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第66話:後継者

 盗賊達の討伐を終え村の住人と爺さん達は何かを話し合っていて俺達は若干放置気味となっている。盗賊達が持っていた持ち物の仕分けは既に終了しており、俺達は様子の確認を含めパルフェの家に戻ることにした。結界はちゃんと機能しており、解除して家の中に入ると当然ながらパルフェ達の無事な姿を確認できた。ほとんど村の住人は無事で盗賊は討伐された事を伝えるとパルフェ達は少し悲しい表情を浮かべて安堵し、今度をどうするか決めるため彼女達を連れて村の住人が集まっている入口に向かう。


「話は済んだのか?」


 村人達との話し合いはどうやら纏まったようで俺達の姿に気付いた爺さん達はこちらに近づいて来る。


「はい、兵士を1/3程残し村の復興を手伝うようにしました。可能ならソムニウムの街まで移動した方が良いとは思われるのですが、移動しながら守るのとなると半数近くを護衛に出さなければならなくなりますので」

「村の人達を助けにきたんでしょ、なら別に護衛が増えてもいいんじゃないの?」

「・・・・」

「シエル、この人達は別に村を助けにきたわけじゃない。別の目的があってたまたまこの村の近くを通り人道的観点から助けたに入っただけさ」

「そうです、私達には果たさなければならない事があります」


 突如聞こえた声が誰かを確認するかのようにその方向に目を向けると、いつの間に近づいてきていたのかフードを目深に被った人物が老人の傍に立っている。


「ですので、これ以上戦力を削るわけにはいかないのです」

「国の民を守るのは兵士の務めでしょ、それを後回しにしてでもアナタ達がやろうとする事はしなきゃいけない事なの?」

「そう言われると痛いですが、答えは『はい』です。私達が行動しなければこの村の人達だけではなく多くの国の民が今以上に苦しむことになります」

「でも「止めとけ」っ! ・・・・テツヤ!?」

「爺さん達を見ればシエルだって分かるだろ、この人達は周りからなんと言われようと自分達のすべき事をすると既に覚悟を決めているようだって。それに村の人達と話し合って決めたってことなら村の住人じゃない俺達が何を言っても無駄さ」


 理解はしているが納得はできないといった感じでシエルは頬を膨らませてそっぽ向いてしまう。


「それで、あんた達は俺達に何か用があるのか? さっきも3人程俺達の後をつけていただろ?」

「さすがです、かなりの実力ある者につけさせたのですが」

「爺さん並だったら気付かなかったかもな。・・で、何のためにつけた?」

「情報を漏らさない為です」

「やっぱりそうか、俺達に王都に行かれてあんた達の情報が伝わって欲しくないってわけか。場合によっては俺達を殺そうとでも考えていたな」

「「「!!」」」

「・・・・・・」

「まあいいさ。それで、俺達はどうすればいい、あんた達が王都に着くまでここに残ればいいのか?」

「できれば力を貸してもらえないでしょうか?」

「・・・・反乱に手を貸せってか」

「どうしてそれを!?」

「王都にいる人間に対して隠れて進軍する兵隊とこの国の状況、これらを踏まえた上でありえる可能性の1つを言っただけだが当たりのようだな。となると、各地で起きている暴動もあんた達の仕業か」

「・・・・・・はい」

「俺達4人が加わったところで劇的に戦果が傾くと思えないが。それに愚王とはいえ仮にも国のトップがいなくなれば国はさらに荒れるぞ、その辺りの事はちゃんと考えているのか?」

「貴様っ! フローゼ様に対してなんて口のききかただ!」


 今にも俺に飛び掛かろうとした男をフードの女性は手で制す。


「およしなさい」

「しかし!」


 男は俺を睨みつけながら渋々といった感じに下がっていき、それを確認してからフードの女性はもう一度俺達の方を向く。


「貴方がおっしゃった事はちゃんと考えいますので問題ありません」

「どう考えているのか俺達に教えてくれないか?」

「それは・・・・」

「教えてもらえないのでは俺達にとってあるかどうか分からない考えという事になるな。それを信じろってのはちょっと無理だとは思わないか?」

「・・・・・・・・分かりました」


 女性は自分が着ていたフードを取り素顔を晒す。周りに居る連中の驚いた表情からも女性がとった行動は想定外だったようだ。しかし、それとは別に女性自身も俺の顔を見るなり驚いた表情をしている。


「あっ・・!」

「?」


 女性が俺を見て何故驚いているのか検討がつかない。


「俺の顔に何かついてるか?」

「えっ!? あ、い、いえ・・・・・・あの、私の顔に見覚えありませんか?」

「どこかで会ったことあるか? ちょっと思い出せないが」

「そ、そうですか・・・・・・ごめんなさい、人違いだったみたいです」

「それで、あんたが素顔を見せたことがどう考えに繋がるのか教えてくれ」

「私はフローゼ、フローゼ・ソーリスルクスです」

「こりゃどうも。ん? ソーリスルクス? この名前どこかで」

「それってこの国の名前じゃないですか!?」

「はい、私は王家の人間。前国王デュオスの娘です」

「ふーん」

「今度は証拠を見せろとは言わないんですね」

「見せてもらったところでそれが本物かどうか確認する手段が俺達には無いからな。とりあえず、現国王を倒した後の混乱を治める手段が有ると分かっただけでいいさ、あんたが本物の王女様かどうかは今はどうでもいい」

「ありがとうございます」


 フローゼという女性はホッとした表情を見せるがそれも一瞬のことですぐに「今後の事をもう少し詰めてきます」と告げ、周りの連中を連れて村の人達のとこへ歩いていった。


「悪いな、勝手に決めて」

「別に構わないわ、ヘタに断ってここに拘束されて王都に行けない方が問題だし」

「そうか」

「ねぇ、あの人ホントに王女様なのかな?」

「さあな、判断材料が少ない今はなんとも言えないな」

「それにしても、そこそこ長く冒険者やってきたけどまさか国家転覆に手を貸すことになるなんて」

「現国王に不満を持っている者は多くいるだろうから王女が帰還したということを広めれば案外兵士同士の衝突はそこまで無いかもな。だから、一番の障害となるとしたら」

「死齎隊ね」

「ああ、王女も身内である兵士を傷つけたくないだろうし死齎隊を抑えている間に別部隊でいっきに頭を押さえるといったところか」

「でしょうね」

「はあ~」


 以前見かけた死齎隊を思い浮かべると面倒でしかないなという考えしか浮かばなかった。


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