第1終章
ふと、小説投稿サイトをチェックした
新作『充電器だけど~』は相変わらずヒットしてなかった
なあ俺よ……こんなので本当に文化祭に小説出す気か?
会長に無理矢理誘われただけだから、やらなくても良いだろ
アカネに言われた言葉
──「読んでみたらけっこう面白かった」
ツバキが言った言葉
──「あなたが【何を書くか】チェックしないとね」
いや待て、あれはただの社交辞令
みんな俺の読者とか、そんなラノベみたいな展開が、俺の人生にあるわけ──
「おーいソウタ、スマホとにらめっこしないでよー」
教室のドアが開いてユイが顔を出す。手には自販機のジュースが2本。こいつ、さりげなく差し入れしてくるのが、気が利くというかずるいというか。
「ほら、糖分足りてないでしょ?」
「お、おう。ありがと」
「またスマホ見て~どうせPV伸びてないんでしょ?そういう顔してる」
「そういう顔ってお前……どんだけ見てんだよ」
「そりゃ見るでしょ?幼なじみだし?」
クラスメイトに夫婦とバカにされるのも分かる、コイツには勝てない
でも
嫌じゃない
少しだけ嬉しい
みんなが俺の味方な気がする
だって俺は──
まだ終わってない
ラノベが売れなかろうが、過去が黒歴史だろうが、いいねが108人だろうが。
書くことをやめたら、その瞬間が【完】になる。
でも俺はまだ、次の話を書こうとしてる。
「文化祭で出すんだ―俺の新作小説」
「えっ、急に?どんなの?ちょっと聞かせ──」
「それは当日までのお楽しみ、ってことで」
ユイが不満そうに頬を膨らませる。
でもその奥にある『やっとやる気になったか』という顔に俺は気づいていた。何しろ幼馴染だからな。
急いで家に帰りキーボードを開く。
頭の中では主人公が勝手にストーリーを動き始める。
なんか行ける気がする。
根拠はない。でも、物語ってそういうもんだろ?




