表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星の守り人  作者: quo


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/162

二対一

ルナヴェールがいつもの席に座った。


マリエルはお茶の準備が出来るとルナヴェールへお茶を出した。部屋に入った事を謝ろうか。何も見なかった事にしておいた方が良いのか。ルナヴェールは怒っていないだろうか。マリエルはどうしようと悩んだが、ルナヴェールは何事もなかったかのようにカップを口に運んだ。そして、沈黙の時間のうちにルナヴェールはお茶を飲み終えた。マリエルがお代わりを聞くと、要らないとルナベールは言った。


マリエルが思い切って、部屋に入った事を謝ろうとしたときルナベールが言った。


「私に用があるんじゃないかい?」


マリエルは息を飲んでしまったが、落ち着いて食料の事を話した。ルナヴェールは、はじめはピンとこない様子だったが、忘れていたと言った。モランに定期的にこれるかは話したが、次に来る日を話してい。だから、今日、連絡しても来るのは一、二週間後位だと言った。マリエルは天を仰いだ。ヴェルシダと料理の研究をしていたのが裏目に出てしまった。収穫は多かったが多目に食料を使ってしまった。二週間後だと確実に食料が尽きている。もたせて一週間だろう。


ルナヴェールは、またカラスのスープかと落ち込んでいたマリエルに、ヴェルシダを呼んでくるように言った。ヴェルシダはマリエルに背中を押されながら、一体、何様のつもりだと言いながら食堂に入ってきた。


「街に買い出しに行ったらどうだい。二人仲良くね。」


マリエルはこの屋敷での生活に慣れてしまっていたのだろう。はじめは面倒くさいと思ったが、外に出られることを喜んだ。久しぶりに人に会えるのだ。ヴェルシダはあからさまに逃げる気を隠さない。ヴェルシダと一緒なのが気がかりだ。


ルナヴェールは、マリエルの装備は魔族の王に会いに行った時の物でいいだろうと言った。ヴェルシダには山賊や化け物に会った時に役立つものを用意しようと言って、またあの変なものを置いてある部屋に行った。案の定、ヴェルシダが勝手に物に触ろうとするので、マリエルの体を調べた時の「焼ける」やつをルナヴェールを受けた。仕組みは分からないが、どんなに防ごうとしてもルナヴェールが狙ったところが熱くなる。しかも、皮膚を通り越して深部を焼く。本当に焼けてはいないのだが、ヴェルシダは腹を押さえて床に転がって悶えていた。


ルナヴェールは奥からローブと剣を一振り、それと指輪を持って来た。ローブはマリエルの物と一緒だ。剣は薄く細い刀身をしている。魔法を切り裂くことが出来る。指輪は危険を察知する力があるそうだ。ただし、指輪は相性があって人によっては何も教えてくれない。それがどういう相性については分からないそうだ。マリエルはヴェルシダと相性が良いものがこの世にあるとは思えなかった。


ヴェルシダは剣について折れそうだとか軽すぎるだの文句ばかり言っていた。指輪はきついと言ってはめようとしない。仕方なく指輪はマリエルが持つことにした。


装備を整えると、三人は広まり集まり買い出しの事について話し合った。マリエルがこの森の手前まで来たときには最後の中継地点としての街は馬車で二日だと言った。街から早朝に出発して途中で野営し、また早朝に出発して森の入り口の探索開始。半日で行けるところまで入って戻るを繰り返す予定だったそうだ。


マリエルは荷馬車が無いと買い出しは無理だと言った。往復四日を一週間分の食料を徒歩で運ぶことになる。ヴェルシダも同意見だった。ルナヴェールは暫く考えると、街で荷馬車を買えばいいと言った。マリエルが記憶する限り、一番手前の街は小さく売って無さそうだ。その先の街なら大きかったと言った。しかし、そこまではさらに村を中継しながら四日はかかる。規模も大きく衛兵が詰めていると言うと、ルナヴェールは溜め息をついた。


ルナベールはヴェルシダに風を呼んで二人でその町の近くに行けないかと言った。ヴェルシダは一人なら飛べるが距離は人が一日歩く分で、一緒に飛ぶ人間は間違いなく風に巻きこまれてねじ切れると言った。ルナヴェールは、三人を遠くの魔都から一気に飛んだ。マリエルは目の前にいるルナヴェールが絶大な魔力を持っている事に改めて気付かされた。


ルナヴェールは仕方がないと言って、その街まで二人を送ると事にして。帰りは荷物を積んで帰る。そして今度からは近くの街に買い出しに行く。これで、移動の問題は解決した。


「それで、金はどうするのさ。私は人質だから一銭も持っていないよ。」


ヴェルシダはが言うと、ルナヴェールは金の粒があると言った。行商人とは金で決済していたのだ。マリエルが金の粒はどれくらいかと聞くと、小指の先位とルナヴェールは言った。マリエルは問題があると言った。金貨一枚分だし国や富豪が取引に使うもので、店の方が断るだろう。マリエルが持っていたら怪しまれる。最悪、衛兵や官憲に捕まえられるかもしれない。


ルナヴェールは、あとは宝石か銀食器くらいしかないと言った。古物屋に宝石や銀食器を持ち込む二人の女性。しかも一人は少女でもう一人は銀髪に碧眼。怪しすぎる。マリエルは小粒の宝石くらいだったらいいかもしれないと思ったが、ヴェルシダはいい考えがあると言った。


「持っている奴から奪えばいいのさ。」


マリエルは止めてくれと言ったが、盗賊なら問題ないと言った。そもそも、人から奪ったものだからと。ルナヴェールを見ると、それも一つの手段だとうなづいている。資金の調達は二対一で盗賊狩りで行うことになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ