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ケーキなボクの冒険  作者: 丸めがね
中央の城、悲劇のララ
47/207

その47 ララとの出会い

また部屋に閉じ込められるリーフ。


部屋の外、城内がバタバタしているのが分かる。


「マーリン王子もスカーレットさんも随分慌てていたみたいだけど・・・。何かあったのかな?」


暇になったので唯一の遊び道具、紫の壺でお菓子を作り始める。


「ホットケーキが食べたい気分。」


とか言いつつ材料をまぜまぜ・・・。

ハチミツやバニラビーンズを混ぜてみたので辺りにはすごくいい香りが漂う。


さて、リーフ、焼き上がりを待ちながら考えた。


「ここから逃げよう」


今しかない気がする。このままここにいたら、済し崩し的に王子と結婚させられるだろう。

王子はいい人だし、嫌いじゃないけど「結婚は無理」なのだ。

なんたって中身は15歳高校生男子チェリー(くどい)なのだから!


今ならみんな忙しそうで、王子がリーフに付けると言っていた護衛さんもまだ来ないみたいである。

鉄格子のない窓は庭に面していて、外に出てしまえば何とかなる気がする。

「ホットケーキをお弁当代わりにして、行けるとこまでいってみよう!」

リーフは焼きあがったホットケーキをそのへんにあった布で包んだ。


「ララさんとやらには申し訳ないけど・・・、ボクに助けてあげる力なんてないんだ・・。

マーリン王子の呪いが解けたのだってきっと偶然だし。」


窓はあっけないほどあっさり開いた。

よっこいしょと乗り越えて外に出る。

「あーなんだか久しぶりの自由かも」


庭には幸い人影もなく、リーフは城の壁沿いを隠れるように進む。

しかし城の敷地は思ったより広く、あっさり迷子になってしまった。


あっちにうろちょろこっちにうろちょろ、ほとほと困っていると、一本の細い川が見えた。


「すごい!川まで通っているんだ!」


魚はいないか、近寄って川を覗き込むリーフ。

深さは30センチぐらい、横幅が2メートルくらいの小さな川だが、水面がキラキラしていてとてもきれいで、よく見るとメダカのような小さな魚が泳いでいる。


その魚を目で追うように川の先のほうを見ると、川の中で誰かが倒れていた。

急いで駆け寄るリーフ。「人間?!」


「だ、大丈夫?!」

倒れている人を抱き起す。


折れそうな細い手足、長くうねる銀髪、透き通るような肌、紅い唇の目を見張るほど美しい少女だった。

リーフより年下だろうか・・・。着ている白いドレスの布が薄くて、濡れているために少女のきゃしゃな体の線があらわになっている。

一瞬見惚れるリーフ。

抱き起した感触が軽い。人間を持っているのではないような・・・。まるで天使が腕の中にいるみたいだ。


天使が少し目を開けた。ヒスイ色の瞳で、ニッコリ笑う。

マーリンと同じ色。


「もしかして、ララ?」


「そう。わたしはララ。あなたは・・・・」

小鳥がさえずるような可憐な声。


「ぼ、ボクはリーフ・・・。あの、大丈夫?」


「・・・だいじょうぶ、ちょっと倒れてしまっただけなの・・・。それよりも、お願い、みんなに見つからないうちにここから連れて逃げて欲しいの・・・」



ララはすがるような瞳でリーフを見つめた。


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