第67話:動き出す革命
全体的な話は纏まり王都に向けて早速出発することになったが、一応兵士が待機するとはいえ知り合いがいる村がボロボロになっている状態で俺達は何もしないで出て行くことに思うところがある。なので少しでも手助けになればと2m超のゴーレムを5体作成し、村の再興の手助けを命じた。突如出現したゴーレムに兵士達はかなりの警戒を露わにし村の住人は少なからず怯えた様子を見せたので、慌てて魔法で作成したことや村の人達の命令を優先的に聞くことを説明&証明することで事なきを得る。
「ゴーレム作成なんて魔法使えるんならもっと早くに使ってくれたら良かったのに」
「そりゃ無理だ。空いた時間に少しずつゴーレムの調整をして、ある程度目処が立ったのがつい最近だからな」
村を出発してすぐにシエルがゴーレムに対して愚痴を言ってきたが、こればかりはどうにもできないことなのでハッキリ理由だけ言って話を終わらせた。
行軍は無用な接触を避ける為道から離れたところを平行に進み、森があるところは森の中を突き進んでいく。街道沿いという事もあって魔物との遭遇は稀であったし、遭遇したとしても数は少なく兵士達が速やかに処理していくのでこれといった問題は特に発生しなかった。時々小休止を挟んだりしたが一昼夜歩き続けた結果今王都の近くの森に辿り着き、監視を付けて潜んでいる。
「それで、これからどうするんだ?」
現状居場所を発見されかねないため火を使えない森の中で干し肉や乾物等で食事休憩をしている兵士達を横目に王女に尋ねる。食事中のわりにはこれからの事を考えてかかなり兵士達はピリピリしており、話しかけるだけでも一苦労だ。
「今は斥候をやって王都にいる協力者と接触させています。彼等が戻ってきてから持ち寄った情報をもとに最終的な作戦の調整を行うつもりです。ですので今は休んで頂いてけっこうですよ」
「それなら今の内に王都の知り合いのとこに行っていいか?」
「今はあまり私達の関係者以外は接触して欲しくはないのですが、不満を溜められて作戦に支障をきたしても困りますので短時間なら。あと一応情報が漏れないように監視をつけさせますが構いませんね?」
「それでいい、とりあえず仲間と話てくるから決まったらまた来る」
ちょっとぶっきらぼうに一言告げると彼はお仲間の方へ歩いていった。
「姫様。よろしいのですか、あのような奴等を自由にさせていて」
「もともと冒険者である彼等を私達の都合で不当に拘束しているようなものです。現状でさえ問題がありますのにそれに対して苦情も言わず彼等はここまで従ってくれているのです、これ以上縛り付けることはできません」
「姫様がそう仰るのでしたら。しかし、彼奴の姫様に対する態度は如何なものかと」
「彼等はこの国の者ではありませんし、王家に忠誠を誓っているわけでもありません。そして、世間的に私はすでに死んだことになっていますから彼等からすれば証拠も何も無く王女を名乗っている人物にすぎませんよ。それに・・・・」
「姫様?」
「いえ何でもありません。貴方も食事をとって身体を休めておいて下さい」
「ははっ! お気遣いありがとうございます」
王女達から離れ皆のところに戻ると3人で楽しそうに喋っている姿は周りとの温度差があってかなり浮いていた。
「戻ってきたね、どうだった?」
「監視付きなら王都に入ってもいいってさ」
「まぁ妥当じゃないかしら、むしろ入れなかったらどうしようかと考えてたし」
「だな、とりあえず会いに行くのはシャオとパルティの爺さんでいいのか?」
「いいんじゃないかしら、王都に居る人達で特別親しいって言えるのはそのくらいしか浮かばないし」
「行くのはシエルとパルティの2人でいいか、全員で行く必要も無いし残っている人間がいればここの奴等も警戒が少なからず緩むだろうしな」
「そうね、それじゃ2人にはこれを渡しておくわ。本当なら全て話た方が良いんだろうけど監視もいるし時間も短いだろうからこれをシャオ達に渡してちょうだい。一応これから起こりうる可能性を書き出しておいたから」
「分かりました」
ポアラからメモ紙を受け取った2人を王女達のもとへ連れていき、監視1名を付けて2人は王都へと駆けて行った。
2人が王都に向かったのと入れ違いになるように斥候と思われる者達が帰ってくる。彼等が到着するやいなや王女達は天幕に入っていった。どうやら斥候がもたらした情報をもとに最終的な話し合いが始まったようだ。半刻程して話し合いが終わったようで天幕から出てくると同じくらいにシエル達も戻ってくる。やはり詳しく話す時間は無かったようだが無事メモ紙を渡すことは出来たようだ。
作戦が伝えられる。夜明けと共に内部の協力者が死齎隊の屯所に火を放つので兵士の大半はそれに合わせて屯所と王城に攻め込み、王女と一部の側近が王城を内側から押さえるといった内容だ。どうやって王城を内側から攻めるのか聞くと、どうやら王家の人間だけに伝えられる隠し通路があるそうだ。まぁ、どこにあるかは当然教えられなかったが。俺達4人は同じ一箇所に配置された、いざ何か問題があった時にまとめて対処できるようにだと思われる。
時間が経つにつれ周りの兵士達の口数は減っていき、緊張も高まってきている。しかし、それと同時に気力も充足しているようだ。一方俺達は周りの雰囲気に当てられてかなんとなく口数は減ったが、気持ち的には高ぶったりはせずいつも通りといった感じである。どこか他人事のようにこのクーデターを思っているのだからそれも当然か。
「王都より複数箇所で煙が上がるのを確認しましたっ!!」
ついにこの国の明暗を分ける戦いの狼煙が上がった。
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別作品の『初心者ゲーマーによるのんびり奮闘記』の方も読んでもらえたら嬉しいです。




