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悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!  作者: 明。
ロザリンド14歳・凛花と精霊と魔編

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凛花さんの黒歴史

 あれからまっさん改めラヴィ君と雑談をしていた。自分の世界の話が面白いらしく、ゲームやテレビなんかの話もしたッス。


「リンカのことが知りたい」


 ラヴィ君の過去…知られたくないことを一方的に知っているのはフェアじゃないから、自分は自分の生い立ちを語ったッス。


 渡瀬の分家筋として、自分は生まれたッス。渡瀬は神に仕える血筋。自分は見鬼の才能があって修行させられたッスよ。おまけに本家より能力があったからばば…曾祖母さんに嫌われていやがらせされてたッスよ。


 まあ、やり返したけどね!


 恨みは10倍返しッスよ!嫌み言われたら天ちゃん達誘って、ばばあの前で悪口言いまくりッスよ!神様の前だとばばあもキレらんないからね!

 神様達もばばあが性悪だって知ってたから、誰も止めなかったッスよ!むしろ自分に手を出したら許さんって感じで庇われてたッス。

 他の分家筋で能力高い子に拝まれたッス。自分に行くよう誘導させてたからね。

 さらに水かけられたらばばあと部屋を水浸しに。叩かれたら、ばばあの部屋を半壊……いや、全壊にしてやったッス。流石に10倍叩いたら死んじゃうッスからね!流石のばばあも自分には嫌みをいうだけになったッス!ふはははは!



 そんな感じで、やったらたくましく過ごした小学生生活。気に入らない先生のヅラを剥ぎ取ったり、適度に問題児だったッス。


 母さんが8歳で亡くなって、凛姉ちゃん…ロザリンドちゃんの贈り人が自分の面倒を見てくれたッス。凛姉ちゃんに家事を仕込まれ、凛姉ちゃんは自分が10歳辺りで独り暮らしになったッス。よくおかず差し入れたり、様子見に来てくれてたけど。


 その頃には家事しながら適度に勉強してたッスけど、自分が12歳になった年に新しいお母さんが来たッスよ。


 新しいお母さんは悪い人ではなかったッスけど…家事が下手くそで余計手間がかかるし、ご飯も美味しくないし…今思えば、なんだかんだ自由気ままにやっていたから、自分けっこうストレスたまってたみたいッス。


 ある日、自分がキレてしまった。きっかけはささいなこと。でも自分にとっては大事なこと。




 自分の母親と選んだカーテンが棄てられていた。





 彼女にしてみたら、悪気はなかったのだろう。古かったから新しいものにしただけだ。でも、許せなかった。


 その時、気がついた。


 私は母がいた場所を彼女が消していくのが悲しくて、嫌で嫌でたまらなかったんだ。泣いて叫んで暴れて、父が帰ってきて、責められて…………気がついたら凛姉ちゃんのとこにいた。


「凛花?うわ、お前泣き顔ぶっさいくだな。入んな、アホ娘。んで、全部吐き出しな」


 夜中に来たのにいつも通りへらりと笑った凛姉ちゃんにホッとして、お家に入れてもらった。あったかいココアが優しくて…泣きながら支離滅裂な話をしたけどちゃんと聞いてくれた。凛姉ちゃんはニッコリと笑った。





「よし、よくわかった。絞めてくる」





 凛姉ちゃんは何がわかったんでしょうか。背後に般若が見えるんですが!?




 数分後。





「すまなかった」






 父に土下座されました。あの…凛姉ちゃん…足蹴にしなくても………鎮まってくださいッス。




 キレた凛姉ちゃんは最強でした。




「いいですか、兄さん。すまんで済んだら警察は要りません。凛花がここまで泣いたのは義姉さんが死んだとき以来ですよ?凛花はそれだけ辛かったんです」


「はい…」


「あの、凛姉ちゃん…」


「凛花は黙ってなさい」


「はい…」


 何故か自分も父さんの横に正座したッス。なんとなく。


「いいですか?赤の他人と暮らすのは苦痛です。兄さんはいいですよね。好いた女なんだから。しかも、夜しかいないし。でも、凛花は違います。ある程度関係があったならまだしも、いきなり現れた赤の他人に合わせなきゃいけない。四六時中一緒で、おまけに相手は無遠慮に凛花のテリトリーを荒らしたんです。むしろ今までよくキレなかったと誉めたいぐらいですよ」


「…………はい」


 うなだれる父さん。自分も反論の余地はない。上手く伝えられなかっただけで、それは本心だったから。


「というわけで、凛花は私と暮らします」


「「は?」」


「兄さんには、今後家族関係修正案を提出していただきます。具体的じゃない案や実現不可なものは容赦なく切り捨てますからそのつもりでお願いします。じゃ、もう用ないから帰れ」


「………凛花「帰れ」」




 父さんは、凛姉ちゃんに勝てませんでした。



 父さんが出した案は、ひたすら却下された。



「現実的じゃないですね」


「本当に実現できますか?」


「無理でしょ」


「兄さんバカなの?」


「却下」


 だんだん凛姉ちゃんが歯に衣着せなくなってきたッスよ。

 でも正直凛姉ちゃんと暮らすのは楽しくて幸せだったッス。


 ようやく凛姉ちゃんから計画にオッケーが出たのが1年後。そして、凛姉ちゃんは亡くなった。



「まさかのこっちでロザリンドちゃんとして暮らしてたッスけどね」


「…そうか。本当は話したくないことだったんじゃないのか?何故話した」


「ラヴィ君、自分のこと綺麗だって言うから…かな?自分も誰かを傷つけたり、上手くいかなくて失敗したッス。規模は違うけど、そこは一緒だから」


「……うん」


「結局、親と完全に和解はできてないんスよ。凛姉ちゃんの弁護士が自分に自宅マンションとか財産全部を譲るって遺言書預かってて、自分はそれからも凛姉ちゃんの家に住んでたッス。でも、最初よりはいい関係で…ちゃんと話もしたッスよ」


「……そうか。凛花は頑張ったんだな」


「はいッス。凛姉ちゃんとも約束したッスからね。凛姉ちゃんは何があっても自分の味方だから、ちゃんと後悔ないようにしろって言われてたんスよ」


 ラヴィ君は優しく自分を撫でてくれたッス。嬉しくてへにゃっと笑ってしまう。あんまり…できれば話したくないことだったから、無意識に緊張してたんだと気がついた。


「僕にも出来るだろうか」


「出来るッスよ。ラヴィ君が心から望むなら、自分はラヴィ君の味方になるッス!」


 何が、とは聞かなかった。彼が進みたいと願うなら、自分はラヴィ君の味方になろう。凛姉ちゃんが自分の味方になってくれたみたいに。


「………ありがとう、リンカ」


 腕を引かれてラヴィ君の方に体が傾いた。でこに、ちゅって…………え?


 でこちゅーされたああああああああああ!?


「リンカ!?」


 渡瀬凛花、気絶いたしました。しかし、我が腐女子人生に悔いなし!!

 ラヴィ君は自分を運んでくれたらしく、目が覚めたらゴープリルームでした。



 これ夢オチとかないよね!?と不安になったのは言うまでもない。


 珍しくシリアス先輩2連発。高笑いするシリアス先輩が目に浮かびます。

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― 新着の感想 ―
[一言] とりあえず、リンも凜花も!^^b
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