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悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!  作者: 明。
ロザリンド14歳・凛花と精霊と魔編

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部下の不始末は上司の責任

 とりあえず、小さな風の精霊達はハルにキチンと誠心誠意謝罪したので許してやったが、それを放置していた風の精霊王にも責任がある。というわけで、神殿にリターンした。


「風の精霊王様。先程うちの可愛い可愛い可愛いハルに小さな風の精霊達が暴言を吐きました。どういうことですか?放置した風の精霊王様も同罪だと思うのですが…(わたくし)に納得できるように説明してくださらないかしら」


「ロザリンド、もういいから!気持ちだけで充分だし、オレは気にしてないから!」


「ハル…」


 うちの子はなんて可愛いのでしょうか!


「可愛い可愛い可愛い!」


「ふぎゃっ!?」


 ぎゅうっとしてなでくりまわした。ハルはビックリしているが嫌がらない。


「いい?ハルは可愛いうちの子です。うちの子をいじめる奴は、もれなく私に不幸にされます」


「…お嬢様はぶれませんね」


「凛姉ちゃんらしいッス」


「そこがロザリンドの良いところなんだよね」


「まあ…情が深いな」


 ジャッシュはなかば呆れつつも優しい表情。ディルクは嬉しそう。凛花はどこか懐かしげで、エルンストは苦笑していた。




 神殿を出たところで起きたことを風の精霊王に説明したら、風の精霊王は深々と頭を下げた。


「すまない…あれらは何回言っても忘れてしまうのだ…!」


 風の精霊王が苦労しているのが感じられた。


「…つまり、定期的に痛めつけるか心的外傷(トラウマ)レベルまでいかないとダメということですね?」


「なんで斜め上の解釈するんだよ!言うだけ無駄だし、オレが異端なのも事実だろ!」


「しかし、罪もないハルが悪しざまに言われていいはずもないだろう。本当にすまない」


「おっさん…」


「…ところで、風の精霊王とハルはどういう関係なんですか?」


「「……………」」


 ハルと風の精霊が黙った。


「難しいな」


「まさか、禁断の関係ッスか!?」


 キラキラする凛花をしばいて物理的に黙らせた。


「腐った発言禁止!あと、いつまで海の男スタイルなんだよ!尻が気になる…いや、色々気になるわ!」


※実はずっと海の男スタイルで、ふんどしいっちょでハッスルマッスルしてました。


「いや、気に入ったんスよ。まっさんにも見せようかと」


「やめとけ、嫌われんぞ」


「えー」


 ブリブリすんなよ、違和感が半端ない!


「面白いと思うが」


「研究馬鹿は黙ってなさい!魔はわりとナイーブだから、トラウマ与えたら多分引きこもるよ!」


「…まっさんには見せないッス」


「よし」


 項垂れる凛花。納得してくれて良かった。


「あの、話の続きをしてもいいだろうか」


「「すいません」」


 素直に謝罪しました。風の精霊王は考えつつ話してくれた。





 風の精霊王の弟は魔力が高かった。いや、高すぎた。それゆえに魔力コントロールが上手くいかず、暴走させることもあった。暴走させていた理由が魔力だけでなく他属性の魔力も混ざっていたからだと気がついた弟さんは魔力の一部を切り離した。


 その魔力は封印されていたが、やがて意思を持ち、精霊となってしまった。それがハルである。ハルが嫌われているのは、異端だからだけではない。


 ハルが誕生して暫くしてから風の精霊王の弟が眠りについた。手紙には、罪を償いたいから眠るとだけ書かれており、ハルを産み出したのを気に病んで眠りについたのだと噂になり、風の精霊王の弟は人望がある優しい精霊だったので、ハルは他の風の精霊に嫌われたわけだ。


「つまり、風の精霊王の弟さんをしばけばいいんですね!」


「待て!なんでそうなった!?相手は寝てるだけだ!」


「育児放棄ですよ!自分の意思じゃないにせよハルをうんだんだから、本当だったら守るべきでしょ!?」


「守っては、くれてた。起きてる間は」


 ハルはシュンとしている。自分の親だからか、嫌ってはいないらしい。


「…とりあえず、起こしてみようか」


「「!?」」


 ハルと風の精霊王が驚いた表情をしていた。


「結構長く寝てるんでしょ?解呪は得意だし、叩き起こしてあげるよ」


「普通に起こしてくれ!悪意が隠れてない!!」


 チッバレたか。舌打ちすんなとハルに叱られました。






 というわけで、ぐーすか寝てる精霊王の弟の部屋に来ました。穏やかに眠る青年はハルそっくりです。魔力を探ると…封印に近いが荒い。あれ?これって…………


「ハル、この精霊さんはどんな感じの精霊さんだったの?」


「…優しかった、と思う」


「責任感強くて、優しくて、わりと頑固?」


「そうだな」


 風の精霊王が頷いた。ハルも頷く。ため息をついた。仕方ない。


「普通に起こします。凛花、よく見てて」


「はいッス!」


 敬礼する凛花(マッチョ)に集中力が著しく低下したが、どうにか集中する。魔力を極力同調させ、丁寧に絡まりを解いていくイメージだ。


「うあ…すげぇッス。変態ッス。魔力コントロールが上手すぎるッス。異常ッス!」


 失礼な。さりげなく凛花の足を踏みつけると同時に解呪は成功した。凛花は悶絶して転げ回っている。こら!ふんどしいっちょの姿で転げ回るなんて…ポロリしたらどうすんだ!?とちょっと思いました。


「…ん…」


「目覚めたか、弟よ。気分はどうだ?」


「…ここは天国?兄さんが居るなら地獄ではないよねぇ」


「いや、そもそも死んでない」


 精霊王の弟は、自分を呪っていた。悪夢を繰り返し見せながら、緩やかに死に向かう呪いをかけていた。


「え!?な、なんで!?」


「あんたがぐーすか寝てるせいで、ハルが悪く言われるから魔法…いえ、呪いを解きました」


「…!?そんな………」


「は!?どういう意味だ!?」


 驚愕するハルと風の精霊王。愕然とする弟さん。


「ごめんなさい!君はなんにも悪くないのに意地悪されて…僕、僕……死んでお詫びを…!」


「すんな!!」


 久しぶりにハリセンでしばきました。いい音でしたが、加減はしています。私にしばかれて床に転がった弟さんに言ってやった。


「よろしくて?貴方が死んだらまたハルはなんにも悪くないのに悪しざまに言われる可能性があるんです!だから死ぬよりハルは優しくて気が利いてものすごーくいい子なんだって、ハルの良さを全力で布教してください!」


「待て!色々つっこみたいが、とりあえず布教してくださいってなんだよ!」


「ふむ…そうだな」

「僕、頑張ります!」


 ハルはつっこんだが、風の精霊王と弟さんは真顔で同意して風のように去った。流石は風の精霊である。


「ま、待てぇぇぇ!!」


 ハルは涙目で風の精霊2人を追いかけたが…まぁ、無駄でした。風だけに、噂が回るのが早いらしくハルは行く先々で精霊から謝罪と足止めをくらっていました。


 ちなみに弟さんは、ハルが生まれたが自分のせいで異端になってしまい、ハルの他属性魔力を引き受けようとしたが出来ず…思い詰めて自殺しようとしたみたいです。

 ただ、精神状態が悪い中使った魔法だったのでキチンと作用せずじわじわ命を削っていたらしい。今は改心して、ハルの素晴らしさを伝える布教に励んでいます。

 私にもハルとの心暖まるお話をしてくれて、私もハルとのお話をして盛り上がったのですが、ハルにそれせめてオレが居ないとこでやって!!と泣かれました。ハルったら恥ずかしがりやさんなんだから。

 ちなみに弟さんは不思議そうで、かなりの天然だということが発覚しました。


 これにて一件落着!!

 今回のルート回避。

・風の精霊王弟の死亡ルート回避。

・上記に伴う風の精霊王の魔の浸食ルートを回避。



 ちなみに精霊は人間や獣人と結婚すれば両親が居ますが、基本は魔力に満ちた場所で生まれます。兄弟は同じ力場で発生した精霊。親がある場合はめったにないですが、魔力が余った精霊が魔力を切り離すなどして生まれた精霊です。つまり、弟さんはハルのパパになります。



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ユハズ先生も絵が綺麗なので必見ですよ!!悪なりコミカライズ、スタート!! 「悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!コミカライズのリンクはこちら!」 小説二巻、発売中です。書き下ろしもありますよー 「悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!二巻のリンクはこちら!」
― 新着の感想 ―
[良い点] 凛花ちゃん、ぶれなくて好きです! ハルもかわいい! [気になる点] エルフの村に、風の精霊さん達がいる岩山があるのですか? ハルはエルフの村生まれだと第41部で言っていたので。 先日感想機…
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