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第64話:暴動

 最初に目に映ったのは普通の家屋ならどこにでもありそうな少しボロっとした木の板である。身体を起こしたことで今更ながら自分が横になっていたことに気が付いた。寝起きということもあってか今だ頭がハッキリとせずここが何処で自分が何故横になっていたのか分からないまま周囲を見ると、同じように訳が分からないといった感じに困惑顔をした人物が身体を起こした状態でこちらを見ている。


「「・・・・・・おはよう」」


 お互い状況が掴めていなかったので何を話したらいいか分からず何とも間の抜けた挨拶だけが交わされた。しばらくの間2人を沈黙が支配していたが、次第に頭がハッキリしていくことで横になる前自分達になにが起きたのかを思い出していくのと同時に後ろで何かが落ちる音が聞こえてくる。2人が後ろを振り向くとそこには桶を落とし床を水浸しにした状態で驚いた表情をしたままこちらを見て固まっている少女が立っていた。少女はハッと何かに気付いた様子で自分達が声をかける間もなく何処かへ走って行ってしまう。時間をおかずこちらに走ってくる誰かの足音が響いてきた。勢い良く開かれた戸の先には先程とは違う少女が立っており、こちらの顔を見たとたんに泣き顔を浮かべ自分達に向かって跳び込んできた。


「シエル姉!! ポアラ姉!!」


 名前を呼び今尚泣きながら私達に抱きついている少女は私達にとって妹分といってもよいパルティであり、パルティに遅れてきて戸の所に立っている少年テツヤは「よっ」と気軽な挨拶をしてきた。

 パルティが泣き止み落ち着くをを待ってから私達はあの夜二手に別れた後何が起きたのかをお互い話し始めた。


・・・・・・・・・・


・・・・・・・・


・・・・・・


・・・・


・・


 話し終えた後誰一人喋ることなく何かを考えるかのように黙り込み重い空気が漂いそうになった時ク~という可愛らしい音が部屋中に響いた。何事かと思うとポアラが少し顔を赤らめて恥ずかしそうにお腹を抑えている。どうやらお腹が鳴ってしまったようだ。ちょうどその時パルフェが食事の準備が出来た事を告げにきたことであまりにもタイミングの良さからなんだか無性に笑いがこみ上げてきて誰からともなく笑い出し、理由が分からないパルフェは不思議そうな顔をしていた。


----------------------------------------------------------------


「ごちそうさま」

「お粗末さまです」




「・・・・・・本当に治ったのね」


 食器をテキパキと片付けているパルフェをじっと見ながらポアラが呟く。


「どうかしたか?」

「ん? いや、私やシエルの怪我もそうだけどパルフェの手も完治していることが今更ながらビックリしてね」

「ふ~ん、正直言ってパルフェの手よりお前達の怪我を治す方が不安だったぞ。回復系は重点的に習ったがあれだけの怪我を治療するのは初めてだったからな。実際この5日間目が覚めなくて失敗したかもって考えていたくらいだ」

「私もあの時死を覚悟してたし改めてお礼を言うわ・・ありがとう」

「仲間なんだし必要以上に気にしなくていい、とりあえず目覚めてくれたから俺も動き出す」

「どうするの?」

「ギルドに行ってみる、あの後どうなったかが気になるし」

「なら私達も」

「いや、怪我が治っているとはいえまだ万全の体調じゃないだろ? 行くのは俺だけでいいさ」

「そう・・」

「まっ、いつでも出発できるよう荷物はまとめといてくれ。大丈夫だと思うが屋敷に不法侵入したからどうなるか分からんからな」

「分かったわ」


----------------------------------------------------------------


「領主が死んだ?」


 ギルドの受付から聞かされた情報は少なからず驚かされる話だった。


「いつ?」

「えっと、5日前です。現在は代理の方が来られているようですよ」


(5日前といえば俺達が侵入した日じゃないか。あの時領主の姿を見たからあの後に死んだのか)


「それで、原因とか分かってる?」

「こちらが聞いている話では病死だそうです」


(病死にねえ、あん時見た奴からはとても想像できないが)


「他に何か変わった事はなかった?」

「他ですか? そうですね、その代理の方が来られてから一部の兵士が投獄されたようですよ」

「投獄? そりゃまた何で?」

「投獄された兵士達はもともと曰く付きの人達でしたのでそれが理由かと。ただ、その兵士達の一部が難を逃れて各道で山賊行為をしているそうです」

「ああ、だからボードに護衛依頼が多いのか。討伐とかしないのか?」

「一度はギルドから依頼を出して数グループのパーティーで討伐に向かったのですがのらりくらり逃げられて捕まえる事ができなかったのです。冒険者にも生活がありますから報酬が貰えない1つの依頼にかかりっきりになるわけにはいかなかったのようです」

「それじゃ、討伐は国に?」

「はい、ですが今すぐに国が動くのは難しいと考えられますので護衛依頼が多くなっています」

「どうして難しいんだ?」

「現在国の各所で暴動が起きています、しかもそれに一部の兵士が参加しているとかで国もその対処に追われているとのことです」

「暴動ね、この国の状況を考えたら不思議には思えないが」

「えぇ、以前も暴動はあったりしたのですが今回のように複数同時の大規模な暴動は初めてでして」

「・・・そっか、色々ありがとう」

「いえ、依頼をなさるのでしたらそれらを踏まえてお気を付けください」


 帰り道ギルドでの暴動の話からこの国で何かが動き始めたのではという事を考えずにはいられなかった。


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