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悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!  作者: 明。
ロザリンド7歳・ラブラブデート編

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デートの前に

 お弁当を仕込んでから朝食に向かう。食堂にはオスカルさんだけが食事をしていた。


「おはようございます」


「ああ、おはよう聖女様」


「…ロザリンドでお願いします。聖女なんて柄じゃないんです」


「そうなのか?ふむ…ならばロザリンドちゃんだな」


 一気に親しみやすくなったね!さすがシュシュさんパパ!


「それでお願いします」


「私もパパと呼んでいいぞ」


「…………………実父が泣くので遠慮します」


 父が泣く気がした。父もパパなんて呼んだことないよ。呼んだらどんな反応するか予想がつかない。


「シュシュさん達は…」


「どうやら蜜月に入ってしまったようでな。シュシュもよく耐えたし、仕方あるまい」


「みつげつ?」


「発情期とも言うな。つがいを見つけた獣人は異常な性衝動に襲われるのだ。シュシュは抑制薬で抑えていたが…たがが外れたのだろうな。最低でも1週間はでてこないだろう」


「…………………彼方さんは体力ない人間ですが、大丈夫なんでしょうか」


 人はなぜ、見るからに大丈夫じゃないときに限って大丈夫?と問いたくなるのだろう。


「…………………………命は大丈夫だ」


「…何が大丈夫じゃないんですか?」


「…体力と精力だろうか……」


「…………………………」


「…………………………」


 なんとなく、お互い黙った。朝っぱらからこんな生々しい話を聞きたくなかった!とりあえず彼方さんの安否が心配なので、兄に栄養剤と………精力増強剤も要るかしら………


「おはよう…ふぁ…」


 夜更かししたらしい兄が現れました。遅くまでお話でもしていたのでしょう。通信魔具に時間制限を設けるべきだろうか…


「兄様…」


「ああ、彼方さんには栄養剤と精力増強剤あげといたから」


「エスパー!?」


「何ソレ」


 寝起きだからかテンションが低い兄。


「いや、今まさにそれをお願いしようかと思ってましたから。流石は兄様!気遣いと優しさが素敵!兄様大好き!」


「………そう」


 ギュウッと抱きつくと、私をよしよしと撫でててくれる兄。


「ところで、ずいぶん可愛い格好だね」


「えへへ、デートなんです」


「なるほど」


「明日はクリスティアに帰る予定です。マーサのこともありますしね」


「マーサ?」


 あ、そういや兄は知らなかった。


「マーサが結婚します」


「…………報告!」


「喜んで!」


 というわけで報告しました。叱られました。


「早く言ってよ!マーサのお祝いならなんか用意しなきゃ!」


「すいません」


 兄様とそんなやり取りをしていたら、また誰かが入ってきました。そちらを見ると………





 王子様がいました。






 いや、私のディルク様がいました。イケメンです。いや、もともとイケメンでしたが、さらにイケメンです。髪を上げて、ややラフながらも青のグラデーションが鮮やかな上着。ん?私とおそろい?


「ディルクかっこいい…」


 うっとり呟くと、イケメンディルク様が固まった。どうした?と思ったら崩れ落ちた。


「ディルク!?」


 慌てて駆け寄ろうとする私に、兄が冷静に告げた。


「大丈夫」


「へ?」


 ディルクは何やらぶつぶつ言ってます。どうにか聞き取れたが…別に体調不良ではないようで安心はした。でも、落ち着かない。


「…か、可愛い…可愛すぎる。しかも俺がプレゼントした服…めちゃくちゃ似合ってるし嬉しい……!」


 誉めすぎだと思うの。ソワソワする私。


「ディルクが復活するまでほっとけば?まあ、確かにロザリンドは可愛いけどね」


「…堂々とシスコン発言っすね」


 思わず、といった感じでアンドレさんがツッコミした。


「内面も案外間抜けで可愛いけど、外見的にも美少女だからシスコンでもなんでもなく事実だと思うけど?」


「……………」


 私をじっと見るアンドレさん。頷きました。


「…なんつーか、変わったお嬢さんだって印象が強すぎて外見は印象が薄かったけど、確かにとんでもなく美少女ですね」


「でしょ?」


 兄は満足げだ。


「さりげなくアンドレさんに落とされてる気がする」


 私は不満である。変わってるのは否定しないが、微妙に落とされてる気がする。


「…落としてはないっすよ。本当に変わってるじゃないですか。ルーベルト様もよく見るととんでもなく美形ですよね」


「…そう?」


 心底意外そうな兄。攻略対象なだけあって、美形ですよね。


「私も兄様は美人だと思います」


「………………そう」


 兄はどうでもよさそうだが、少しだけ嬉しそうだった。ディルクがようやく再起動しました。


「ロザリンド、その服も靴も…全部よく似合ってる」


 とろけるような微笑に、腰が砕けそうになりました。


「あ…えと、プレゼントありがとうございます」


「うん。最近は服を見に行くとついついロザリンドに似合いそうなのを買っちゃうんだよね。本当によく似合ってる…靴もアクセサリーも…ロザリンドにピッタリだ。靴はオーダーメイドなんだけど履き心地はどう?」


「ヒールも高すぎないし歩きやすいです」


「うん」


 嬉しそうなマイダーリンを見ていたら、プレゼントはほどほどにとは言えませんでした。


「大胆だな」


「?」


「何がですか?」


 オスカルさんが苦笑していた。アンドレさんは明らかに目をそらしている。


「ウルファネアでは服を贈るというのは、それを脱がせて食べて「うわあああああああ!?違います、違います!クリスティアにそういう風習はありません!違うからね、ロザリンド!違うからね!?」」


 必死に否定するディルク。いや、知ってますから。私もクリスティアの人間だからね?しかし、アワアワするディルクが楽しすぎて…私はオスカルさんに乗った。


「……ディルクのえっち」


「!?可愛い…じゃなかった!!違うから!違うんだぁぁぁ!!」


 ディルクの絶叫がお屋敷にこだました。


「妹さん、悪ですね」


「うん。面白いよね」


 アンドレさんと兄の会話には聞こえないふりをしました。アンドレさんはまたしても蛇なのに死んだ魚みたいな目をしていました。


「兄妹よく似てるんすね…」


「まぁ、悪ふざけはわりと好きだよ。僕ら、どっちもね」


「……………そっすか」


 アンドレさんが何かを諦めた様子でした。子供は悪戯が大好きなものですよ。

 ディルクがあまりに必死で否定するから笑いを堪えきれずふいてしまい、叱られました。


 なにはともあれ、デート開始です。

 ちなみに兄が彼方さんに栄養剤と精力増強剤をあげたのは、魔法院に獣人のつがいな人間男性が居るからです。

 兄はツンデレですが基本優しいです。

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