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悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!  作者: 明。
ロザリンド7歳・奇人変人変身魔法院編

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モヤシと魔石

 魔法院2日目。またどーせ、呪い復活してるんだろーなと思いつつ第1開発室のドアをくぐった。


「おはようございます」


「あ、きたきた!」


「おはよう!」


「おはよー!いやあ今日も可愛いね!」


「こっちが席だよ」





 え!?




 入るなり研究員さん達に連れられて、私のデスクに連れていかれました。展開についていけず、ハンスさんを見ると頷く。今は皆正気らしい。臭くもない。お風呂にちゃんと入ったのかしら…と現実逃避していたら、聞きおぼえのある声がした。


「うるさぁぁい!」


 雷魔法が炸裂した。荒っぽいな、エルンスト。私はやはり結界で無傷である。


「あ、おはようロザリンド!研究の話をしないか?」


「あ、はい。かまいませんよ」


 多数の大人(オタク)に包囲されるよりはエルンストのオタトークに付き合う方がいい。私はエルンストに駆け寄った。


「エルンストに友達が…!」


 ハンスさんが崩れ落ちた。泣いている?え?なに!?


「良かったな、エルンスト!」


「ぼっち卒業か!」


「今日はお祝いだな!」


「友達記念日だな!」



 エルンストがうつむいてプルプルしている。これ、多分あかんやつや。



「うるさぁぁぁぁぁい!!」


 先ほどより強烈な電撃が第1開発室で炸裂した。エルンストはさっさと私を連れて引きこもり部屋…じゃなかった、自分の研究室に私を連れ込んだ。


 賢者の汚部屋と違い整頓されていて、棚に飛行機みたいな模型と本がずらり。机とベッドがあり、天井は空を模してあった。隣室が確か風呂とトイレだったよね。


「何を話す?」


「ああ、今後の計画は?」


 防音結界を展開してから話をする。


「………ん?うん。今は調査中だから様子見になるよ」


「そうか」


「だから雑談…というか、飛行魔具の話する?」


「いいのか!?」


「いいよ。ところでエルンスト、友達いないの?」


「……………………………いない」


「なら、私が1号か」


「……………………………は?」


「へ?」


 あれ?違うの?私は結構仲良くなれたと思ってたんだけど、勘違いか?


「…私、友達1号じゃないの?」


「え!?そうなのか!?いたことがないからわからない!ロザリンドは友達なのか!?いつからだ!?」


「ええと…友達はいつの間にかなるものです。仲良く話せるようになれば友人かと思います。多分昨日からかな?エルンストは私と友達になりたくな「なりたい!!友達になりたい!!」


 色白だからほっぺが赤いのが目立ちますね。私も友達が少ないけど…まさかのゼロとは予想外でした。後で兄にも友達になってもらうか。あとシーダ君あたり。

 考え事してたら、がっちり握手されました。うん。嬉しいのはわかったけど、ちょっと加減しろ。地味に痛い。意外と腕力あるな、エルンスト!


「せっかくだし、友達記念だ!遊ぶか!」










「すっげぇぇぇぇ!!」


 エルンストが…輝いています。現在私達はヴァルキリー飛空艇モードで飛行中です。エルンスト、大興奮です。


「私は専門分野ではないので申し訳ありませんが、贈り人の世界ではこの形にエンジン…動力をのせて翼を可変させることで気流を変化させていました。着陸時のみ車輪が出て……」


 サラサラとリンの世界の飛行機を描いていく。エルンストは真面目に聞いていた。


「ちなみに素材は?」


「金属でしたね。雨で劣化しない素材は必須です。雲は水分の固まりみたいなものですから。昔は木造もあったようですが」


「…なるほど。ユグドラシルなら全部クリアするけど、流石になぁ…高額すぎる。魔石も…最低Sランクはいるかな…このランクになるといくらになることか…」


 試算して肩を落とすエルンスト。なかなか高額だなぁ。


「おや、こんなところに魔石が」


「…………………………おい」


 冒険者殺しの奴と、マーサがくれたインシェントタートルの魔石。なかなかにずっしりくる。


「どっちがいい?」


「…………え?」


「それとも…狩ってくる?一狩り行く?足はあるし、どうせなら風属性狙うか」


「ええ?」


「大丈夫!今なら暇してる英雄と、その息子と、SSランクパーティーと元最強騎士の護衛がつくかも!!予備も欲しいよね!」


「えええええええ!?」








「いやー、大漁大漁!」


「………あ…ありえねぇぇ」


 暇してる英雄親子と私とディルクでSランクの風属性魔物、インシェントガルーダを乱獲しました。全部で8個。まずまずの成果です。ジェンドが結構成長していて、アデイルと互角ぐらいになってました。スーツで強化しているとはいえ、確実に実力をつけています。

 ディルクはたまたま…暇だった…というのは多分建前で、呼んだら来てくれました。

 そして、意外にもエルンストは強かった。彼の雷魔法はガルーダ系に有効だったし、魔力コントロールが巧みだった。体力はないから途中英雄に担がれてたけど。


「予備も充分だね!」


「………………そーだな」


 今は皆でランチタイムです。新鮮な鶏肉もあるし、せっかくだから何か作るか。


「ディルク、鶏肉料理なに食べたい?」


「唐揚げ!」


「かしこまりー」


「主!チキンステーキ!」


「はいはい」


「僕照り焼き!」


「おっけー」


「…あ…俺はこれで…」


 エルンストは携帯食料を出したが、却下した。


「エルンストはチキンスープにします」


 というわけで、豪華鶏肉ランチになりました。


「ロザリンドのごはん…」


 ディルクがご飯と幸せを噛みしめています。


「ロザリンドと食べるロザリンドのごはんは世界一おいしい…幸せ…」


 お膝抱っこは恥ずかしいし食べにくいのですが、ディルクが幸せなら仕方ないのです。


「…恋人なのか?」


「婚約者です。恋人でもありますよ」


「なるほど。恋人っていちゃつくもんなんだよな?えーと、りあじゅーばくはつしろって呪文を言うのが礼儀なんだよな?」


「そんな礼儀はないから。誰だ、そんな嘘教えた馬鹿」


「りあじゅー?」


 ジェンドが首をかしげる。


「リアル…現実が充実した人ってこと。リア充爆発しろってのは『くっそ恋人とイチャイチャしやがって!羨ましいんだよ、爆発しろ』の略」


「………それ、もはや呪いじゃねえか!!エド、帰ったらぶっ飛ばす!!」


 犯人は院長でしたか。やりそう。いや、他にもやらかしてそうだな。


「たまに院長、でたらめ教えたり……」


「めっちゃしてる」


 典型的なダメ親父だな。エルンストがどんよりしている。頭を撫でてやると驚かれた。慰めただけだよ?


「後で私もシメてあげますよ」


「頼む」


 お互いニヤリと笑った。


「…あまり無茶はしないようにね?」


 常識人なディルクさん。私はにっこり微笑んだ。


「前向きに善処いたしますわ」


「……………容赦する気が微塵も感じられないよ…まあ、たちが悪い悪戯ぐらいだろうから、いいけど」


 ため息をつくディルク。


「それいい!仕返しじゃなくて悪戯しよう、エルンスト!魔具職人、本気の悪戯を見せてやろう!」


「わあ、面白そう!僕もやる!僕も混ぜて」


「…そうだな、たまにはいいか」


「あああああ、火に油を注いでしまった!」


「はっはっは。子供達が楽しそうで何よりだ」


 頭を抱えるディルクと、愉快なようすのジェラルディンさん。大丈夫、あくまで悪戯ですから! 

 というわけで、次回は悪戯をやらかします。魔具職人の本気をご覧あれ。

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ユハズ先生も絵が綺麗なので必見ですよ!!悪なりコミカライズ、スタート!! 「悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!コミカライズのリンクはこちら!」 小説二巻、発売中です。書き下ろしもありますよー 「悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!二巻のリンクはこちら!」
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