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第55話:一件落着?

「なっ、どうして!?」

「儂の足を止めてから行動不能にしようとした目の付け所はいい、現に足を止められた魔法は初めて見るゆえ全く対応が出来なかった。じゃが詰めを誤ったのぉ、行動不能にさせる為に選んだ魔法は昔同じ様なのを見たことあったから十分に対処できた」

「詰めを誤るか・・・・アンタがどんな魔法を知ってるかなんて分からないんだからしょうがないだろ」

「それもそうじゃがそれとは別に魔法の威力を抑えたろ、でなければいくら対処したからとはいえあぁも容易く破れるわけがないからの」


(くそっ! こんな事なら電撃系で気絶を狙えばよかったか)


 戦闘中の為浮かんだ後悔を振り切るように腹部を押さえながら立ち上がり初代を見据え新たに思考を巡らせ始めるが、初代はすぐに攻めてくることは無く身体を少し動かしながらどこか調子を確かめているような感じである。どうやら氷魔法は完全に防がれたわけではなくわずかばかりでも影響を与えていたようだ。


「ふむ、その年齢にしてはなかなかの魔法力じゃな」

「簡単に防いでおいてよく言うよ」

「簡単では無いぞ、今回はたまたま諸々の要素が儂の方に有利に働いたというだけじゃ。それにしても、身内贔屓と言われるかもしれんが孫娘やお主のような有望な若い芽が出てくることは嬉しいもんじゃの」

「だったら俺を殺そうとするのは止めてもらいたいもんだね」

「それはそれ、依頼じゃから割り切らんと」

「・・・・それで、まだ続ける?」

「いや、どうやら時間切れのようじゃ」


 初代が遠くの闇を見るように顔を向けたので同じ方向に目を向けると、ぼんやりと何かがこちらに向かってくるのが見える。次第にその輪郭が夜の闇に映しだされていき、その姿が俺もよく知っている人物であることが解った。


「見つけたっ!!」


 駆け寄ってきた者達が肩で息をしているの見て、かなり急いで来たのだろうなという事が容易に想像がついた。


「よっ、シエル、ポアラ、ゴードン」

「よっ、じゃないわよ! いったいこんなとこで何してるの!? ゴーくんが村にテツヤの姿がないって言うからすっごく探し回ったんだからね」

「自分で行動する時は3人まとまった方が良いって言っていたのに勝手するなんて・・あとでお仕置き」

「まぁまぁ2人共、無事だったんだからいいじゃないか。それでテツヤ俺の見間違えならいいんだが、目の前にいる人物は昼間会った爺さんかな?」

「いいや昼間会った人物ではないな、だが正真正銘の『初代ルザートゥス』だよ」

「「「っ!!」」」


 ゴードンが一瞬ほっとしたのも束の間、すぐさま今度は3人同時に息を呑む。張り詰めた空気が漂い3人共身動きができずにいたが、何かに気付いたゴードンが絞りだすように声を出してきた。


「ちょ、ちょっと待て。なんで同じ顔をした爺さんが2人いて昼間のは違って目の前にいるのがは正真正銘のルザートゥスなんだよ!?」

「そりゃ、昼間に会った人物と目の前の爺さん2人から話を聞いたからだよ。2人の話を照らし合わせても変なとこは無かったし間違いないだろうってことだ」

「間違いないって、それじゃ目の前にいるのが最強の暗殺者・・・・」

「それで、さっきも言ったけどテツヤはその暗殺者とこんなとこで何してたの?」

「最初は昼間の人物と死闘みたいな感じだったんだが、いつの間にか本物の初代と闘う羽目になってる」

「いいわ。私達も狙ってるようだからこのまま何事も無く帰してくれるとわ思えないけど、無事に生き延びたら言い訳を聞かせてもらうからね」


 2人が戦闘態勢に入るのを感じると同時に初代から多大なプレッシャーがかかり、殺気は無かったが2人は冷や汗を流し足は震え息が荒くなってきている。


「お主の仲間か。身構えなくてもいい、今は殺り合う気は無いからの」

「そ、そんなプレッシャーを放ちながらよく言えるわね」

「ん? おぉ、すまんすまん。敵意を向けられたもんだから身体が勝手に反応しておったよ」


 プレッシャーは収まったが一瞬の出来事だったにも関わらず2人にかなりの疲労があらわれ深呼吸などをして気持ちを落ち着けようとしているのが見て取れた。


「殺り合う気は無いってどういう事? アナタは私達を殺すように依頼されているんでしょ?」

「どうやら事態が変わったようで依頼が破棄されている可能性があるんじゃ、ことの真相がハッキリするまで狙ったりはせんよ」

「随分と紳士的なんですね、先に殺しておけば手っ取り早いでしょうに」

「暗殺者として長く生きてきたが儂は依頼以外の殺しはしない主義じゃからな」

「まぁ、私達もアナタの強さの片鱗を感じたばかりですから殺り合いたくはありませんけど」

「それで、その真相はいつ分かるのですか?」

「なぁに時間はかからんよ、孫娘が気が付けばすぐじゃ」

「「孫娘?」」

「さっき話した昼間会った人物だよ、あっちは初代の孫が姿を変えていたってわけさ」

「で、その孫娘はどこにいるの?」

「そこの木にもたれかけているだろ? 彼女だよ」

「う~~ん? ・・・・・・誰も居ないけど」

「「えっ!?」」


ボギィッ!!


 ポアラの言葉に驚いたと同時にパルティの飛び蹴りによってもの凄い音が響き初代は宙を舞っていく。


「いきなり気絶させるとか酷いじゃないお爺ちゃん!」


 頬をプンプンと膨らませてなおも初代に詰め寄るパルティを見ながら予想外の事態に俺達一同は唖然としてその場に立ち尽くしていた。


「聞いてるのお爺ちゃん! ・・お爺ちゃん?」


 パルティの声の調子が変わり、様子が少し変に思えたので2人に駆け寄っていく。


「どうした? 打ち所でも悪かったのか?」

「えっと・・・・気絶してるみたい」


 初代もまさか孫娘からこんな事をされるとは思っていなかっただろう、故にパルティに対して全く警戒していなかった為反応が遅れ綺麗に攻撃が決まってしまったようだ。


(しっかし、パルティが気が付いたのに一番真相を知って欲しい人が気絶してしまうとは)


「とりあえず、ここで長話をするのもなんだし一度村に戻らないか?」

「そ、そうね。アナタにも聞きたい事があるし、それでいいわね?」

「・・・・はい」


 初代を背負いモヤモヤと何とも言えない微妙な空気の中5人と1人は無言のまま村に帰還した。


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