王子様と凡人の大冒険
凛花視点になります。
余談ではあるが、あれから数日。アルフィージ様がロザリンドちゃんを訪ねてきたッス。
「私でも倒せる高ランクの魔物はいるだろうか?」
「…アルフィージ様なら……フレイムリザードン辺りかなと思いますが、なんでまた?」
「ラビーシャ嬢と付き合うにあたり、いろいろ調べたんだ。獣人を妻にもらう場合、相手に自分が狩った獲物を渡して婚約するのが正式だと聞いた」
「へー」
いろんなしきたりがあるもんッスねぇ。他人事だと思って聞いていたッス。
「…独りで?」
「ああ」
「念のため凛花を連れていってください。凛花、本来は支援が得意だったんだよね?」
「………はいッス」
「いいのか?危険だぞ?」
「……………はいッス」
嫌な予感しかしなかったものの…自分はウサメガネ大先生のため、逝ってくることにしたッス。
※注・誤字ではなく、凛花の気分は行くではなく逝くでした。
そして、ロザリンドちゃんの指示した魔物を見つけたッスが………あれはドラゴンじゃないんスか!?ドラゴンみたいだし、火を吹いてるッスよ!?怖えぇッス!リアルのフレイムリザードン怖い!!
「…さて、私は行く。君は隠れていなさい」
アルフィージ様、判断早い!あっという間に駆け出したッスよ!
ええい、女は度胸!咲かせて魅せよう!腐女子☆道!!
「疾風迅雷!」
自分のオリジナル強化魔法がアルフィージ様を包んだ。加速したアルフィージ様はフレイムリザードンに斬りかかる。
フレイムリザードンは、一太刀で綺麗に首を斬られました。
「…流石は勇者様だな」
水で血を洗い流しつつ、アルフィージ様が苦笑した。
「自分のせいッスか!?アルフィージ様の実力だと思うッス!」
「いや、私の細腕であんなのを両断できると思うか?正直に言いなさい」
「………………無理だと思います」
でも、あんなでかくて火を吹いてる魔物に躊躇わずに向かったり…アルフィージ様も規格外ッスよ。しかし、凡人が王子様に逆らえるはずもなく、素直に同意したッス。
「よろしい。しかし、どうせならもっと大物がいいな。君の支援があればいけそうだ」
「…いや、これ充分大物………」
「もっと大物がいいと思わないかい?」
「…ソウデスネ」
アルフィージ様の瞳は、妥協を許さない狩人だったッス。凡人は狩人様に敵うはずもなく…ドナドナされていったッス。
そして、愛の狩人様はとんでもない獲物を見つけてしまわれました。いや、無理ゲーじゃね?洞窟前に寝そべる獲物。見おぼえがあるッスよ。
エクストラ・ファイヤーリザー首領。名前はギャグだけど…炎系最強の魔物ッス。強かったッスよ、ゲームでも。二人では無理ゲーだからやめましょうよ、さっきの奴より明らかにでかいしと言おうとしたッス。
「…行くぞ!」
遅かった!またしてもためらわないアルフィージ様。自分も慌てて強化魔法をかけた。
「ええい、疾風迅雷!」
瞬時にエクストラ…ああもう名前長いから、首領で!首領の目前に迫り、斬りつけるアルフィージ様。しかし流石に固いッス!剣が弾かれた!更に斬りつけようとするアルフィージ様に、首領が尻尾で攻撃しようとしている。迷う暇などなく、咄嗟に次の魔法を使った。
「剛強無双!!」
「なっ!?」
疾風迅雷はスピードアップと攻撃力アップ。剛強無双は純粋に攻撃力のみ大幅にアップさせる。アルフィージ様に更なる魔力強化が施され、首領は首を落とされた。ついでにその向こう側がパックリ斬れて、溝…じゃなくて谷になってしまった。斬った本人も、支援魔法使った自分もビックリしてましたッス。
「どうぉぉぉぉん!!」
意味不明の雄叫びをあげた自分はスルーされました。
「…………なんというか、流石はロザリンド嬢の身内だね」
「どういう意味ッスか!?やったのはアルフィージ様ッスよ!全部自分の責任にしないでほしいッス!」
「うん?」
アルフィージ様はにっこり笑いました。
「…自分のせいです」
笑顔なのに、怖かったです。凡人は、やはり王子様には勝てませんでした。
血抜きをして、ようやくお仕事終了ッス。アルフィージ様はこのままウサメガネ大先生に婚約を申し出るらしく、自分は帰宅したッス。うまくいくといいッスね。
アルフィージ様無双はまだ続きます。1話で済むかと思いきや…何故だ…とりあえずきりがいいのでここまでです。
またまた酔勢 倒録様からファンアートをいただきましたので、活動報告にあげておきます。




