない……)


静華の懐で、玲華の香壺が静かに震えていた。

まるで、新たな香が“何か”を告げようとしているように――。


その夜。

都の外れ、廃れた祭壇の跡地で、ひとりの少女が香を焚いていた。


黒衣に身を包み、面で顔を隠したその少女は、ぽつりと呟いた。


「“契り”は完了した。あとは、次の“依代”を探すだけ」


煙が黒く渦巻き、彼女の背に、鈴のような音が鳴る。


――チリン。


新たな香の影が、都へと忍び寄っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ