第44話:辻斬り -終幕-
戦闘が終わって俺達以外誰もいなくなったその場には静けさが訪れる。とりあえずお互い何が起こったかを話し合おうと考えた時、ふと地面に紙切れ(?)が落ちているのが目に入った。
「なんだこれ?」
「どうしたの?」
「いや、こんなのが落ちてたから」
「ちょっと見せて、どれどれ・・」
俺から紙切れを受け取ったポアラはしげしげとそれを見始め、シエルが俺達のもとに戻ってくる。
「何してんの?」
「紙切れ拾ったから、ポアラに調べてもらってるとこ」
「紙切れ? それなら私もあっちで拾ったよ」
シエルが差し出してきたのは俺が拾った紙切れと全く同じ形をした物だった。もう一枚の紙切れを受け取り見比べるようにポアラは観察する。ポアラが調べている間にシエルが両手両足に装着している物が気になり聞いてみようとした途端、装着物は光となって消え失せた。
「な、なぁシエル、さっき装着してた物って初めて見たけど何なんだ? 」
「あれは、このペンダント『古代遺物』の能力だよ」
「古代遺物?」
「そ、ダンジョンとかに稀に落ちてるレアアイテムと違って破壊神が現れる前に栄華を極めた文明の時代に今とは比べられない程の魔導技術で作られた物。稀に遺跡とかに残っていたりするのよ」
「へぇ~、遺跡とかもあるんだ。なんか冒険心をくすぐられるなぁ」
「そんな良いもんじゃないよ。これ手に入れた遺跡だって砂漠に沈んでて強力な罠とかもあったし、魔物だって棲みついていたから探索終えた時には20人近くいたのが半数以下まで減ってたんだから」
「なるほどなぁ。それで、その古代遺物はどんな効果があるんだ?」
「言葉を言うとペンダントに組み込まれている魔法が発動するの。さっきテツヤが見たのは魔法で光を物質化した武具で、もう1つ発動してる魔法が身体能力強化」
(やっている事は俺の魔闘術と似てるなぁ)
「結構便利そうなのになんで頻繁に使わないんだ?」
「制限があるのよ。ペンダントに内包されている魔力で2つの魔法が発動しているから使用時間が長くても10分、再使用にはまる1日ペンダントの魔力が回復するのを待たなくちゃいけないの」
「短期で連続使用不可か、そりゃちょっと不便だ」
「でしょ、だからいざという時以外は使わないようにしてるってわけ」
「何言ってるの、この前超苦手な虫がいたからってそっこうで使って逃げていったじゃない。おかげで次に戦った魔物が強力だったのにそれ使えなくて苦戦をしいられたんだから」
「シエル・・・・」
「だ、だってホントに苦手だったんだもん!」
「はぁ~。それでポアラ、それが何か解ったのか?」
「たぶん、これは『式神』用の『式札』だと思う」
「式札?」
「えぇ。これ自体ではなんの害も無いのだけど、専用の魔法を使えばこれを異形の者へ自在に変身させることができるわ」
「じゃ、あの虎がいなくなってこの式札があるってことは」
「あの虎が式神だったってことね」
「ねぇ~、考えるの後にしてとりあえず宿に戻ろうよ?」
この場にいても何も手に入らなそうだったので、シエルの意見に賛成し話をしながら帰路についた。
「あの女共が現れた時はシエル達が負けてしまったのかとホント心配したよ」
「やっぱりアイツ等そっちに行ったのね」
「前回と違ってアイツ等が屋根とかにいなかったから私達が若干押してたんだよ、なのに戦っている間に兵士がやって来て自分達が捕まえるって感じで乱入してさ」
「そのせいで一瞬隙ができてテツヤが抑えていた奴等は爆弾で殺されて、場が混乱しているうちに逃げられてしまったってわけ」
「身体や血が周囲に飛び散ってけっこう猟奇的だったよ」
「そんな事はどうでもいいの。それでテツヤは辻斬り犯が揃っているのを見たのよね、どんな感じだった?」
「そうだな、複数犯ではあるが他の奴は護衛や雇われって感じだったから辻斬りをしている奴さえ抑える事ができたらこの事件は終わると思う」
「なるほど、実行犯さえ捕縛もしくは殺れば仲間が続けるという事はなさそうってことか。あと気になるのは辻斬り犯と同じ格好をしていたって奴だけど、そいつらの仲間じゃなかったのよね?」
「あぁ、明らかに俺達が追っていた辻斬り犯を殺ろうとしていたからな」
「う~ん、一体何者なのかしら」
「ねぇねぇ、もしかしてその似た格好をしていたって奴が最初に辻斬りをしていたんじゃないのかな」
「えっ?」
「そう考えたら被害者が死齎隊から一般人に変わったのも一応の説明がつくし」
「・・シエルにしては的を射た意見ね」
「私にしてはってどういう事!」
「となると、あとは目的ね。テツヤはどう考える?」
「後の辻斬り犯は特に何かあるというわけじゃないと思う、あえて目的を言えば自分より弱い者を殺して苦しむのを見て楽しむってとこか」
「クズね」
「あぁ。ただ最初の辻斬り犯の目的はさっぱりだ、死齎隊を殺したって何の利益も無いと思うが」
「・・・・ねぇ、ふと思ったけど最初の辻斬り犯って女怪盗の仲間とかじゃないのかな」
「ふむ、たしかに盗みをはたらく場所も死齎隊も現国王に繋がっているから可能性はあるか」
「でしょ、でもあくまで可能性だから辻斬り犯を捕まえないと真相は分からないわ」
「そうなんだよな、シエルどうする?」
可愛らしい寝息をたてながらとっくに寝てしまっているシエルを見てお互い苦笑し、話はここまでとポアラに挨拶して自室に戻る。
翌日も夜に辻斬り犯を捕まえる為に街にくり出したが、その日を境に辻斬りは鳴りを潜めて事件も発生せず何事も起きない日常に戻っていった。




