ダンジョン攻略・忘れ物を思い出すのは、それが必要になったとき
ロザリンド視点に戻ります。
凛花の様子がおかしい。冷や汗をだらだら流している。
「凛花」
「ひゃい!?」
「とりあえず、話せ」
「にゃにゃにゃ、にゃにを!?」
「多分なんか大変なことを思い出したんだろ、隠してもしょうがないでしょ?さっさと吐け」
凛の経験上、間違いない。凛花も覚悟を決めたらしく、真面目な顔で息を大きく吸った。
「………ここの鍵をもってくんの、わすれましたぁぁぁ!!すいませぇぇん!!」
そして、叫ぶと同時に土下座した。
「は?」
「え?」
「にゃ?」
「む?」
「へ?」
「えええええええ!?」
私、ディルク、マリー、ジェラルディンさん、ジェンド、ジャッシュが驚愕した。確かめてみたら、確かに扉は施錠されている。
地下300階まで降りてきて、まさかの鍵がないだなんて!どうしよう。
「無いもんは仕方がない。穴開けらんないかな…」
壁に干渉したけど、ガードが固くて無理でした。さっきも不意をついたから出来たんだもんね。んー、しかもなんとなくだが…ダンジョンマスターがキレてる気がする。うん…普通キレるよね。オールスルーやらかしたもんね。激おこプンプン丸だよね。
「無理だった。しかもダンジョンマスターがキレてる気がします」
「なんてこった!」
「…まあ、怒るよね」
絶望する凛花と、なんか納得しちゃったディルクさん。
「ならば、破壊するか」
ジェラルディンさんが壁を蹴る。轟音とともに壁が破壊され、一瞬で再生した。壊したやつに干渉できないかな?
「…もう1回!」
「うむ!せりゃああ!!」
ジェラルディンさんが破壊した壁に私が干渉してみたが……
「ダメだ。ダンジョンマスターが完全に防御してるわ。さらにキレてる気がする」
壁に謎の呪いっぽい紋様が浮かんできました。やたら禍々しいです。大変お怒りなご様子。激おこカンカンお代官様です。
「こうなったら、天岩戸作戦です!!」
「…誰が脱ぐんスか?」
アメノウズメですね。いや、脱がんでいいわ。しかし、ボケにはボケで返さねばなるまい。
「凛花で」
「嫌ッス!パーフェクトボディのロザリンドちゃんがすべきッスよ!」
「ロザリンドが脱ぐのは許可しません」
ディルクからNGが出ました。いや、脱がないよ。冗談だよ。裸踊りなんかしないよ。
「いや、ダンジョンマスターを挑発しまくって開けさせようかなって」
天岩戸というか、ダンジョンマスター激おこプッツン大将軍計画です。開かぬなら、開けさせてみせようホトトギス。
「…多分うまくいくと思うけど、リンカの話をちゃんと聞いた方がいい気がする」
ふむ。確かにキレさせたら、いきなりモンスターハウスとか、ボスみっしりとかが起きるかもしんない。案外取りに行ける範囲にあるかもしんないし。
「凛花、鍵はどこなの?ダンジョン内なわけ?」
「………ウルファネア城、宝物庫ッスよ」
「おうふ」
ダンジョン内部じゃないんかい!宝物庫かぁ…鍵、鍵ねぇ…なーんかひっかかるなぁ。
「イベントで、王様からの依頼を全部クリアするとご褒美をくれるんスよ。選択肢がお金か最強武器か、何もいらないか。正解の選択肢は何もいらないなんスよ。何もいらないを選択すると、ここの鍵とイベントキーアイテムの腕輪を幽霊から貰えるんス」
「幽霊?」
「腕輪と鍵?」
私とディルクが首をかしげる。はて、なんか…覚えがあるような??んー、思い出せない!
「お嬢様、先ほどから気になっていたのですが」
「何?」
「ポーチが光ってます」
「は!?」
確かに私のウエストポーチがギンギラギンにシャイニング!まじか!ウエストポーチさんが、ペッと鍵を吐き出した。
「…なんの鍵だろ」
鍵には繊細な彫刻がされていた。なんか魔法がかかっているらしい。
「あああああああああ!?」
「うっさ!何」
「それ!鍵!ここの、鍵!!」
「え?」
マジで?試しに扉に鍵を差し込んだら、カチリと開いたので施錠しておいた。なんか扉をドンドンされたが、知らんぷりです。
「開くね」
「…あ、思い出した。それ、ウルファネアの宝物庫で幽霊から貰ったとか言ってた奴じゃない?腕輪はジューダス様にあげたよね?」
「ああああ!!無表情の幽霊…いや、精霊!!」
幽霊なんて居ないんです!多分精霊さんなんです!
知らないうちにイベントをクリアしていたみたいです。とりあえず進めるようなので、結果オーライですね!
正解は、イベントというか、鍵を忘れていたでした。しかし、たまたまロザリンドがクリアしていたのでセーフ。
詳しくは、7才編のウルファネア最後の夜を見てくださいませ。実はこの時点でダンジョンの扉が開かないネタをやるつもりでした。
しょうもない作者ですいません。ほぼ正解した方が一人いらっしゃいました。神とお呼びしたいと思います。




